急遽テレワーク導入!の顛末記

「カードを動かすだけで関係者への連絡が自動化!! 『Trello』を1週間使ってみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(34)

実際に使って見えてきた、「Trello」のタスク管理能力がガチでスゴい

「1日1本の記事を納品する」というプロジェクトで、進行管理に「Trello」を使ってみた

 最近、テレワークが「チームワークを鈍化させる」という話をよく耳にする。顔が見える距離で仕事をしていた頃は、リマインドなどの声掛けも気軽にできたが、メールやチャット越しではどうにもやりづらい。結果として大事な案件が放置されていたこともあった。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから228日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、スタッフが可能な範囲で出社と在宅勤務を使い分けている。今回はプロジェクトの進行管理に「Trello(トレロ)」を試してみた話を、前回に続いて紹介していきたい。

【今回のハイライト】
仕事依頼の連絡が自動化された!
納品連絡も自動化された!!
締め切りの催促まで自動化された!!!

【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【4~8月末までの顛末はこちら】

12月22日(火): 企画の締め切り日、「Trello」のボードを開いてみると……

 先日は仕事仲間に記事の企画を「Trello」で納品してもらう仕組みを作ったのだが、あれから一週間が経って今日が締め切り日。出社してメールを確認していると、「Trello」から山盛りの更新通知が届いた。

「Trello」では各カードで何らかのアクションを行うと、カードごとに登録したメンバーに、その内容が通知される
通知が届いたカードには、中身を開くまで赤いベルマークが表示される

 さっそく、ブラウザで「Trello」を開くと、「企画提案中」リストに大量のカードが並んでいた。各カードには依頼通りに、私と「登録者」の2名がメンバー登録されている。そのおかげで通知が届いたようだ。

 各カードには「タイトル」に企画名を、「説明」に企画概要を入力してもらったので、さっそく何枚かのカードからコピペして企画書を作成。編集部に送信する。

 ……このアクション(編集部に企画を送った)も、各担当者に通知した方が良いだろう。新たに「編集部確認中」リストを作成し、そこにカードを移動させることにした。これで編集部に企画を送ったことが、メンバーにも伝わったはず。こちら側としても、ステータス(編集部確認中/確認前)を俯瞰で確認できるので、次回の企画提案時に抜け漏れを防ぐことができそうだ。

カードを作成する際のルールとして、企画名を「タイトル」に、企画概要を「説明」に入力することにした
「編集部確認中」リストに、編集部チェックに通した企画(カード)を移動させる

 なお、導入直後ということもあり、「通知が届いています?」と電話で確認したところ、「Trello」からちゃんとメールが送られていた。これで、“企画を受領”し、“それを編集部に送信”した時などに、いちいち電話やメールをしなくて済む。この手軽さは、かなり嬉しい。

電話で確認したところ、カードを移動したことが、ちゃんとメンバーに通知されていた

12月23日(水): 「期限」を登録して、原稿の催促(リマインド)も自動化しよう

 提案していた企画について、編集部から制作の依頼があった。それと同時に締め切りも設定されたので、カードを開いて「期限」に登録。そのカードを「作業中」リストに移動させる。その一方で、残念ながら見送りになった企画のカードは、その理由をコメントに書いて「ペンディング」リストに移動させた。

カードを「作業中」「ペンディング」のリストに振り分ける
採用された企画は、「期限」に締め切り日を登録。設定したタイミングでリマインドが行われる
見送られた企画については、理由を「コメント」に記載して、カードを「ペンディング」リストに移動させた

 メンバーには、カードを「作業中」リストに移動したら記事を制作、「ペンディング」リストに移動したら見送りと伝えているので、これで依頼と不採用の連絡ができたことになる。後日、メンバーに確認すると、通知は「期限」や「コメント」を登録した際にも行われていたようだ。これなら、見落としを防いでくれるだろう。

通知にはカードを移動させたことだけでなく、「期限」を設定したことも記載されていた
コメントを登録した際には、その内容も合わせて通知される

 ちなみに、「Trello」にはスマホアプリがあり、こちらでも通知を行ったり、ボードを表示したりすることができる。カードの移動操作もできるので、外出中でも記事の制作依頼ができるのはありがたい。

カードを開いて中身を確認。さらに、リスト間を移動させることもできる

12月25日(金): アプリとメールで通知のタイミングを使い分ける

スマホアプリでは、「Trello」からの通知がロック画面などで確認できる

 自宅で仕事をしていると、スマホに「Trello」から通知が届いた。どうやら、締め切り前にも関わらず、仕事仲間のMさんが原稿を納品してくれたようだ。

 ちなみに、この通知はスマホアプリで確認した。メールと違ってリアルタイムで通知が届くので、上手い事使い分けたい。

初期状態でメール通知は、まとめて1時間ごとに行われるように設定されている
添付ファイルはダウンロードして保存したり、その場でプレビューを見ることができる

 さっそく原稿をダウンロードして編集部に納品。カードを「納品済み」リストに移動させた後で、登録していた「期限」のチェックボックスをオンに。ステータスを「完了済み」に変更した。

