急遽テレワーク導入!の顛末記

「もう、LINEのビデオ通話でいいんじゃない?」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(3)

はじめてのビデオ会議編

 緊急事態宣言にともなうテレワークの普及により、ビデオ会議の導入が急ピッチで進んでいる。社外との打ち合わせだけでなく、社内のミーティングもオンラインで行うケースが増えているようだ。

ビデオ会議に対応すべく、この一カ月でノートPCに様々なクライアントソフトをインストールした

 ……この記事を書いている時点で、7都府県の緊急事態宣言発令から約1カ月が経った。その延長も発表され、まだしばらくはテレワークが続きそうだ。

 私が勤めている新宿にある中小企業でも、社内での全体ミーティングをオンラインで行うことになった。1回目はLINEのグループ通話で。そして2回目はビデオ会議で。

 グループ通話のドタバタは前回紹介した通りだが、それを踏まえて行ったビデオ会議もなかなかスマートとは言えない展開になってしまった。その顛末を紹介していこう。

【今回のハイライト】
Zoomでミーティングをスケジューリング!
紆余曲折で、LINEのビデオ会議に。しかし……
ノートPCのベストポジション?


4月22日(水):GW中の感染拡大に懸念、接触8割減が呼びかけられる
Zoomのミーティングをはじめて作成!

 LINEのグループ通話による社内ミーティングを行った翌日、会社の役員から次回のミーティングについて「ビデオ会議でやりたい」と相談があった。

 私が社外との打ち合わせを何度かビデオ会議で行っているのは、役員も把握済み。その流れから「場を用意してほしい」という話になる。

 それまで私が参加した会議では、ツールとしてSkypeZoomを使っていた。

 Skypeだとアカウントの作成、アプリの設定が必要なので、 手軽さならZoom だろう。

Zoomでミーティングのスケジューリングに成功(?)

 これまではゲストでの参加ばかりだったので、今回はじめてZoomでアカウントを作成する。ソフトを立ち上げると、どうやら「スケジュール」からミーティングを作成できるらしい。

 さっそく、来週の火曜日に予定を登録。招待メッセージをコピーして、LINEの社内連絡用トークルームに一斉配信した。

 Zoomでの会議はすでに何度も経験済み。「今回はスマートに会議ができそうだ」なんて、この時は思っていた。


4月23日(木):政府がスーパーの入店規制を全知事に要請
「もう、LINEでいいんじゃない?」

 来週の社内ミーティングに向けて、Zoomの使い方をもう少し調べてみる。その中で、いくつかの問題が明らかになった。それは……

・無料アカウントでは参加人数が3人以上の場合、最大40分までしか利用できない
・無料アカウントでは会議の録画ができない

ということ。

ミーティングの設定における「経過時間」の項目は、15分刻みのプルダウンメニューになっているので、実際には30分しか会議ができないということだろうか?

内容を進捗報告だけに絞っても、とても収まり切りそうにない。

 役員にLINEで相談したところ、「 もう、これ(LINE)でいいんじゃない? 」という話になった。

LINEのグループビデオ通話には、最大200人まで参加できるらしい

 LINEの公式サイトで「グループビデオ通話」についてのヘルプ情報を確認すると、どうやら最大200人まで参加できるらしい。

 制限時間についての情報はないが……、書いていないということは、無いということだろう。

 昨日の今日で会社の皆さんには申し訳ないが、会議をLINEで行うことをトークルームに一斉配信する。何かの準備は必要なく、参加メンバーに何かをお願いすることもない。

 ある意味、今の日本で最も手軽なビデオ会議の環境かもしれない。


4月28日(火):休業要請に応じないパチンコ店の店名を大阪府が公表
ビデオ会議当日!あれ……………?

今回のミーティングはLINEで行うが、いつでもカメラアングルを確認できるZoomの設定画面を使って、カメラアングルを確認しておく

 週が変わって2日が経ち、火曜日。全体ミーティングの日になった。

 開始時間の少し前にノートPCを立ち上げて、カメラの画角を確認する。どうやら後ろに余計なものは映ってなさそうだ。

 向かって正面にある窓のカーテンを全開にすると、顔が明るく見えるようになった。一方で、画角に入る天井の明かりを消して、背後にある窓はレースのカーテンだけの状態にしておく。部屋が明るすぎると、顔が暗く見えてしまうのは、これまでのビデオ会議で経験済み。「警察の取り調べ」的なイメージで、顔に直接デスクライトを当てたこともあったが、今はこの形に落ち着いている。

役員から届いたグループ通話の招待に参加する
LINEでも、ビデオ通話の場合は、カメラ映像を事前に確認できるようだ

 やがて定時になり、役員からグループ通話の招待が届く。

 「参加」ボタンをクリックすると、カメラのプレビューが表示された。

「ここで、慌てて部屋を片付けている人もいるのかなぁ」なんて思いながら、さらに「参加」ボタンをクリックすると、画面に次々と同僚の顔が表示されていく。

緊急事態宣言から約3週間、久々にみんなの姿を見ることができた

ビデオ会議開始!あれ………?
しばらくすると同僚の顔が画面に……あれ?ひとりだけ映像が変………

[飛田] あれ? Cさんの画面、天井が映っていませんか?
[Cさん] ごめん、まだシャワー浴びてないから、このままでいいや

 え、それってアリなの?と思わず突っ込もうとしたのだが、どうやら問題はそれだけではなく(苦笑

 まずはBさん。「天井の映像固定」ではないものの、すぐに映像が天井になる。どうも上手くスマホを固定できていないようだ。

 Dさんは操作が分からないらしく、Aさんに使い方を聞いている。 別の電話で

 そして、社長の映像は一昔前の衛星中継のようにコマ落ちしている。

  えーと、、、と思っていたら、

[役員] それでは時間になりましたので、ミーティングを始めたいと思います

  あ、これでいいんですね……。

 前回のミーティングのドタバタで鍛えられたのか、役員が全く動じない様子で話し始めた。

Cさんに引き続き、社長の顔が画面から消えた……。

 「おはようございます」と対応できる人で挨拶をして、まずは社長から話があった。

 これからゴールデンウィークに入るが、緊急事態宣言が延期される可能性が出てきたので、休み明けの出社については柔軟に対応したい。テレワークについても、可能な範囲で続けていく、と。

