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Trelloが大幅に機能を刷新! アトラシアン式ガントチャートとは?

「ATLASSIAN TEAM TOUR」で発表されたTrelloやConfluenceの新機能を紹介

オンラインイベント「ATLASSIAN TEAM TOUR」が2月17日に開催された

 「Trello(トレロ)」や「Confluence(コンフルエンス)」を提供するアトラシアンによるオンラインイベント、「ATLASSIAN TEAM TOUR」が2月17日に開催された。

 ATLASSIAN TEAM TOURは、“チーム・コラボレーション”をテーマとしたイベントで、今回が4回目の開催となる。会場では「ワークマネジメント」や「ナレッジシェア」などをテーマに、多岐にわたったセッションが行われていたが、本誌でもこれまで何度か紹介したTrelloConfluenceに関する新機能も紹介されたので、本稿ではそこを中心に紹介したい。

Trelloの新機能を紹介、5つの表示方法を追加

創設者のひとり、マイケル・プライアー氏

 当日はCo-Founder and Head of Trelloのマイケル・プライアー氏より、Trelloの新機能などについての説明があった。

 プライアー氏によると、新型コロナウイルスの影響から多くの企業がテレワークに移行したことで、ビジネスの現場ではGmailやSlackなどなど、非常に多くのツールを使うようになったとのこと。IDaaS大手のOkta社の調査によると、企業では平均129のツールを利用し、1日の36%をツール内での情報検索に費やしているという。

 「この新しい働き方で成功を収めるために、我々はTrelloを変化させ、成長させます。新しいボードの機能や、新しいカード機能を追加し、Trelloでできることをマクロとミクロ両方のレベルで拡張させます」(プライアー氏)

 具体的には各タスクを記録したカードについて、デフォルトの「かんばんビュー」のほかに、全部で5つの表示方法を追加するという。

新たな表示方法

  • マップビュー
  • タイムラインビュー
  • カレンダービュー
  • ダッシュボードビュー
  • テーブルビュー
紐づけた位置情報から、カードを地図上に表示する「マップビュー」

 「マップビュー」はGoogleマップのような2D地図上に、カードを配置する表示方式。例えば、外出先で良さそうな物件を見つけた時、地図上にピンを配置。このピンにカードをひも付けるというものだ。

 Trelloではこれによく似たものを拡張機能の「Power-Up」で提供していたが、今回のビューはそれを機能拡張したものとなる。オンライン/オフラインの両方に対応しており、通信環境に不具合がある場合でも、後にオンラインになった時に操作内容をクラウドと同期可能。ちなみにリリースは年内を予定しているようだ。

 「現在このマップビューは一つのボードでしか使えませんが、将来的には複数のボードからこのビューにデータを集め、ボードを横断して情報を確認できるようになります」(プライアー氏)

カード情報をガントチャートのように表示する「タイムラインビュー」

 「タイムラインビュー」はプライアー氏が「個人的にとてもワクワクする機能」と話していた表示方式。いわゆるガントチャートのように、各カードを時間軸に沿って配置するというものだ。カードを別のリスト移動させるのと同じ感覚で、各カードの配置、設定した期限などをドラッグ操作で調整可能となる。

 「例えば、製品ローンチ時のように変化する情報、締め切りを追うようなときでも、誰が仕事を抱えすぎていて、何を調整すべきかを把握できます」(プライアー氏)

カード情報を月間カレンダーに表示する「カレンダービュー」

 「カレンダービュー」もPower-Upで提供されていたものを、機能拡張したものとなる。登録した「開始日」と「期限」を参照して、カードを月間カレンダー上に配置。今日の予定を確認するときに使えそうだ。

 「近い将来、1つ以上のボードを横断してみることができる機能を追加する予定です。これによりチームや企業を横断した施策の計画などに活用できるようになります」(プライアー氏)

カード情報の統計をまとめた「ダッシュボードビュー」

 「ダッシュボードビュー」は期日や担当しているカード、リストあたりのカード数などを、チャートとしてまとめたもの。カスタムレポートも作成でき、メンバーの作業負荷を確認するときなどに利用できる。

 「このビューはチームが機能しているかを把握するのに役立ちます。プロジェクトに鳥観図を取り込むことで成功の指標を視覚化し、事前にボトルネックを防ぐことができます」(プライアー氏)

すべてのカード情報をソートして管理できる「テーブルビュー」

 「テーブルビュー」ではデータをリストスタイルで整理できる。並べ替えやフィルタリングができるので、ボードが大量のカードで埋まった時にも、必要なカードをソートすることが可能。期限が近いカードがあり、それを誰が担当しているかも、見逃さずにチェックできる。

 これにより、マネージャーやチームリーダーであれば、特定の個人の作業負荷、迫る期限、プロジェクトの進捗を把握できるようになるという。

 「“企業を横断した取り組み”を“自分の取り組み”と一緒にトラッキングして、テーブル内で簡単に閲覧・整理できます。複数のプロジェクトを横断して自分の作業を確認できるので、適切に時間の優先順位がつけられます。このようにTrelloがボードを横断したビューを提供するのは、今回が初めてのことです」(プライアー氏)

