急遽テレワーク導入!の顛末記

「ビデオ会議の音と画質、超お手軽にUPさせたい!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(18)

スマホやタブレットがZoom会議に大活躍

Zoomビデオ会議中のスマホ画面を、PCのディスプレイにミラーリング

 9月に入って、社内では出勤と在宅勤務を使い分ける人が増えてきた。そんなスタッフ間での連絡などに、Zoomのやり取りは増える一方。急な対応が必要なシーンも出てきて、バタバタしている姿をよく見かける。もちろん、自分も含めて。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから102日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では、社内コミュニケーションにLINEを使っていたが、緊急事態宣言にともなって急遽Zoomを導入。社内外での連絡などに、手探り状態で使い続けている。今回はその様子をお伝えしたい。

【今回のハイライト】
シンプルだがアウトプットは抜群なZoom環境
画面が裏でも、ちゃんとZoom会議に参加中…
会議の欠席者の席に、タブレットを置いてみた

【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境が整えていく……

【4~8月末までの顛末はこちら】

8月26日(水): 「爆笑問題」の田中裕二が感染発表した日一周回ってiPhone+ヘッドセットが最強?

 夏休み明けは予定がびっしりと埋まり、出勤する日々が続いている。こういう忙しい時に「ビデオ会議に参加できない?」などと急に言われると、どうしても対応にバタバタしてしまいがちだ。

 先日も気が付いたらノートPCにヘッドセットを繋ぎ、後はそのままビデオ会議に参加していた。普段は外付けカメラを使うなど、映像にも気を遣っているのだが……。もっとインスタントに、きれいな映像でビデオ会議に参加できないものだろうか。

初心に戻って、iPhone+ヘッドセットでビデオ会議に参加してみた
iPhoneのインカメラからの映像。なかなか悪くない

 そこで、iPhoneにヘッドセットをつないだところ、映像も音声もかなりクリアな状態でビデオ会議に参加できた。この時に稼働しているのはインカメラだが、ノートPCのカメラ映像よりも明るくキレイに映っている。やはり、iPhoneは偉大だ。

 iPhoneをパパッと操作するだけで、ビデオ会議に参加できるのはかなり楽だ。ただ、やはりスマホの画面は、参加者全員の顔色をうかがうには小さい。結局、それが理由で、Zoom会議にはPCを使っているわけだが……。

スピーカービューならまだ相手の表情も見えるが、ギャラリービューでは一人一人の表示が小さすぎる…

8月27日(木):東京都が23区の時短要請を延長した日ミラーリングでiPhoneが仮想カメラに!?

 あれから“スマホでZoom環境”のことを考えているうちに、ふとミラーリングのことを思いついた。カメラは高画質なスマホのものを使い、映像はミラーリングしてPCのディスプレイに大きく表示する。これって、一つの正解ではないだろうか?

 スマホの画面をPCにミラーリングさせるには、アプリを使うのが一番カンタンだ。この手のアプリはいくつもあるが、今回は「ApowerMirror」を使うことにする。クライアントをPCにインストールして起動。あとは、iPhoneならコントロールセンターを開き、ミラーリングの設定を開けば、PCが自動で認識された。

スマホの画面をミラーリングして、PCで起動した「ApowerMirror」に表示

 音声テストもしてみたところ、ミラーリングした状態でも、音声はスマホに接続したヘッドセットでやり取りできた。さらに、この状態ならスマホの画面を見る必要がないので、裏返してメインカメラが利用できる。これは嬉しい誤算だ。

「カメラの切り替え」機能でメインカメラを有効に。これでiPhoneは完全にカメラ代わりになった

 以前にも「LifeCam Cinema HD」というアプリを使って、iPhoneを仮想カメラとして利用したが、その時は映像の遅延が気になった。この方法なら遅延も少なく、起きていたとしても、会議の相手に届いている映像には影響がない。

 PCにある資料を共有できないのが難点だが、ゲスト参加するならこれで十分だろう。今後は状況よって、PCとスマホを使い分けてビデオ会議に参加したい。

9月1日(火):マイナポイントがスタートした日タブレットでビデオ会議の臨場感がUP

 今日は全体ミーティングの日。この日も2人が自宅からZoomで参加していたが、ふと思い付いて自前のタブレットを、そのうちの一人であるAさんの席に置いてみた。そして、画面を固定してAさんを常に表示させる。この状態でビデオ会議に参加してもらった様子がこちらだ。

Aさんが席に座っているように…は見えないが、それに近い雰囲気になった

 これまで、在宅勤務の人がZoomで会議に参加した際には、それを会議机置きのモニターにまとめて表示していた。この時、表示はギャラリービューのため、一人一人の表情は小さく見えにくい。しかし、タブレットに全画面表示すれば、普段会議に参加しているときと同じように、Aさんの顔色を横目にうかがうことができた。……「ちょっと眠そうだな?」なんていうのも含めて。

 共有したドキュメントをモニターに表示しながら、発言中のAさんをそのままタブレットに表示させ続けられるのも2画面ならでは。会議の臨場感をアップさせるのには有効な方法かもしれない。

9月2日(水):都立高校でクラスターが確認された日会議室に1台、タブレットを置いてみるのもアリ?

 慌ただしく外出先から帰って来た社長が、そのままビデオ会議に参加しようとしてアタフタしている。「聞こえていますか?」と何度も繰り返し、こちらの映像が相手に届いていないようだ。

 そこで、タブレットをスタンドに設置。招待メールを転送してもらうと、すぐに会議に参加できるようになった。

【社長】 助かったよ。やっぱりビデオ会議の前は、ちゃんと準備しておかないと駄目だね。
【飛田】 すぐビデオ会議に参加できる環境として、共用のタブレットを用意してもいいかもしれませんね。
【社長】 それいいね。会議の前に「ちゃんと繋がるかな」なんて心配しなくていいし。

 こうしてみると、リモート授業用などにタブレットが売れているのがよくわかる。Zoomを起動すればカメラは自動で認識されるし、ヘッドセットもジャックを刺せばすぐに使えるので、トラブルになりにくい。スマホに比べれば、画面も十分なサイズだ。

「どうぞご自由にお使いください」と、会議室にタブレットを置いてみてもいいかも

 そして、タブレットのカメラ映像が思いのほかにいい。少なくとも、ノートPCよりは、はるかに。これほどテレワークが全盛になるなんて、きっとPC業界は想像してなかったんだろうなぁ。

 クライアントとの打ち合わせ用にヘッドセットとWebカメラを揃えて、PCのZoom環境を突き詰めるのも大事だろう。ただ、もっと気軽なビデオ会議には、iPhoneやタブレットがインスタントに使えそうだ。

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※編集部より
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飛田九十九