 これら一連の操作を行ったことも、Mさんに通知が行っているはず。いちいちメールを送らなくていいのは、やっぱり楽だ。プロジェクトに関する連絡が「Trello」に、その各案件に関する連絡がカードごとにまとまっているので、メッセージの検索性や視認性も高い。

12月27日(日): 締め切りのリマインドも自動で行われるので安心

 今日は日曜日で会社はお休み。家でのんびりしていると、明日に締め切り(期限)を設定したカードの件で、「Trello」からリマインドが届いた。今頃は発注先の仕事仲間Tさんにも、同じ通知が行っていることだろう。

明日を「期限」に設定していたカードについて、「Trello」から自動で催促の通知が送られた

 これまでだったらメールなどで進捗を聞いていたところだが、「Trello」が勝手にやってくれるので仕事モードに入らなくて済んだ。さて、明日原稿が届くのが楽しみだ。

12月28日(月): ガントチャートと比較すると、「Trello」はメリットだらけ

 朝の通勤電車に揺られていると、スマホに「Trello」からの通知が届いた。どうやら、Tさんは無事に原稿を納品してくれたらしい。

 出社したら、さっそくファイルを確認して編集部に納品。カードを「納品済み」リストに移動する。そういえば、この“カードを「納品済み」リストに移動する”という操作も、Tさんに伝わっているんだっけ。原稿を手元で貯めていたらバレるな、これは(汗)。

原稿を編集部に納品したカードを、「納品済み」リストに移動させる

 今後は記事が公開されたら、さらに「公開済み」リストへと移動する予定だが……。このまま作業を続けていくと、「公開済み」リストに大量のカードが溢れそうだ。「〇月公開済み」という形で、リストを分けるべきだろう。

 こうしてひと通りの基本機能を使ってみると、“カードをドラッグ操作で移動させる”というアクションが、あらゆる場面で利便性を生んでいるのが良く分かる。

 操作が直感的であることから、「Trello」は誰でも扱いやすく、ミスも起きにくい。実際に今回チームに加わった同僚はITにあまり詳しくないが、すぐに操作をマスターした。さらに、連絡を自動化するということは、手間を無くすだけでなく、連絡漏れも防いでくれる。その上で、カードの配置はタスクのステータスを表しており、リスト内で上下に移動させれば優先順位も表すこともできた。

 進行管理ツールではガントチャートが定番だが、それよりも扱いやすく、見やすく、手間も無い。これを知ったら、もうチャート使いには戻れないなぁ。

12月29日(火): 全体ミーティングで社長に本格導入を提案してみた

 今日は会社の全体ミーティングの日。まだ、1週間しか使っていないが、「Trello」の使い勝手が思ったより良いので、そのメリットをみんなに紹介してみた。興味を持った同僚もいるが、「今までのやり方を変えたくない」という顔をした人もいて、賛否は半々といった感じだろうか?

 ただ、進捗管理については、既に社内で問題が起きている。今回のプロジェクトだけでなく、他にも使える場面があるはずだ。

【飛田】と思うのですが、「Trello」を本格的に導入してみてはどうでしょうか?

【社長】うーん、それって今の進捗管理のやり方を、全部置き換えることになるよね。大変じゃない?

【飛田】でも、社内で何人か動いているプロジェクトだと、細かいトラブルが起きているように見えますけど……。

【社長】それは把握しているけど、原因って使っているツールだけの話なの? 「Trello」が良いのは分かるけど、それで問題が解決するイメージが、いまいち見えないんだよなぁ。

 その後もいろいろとアピールしてみたが、社長の腰はどうにも重い。そういえば、先ほどのミーティングでも、スタッフの反応はイマイチだった。自分のトークは何か決め手に欠けているのだろうか?

 上手い事いけば有料プランに契約して、ファイルのアップロード上限を増やせるかと思ったのだが。この前のインタビューで紹介してもらった、「Confluence(コンフルエンス)」という社内Wiki的なサービスにも興味があるし、何とか社長を説得したい。

無料プランでも十分に使えるが、月額9.99ドルからの「Business Class」プランに加入すると、添付ファイルの容量制限などが緩和される
同じくアトラシアンの社内Wiki的サービス「Confluence」。これで社内資料を作ると、かなり便利そうなのだが……

【飛田】そういえば、アトラシアンさんが「中小企業のTrelloの使い方」に興味を持っているようなのですが、一度会ってみませんか? 僕もまだ把握していないようなメリットとか、知っていると思いますし。

【社長】うーん、そうだねぇ。それじゃあお願いするかな。

 ということで、うちの会社のDXの行方は、アトラシアンさんの協力に委ねられることになった。これで、“中の人しか知らない”ようなテクニックが出てくれば、今のプロジェクトでも使えるはず。どんな話が聞けるか、今から楽しみだ。

「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」記事一覧

※編集部より
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(協力:アトラシアン株式会社)

飛田九十九