[役員] あ、社長、顔が全然動いていないです

 ……うん、みんなそう思っていたよね。

元々コマ送りだった社長だが、話をはじめると、回線の負荷が高くなったのか、1秒1コマぐらいのペースに低下。映像はもはや「固まっている」状態だ。

[飛田] 社長は今、会社ですよね。ネットは事務所のWi-Fiにつながっていますか?
[Aさん] ごめんなさい、実は声も聴きにくくて、議事録が取りづらいです
[Bさん] 「もっと窓際に移動した方が、電波が良くなるのでは

 ミーティングの開始からわずか数分、社長のネット環境がフルボッコにされはじめた。使用しているスマホは4G回線につながっているようだが、その電波状況がどうにも悪いらしい。

[Cさん] ……映像を落とした方がいいんじゃないですかね

 やがて、シャワー前のCさんの言葉に従って、社長のカメラ映像がオフになる。すると今までトンネルの中にいるように反響していた社長の声が、クリアに聞こえるようになった。

[Bさん] あ、これなら議事録がとれそうです。続けてください

 シャワー前のCさんに続いて、まさかの社長の映像リタイアである。

一人、また一人とみんなの顔が消えていく……(画面から)
会議の開始から約30分後、3人の顔が画面から消えた……。

 その後は、いつものようにミーティングが進んでいったが、社長やシャワー前のCさんに向けて何かを話しているとき、「あの、聞こえていますよね?」と皆がたびたび確認していた。

 いっそ全員の顔が見えていなければ違っていたかもしれないが、一部の人だけ顔が見えていないと、「声が届いているか?」がどうにも不安になってくる。

 そして、それに応えるかのように、社長も「聞こえていますよね?」とみんなに確認しはじめる………確認合戦だ(笑

 これは後から聞いたのだが、社長のスマホでは、ビデオをオフにした時から、参加者の顔がずっと固まっていたらしい。ああ、なるほど………

 やがて、30分ほど過ぎると、今度は議事録を取っていたBさんの声も聞こえにくくなってきた。

 みんなの声もBさんに届きにくくなっていたようで、「済みません、僕も映像を落とします」とビデオがオフに。

 一人、また一人とみんなの顔が画面から消えていく……

首が痛い………

 ちなみに、私の方もトラブルがなかったわけではない。

 長時間にわたり、机に置いたノートPCに向かっていたため、どうにも首が痛くなってきた。

 しょうがないので、ノートPCの下にハードカバーの本を重ねていき、最終的にはひじの高さまで積みあげた。おかげで首は疲れなくなったが、ちょっとキーボードは叩けそうにない。

ビデオ会議における、“首が疲れない”ノートPCのベストポジション

結局、何があったのか……

 そうしているうちに、何とかはじめてのビデオ会議による全体ミーティングは終了。

 社長やBさんに後日、ミーティングの時に何があったのか聞いてみた。

【社長】

 「実は最初からみんなの声が聞きにくくて、映像をオフにしたら、ようやくまともに聞こえるようになった。すると、今度はみんなの映像が動かなくなったので、話しているときにリアクションがないと、ちょっと不安になったかな。途中からAさんが頻繁に相槌を打ってくれるようになって、ようやく安心できたかも」

【Bさん】

「前回に引き続いて、自宅のSoftBank Airをスマホにつないでいたのですが、途中から電波状況が悪くなったみたいです。途中でビデオをオフにすると、皆さんの声が聞きやすくなりました。会議が始まる前にルーターの位置を調整していたので、最初は良かったのですが……。あ、スマホが上を向いていた件ですか? 机の上に置いていたのですが、どうにも滑って顔の方を向いてくれなかったので、今度の会議までにスタンドを用意したいと思います

 今回ははじめてということもあり、いろいろと準備が不足していたが、次回はもう少しスムーズに全体ミーティングができると思う。

 ただ、会議当日の様子についてヒアリングしていると、社長がこんなことを言っていた。

【社長】

「映像がなかったせいもあるけど、ビデオ会議だとみんなの反応がどうにも薄い気がした。例えば、いろいろな話題が出る中で、特に大事なことを話しているときにも、その重要性が伝わっていない気がする。もっとリアクションがあって欲しいし、活発に意見も交わしてほしかった。そうした会議の本来の意味を見直すには、良い機会になったと思う」

 ビデオ会議では相手のバストショットしか画面に表示されず、そのサイズも小さいため、全員の表情などを把握するのは難しい。今までに以上に情報を伝えようとする努力が必要だし、そのクオリティを保つための通信環境も重要だ。

 そういえば、先日に申請をした「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」はどうなったのだろうか。ゴールデンウィーク明けの過密スケジュールが解消されたら、状況を一度確認してみたいと思う。

※編集部より
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飛田九十九