カードを複製して、別のボードに配置する「ミラーカード」

 さらに、プライアー氏によると各カードについても、新たな機能の採用を予定しているという。その一つが、近日での実装を予定している「ミラーカード」だ。

 「ミラーカード」はその名の通りに、別のボードなどにカードを複製する機能。ミラーカードは元のカードと同期しており、カード内の情報を変更すると、それがミラーカードにも反映されるという。

 これにより、複数のボードで情報を更新する必要がなくなるとともに、常に最新情報をTrello上で確認できるように。単純にカードの表示場所が増えるので、情報のソートも楽になりそうだ。

「Google Drive」など、サードパーティのクラウドツールの情報を「リンクカード」としてボード上に表示

 これに加えて、「リンクカード」機能が実装されると、例えば「Google Drive」といったサードパーティのクラウドツールのURLを貼ることで、ファイルのプレビューをカードに表示できるようになる。

 これは、様々なツールに分散している情報を集約するだけでなく、それをTrelloのスタイルで整理できることにもつながる。あらゆる情報をグラフィカルに一元管理することが可能に。例えば、インスタグラムの更新を、公開日ごとにカレンダービューで表示することも可能となるわけだ。

 なお、Trelloではビューやカードのプラットフォームを、サードパーティの開発者向けに公開する予定とのこと。これによって、例えば“ボード上のDropboxファイルを表示するDropboxビュー”などが登場する可能性も、プライアー氏は示唆していた。さらには、カード上で“Slackメッセージに返信”するなど、Trelloから各サービスを操作できるようにもなるという。

Trelloの新機能について、平間愛氏が解説

アトラシアン 平間愛氏によるセッション「ニューノーマルな世界でチームワークを再定義する」

 続いて、会場ではアトラシアン営業促進プログラムマネージャー 平間愛氏によるセッション、「ニューノーマルな世界でチームワークを再定義する〜進化するワークマネージメント〜」が行われた。

 このセッションでは、先に紹介されたTrelloの新機能について、補足的な説明があった。これらの機能は「Business Class」または「Enterprise」のユーザーが利用することが可能とのこと。その主な内容としては……

マップビュー

  • リンクされた位置情報はGoogleマップで表示可能
  • 複数のボードを横断したカードの表示機能も追加予定

タイムラインビュー

  • 日付表示は日・週・月・四半期・年で切り替え可能
  • リスト単位でカードをまとめて表示するだけでなく、メンバーやラベルごとに表示することも可能
  • 「開始日」と「期限」が未指定のカードは、「未スケジュール」メニューから確認し、期限などを設定可能
  • レーンをドラッグ操作で調整する機能、未スケジュールのカードをドラッグ操作でスケジューリングする機能、カードの絞り込み機能、特定のメンバーやラベルを非表示にする機能を追加予定

カレンダービュー

  • カードの絞り込み機能、カードの素早い同期機能、週末を非表示にする機能などを追加予定

ダッシュボードビュー

  • リスト、期限、メンバー、ラベルごとのカード数の統計を、棒グラフや円グラフで表示可能
  • 統計情報は過去1か月分をさかのぼって表示
  • グラフの内容を掘り下げて表示するドリルダウン機能を追加予定

テーブルビュー

  • 期限が近いもの、期限切れのものから順にカードを表示することが可能
  • カードの情報はテーブルビュー内で直接編集が可能
  • 現在の表示条件をブックマーク登録して共有できる

Confluenceの最新機能を紹介

 なお、アトラシアンではテレワークに伴う新しい働き方が、今後社会に定着すると考えているという。その中で生じるコミュニケーション不足を解消するものとして、同社が提供しているのがConfluenceだ。

社内Wiki的に利用できるクラウドツール「Confluence」

 セッションでは最近行われたConfluenceの機能改善についての紹介が行われた。Confluenceでは2019年に新しいエディタのリリースを開始しており、以下のような機能が新たに搭載されている。

  • 画像の隅をドラッグ操作するリサイズ機能
  • コマンドを「/〇〇〇」の形式に統一
  • マクロのライブプレビュー
  • マルチプラットフォーム対応で、スマホなどでもページを同じように表示
2019年に新しいエディタのリリースを開始

 さらに、テンプレートにも力を入れており、新人研修やミーティング議事録など90種類以上を用意。リンク先の情報を表示する「スマートリンク機能」は、DropboxやGoogle Driveなど15種類のサービスに対応している。

 これらの新機能の中でも、特にユーザーからのリクエストが多かったのが、編集時におけるインラインコメントの表示機能だ。これにより、インラインコメントを参照しながらページを修正し、その報告を1画面で行うことが可能となった。

画面右のボックスに、他のユーザーからのインラインコメントを表示

 その他にも、プロジェクトツール「Jira Core」の完全な刷新。プロジェクトステータスをメンバー間で共有するために、現在開発しているシンプルな週次報告ツールの情報など。会場ではアトラシアンが提供する各種サービスに関して、新たな情報が公開されていた。

 テレワークが広まる中で、クラウドツールの使いこなしが、業務の進行を大きく左右するようになってきた。今後、TrelloやConfluenceがどのように進化していくのか、今後のリリース動向も引き続きチェックしていきたい。