急遽テレワーク導入!の顛末記

「同僚と会社にいるのと同じ感覚でおしゃべりしたい!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(27)

雑談にリモート参加しようとしたら、めっちゃ怖がられた件

大丈夫、怖 く な い よ...

 テレワークが日常的に行われるようになり、会社の同僚にメールやチャットで連絡を取る機会が増えた。これはこれで問題はないのだが、たまにオフィスで雑談しているように、顔を合わせて会話したくなるときがある。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから163日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では、「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」を利用してテレワークの環境を整えた。今回はZoomの使い方を一歩進めて、会社の同僚とのコミュニケーションを加速させてみたい。

【今回のハイライト】
会社据え置きタブレットで、音と映像を中継
スピーカーを持ち込んで、音声出力を確保
Bさーん、聞こえる?

【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【4~8月末までの顛末はこちら】

10月29日(木):会社の様子を中継!仕事に身が入る(?)

 今日は自宅でテレワークだが、ふと思いついてリモートアプリの「AirDroid」を起動。「リモートカメラ機能」を有効にすると、会社の様子が画面に表示された。

「AirDroid」の画面に、タブレットの内臓カメラからの映像がライブ表示された

 これは、Android端末をネットワークカメラ代わりに利用するという機能。今回は会社に置いたままのタブレットにアクセスし、内臓カメラからの映像、マイクからの音声を中継してみたというわけだ。

 そのまま「AirDroid」のウィンドウを画面の隅に表示したまま作業を続けると、まるで会社にいるような感覚で仕事ができた。「自宅でひとり仕事をしていると疎外感を感じる」という声を聞くが、このように会社の様子を中継するのが、ひとつの対策になるかもしれない。

リモート接続を許可するには、タブレット側で初期設定が必要

 なお、LANネットワーク外のAndroid端末で「リモートカメラ機能」を利用するには、「AirDroid」のプレミアム会員(月額2.99ドル)になる必要がある。その上で、タブレット側で初期設定を行い、「セキュリティ&リモート機能」の「カメラ」を有効に。音声を中継させるのであれば、さらにメニュー内の「One-Way Audio」を有効にする。

 こうしたリモート操作やリモートカメラといった機能は、初期状態ではすべてオフになっている。なので、必要な機能から順次有効にしていくのが良さそうだ。

11月2日(月):リモート操作されたPCは、傍から見ると怖い?

 今日も自宅でテレワーク。会社のパソコンに保存したデータが必要になったので、「AirDroid」で会社に置きっぱなしのタブレットをリモート操作し、そこにインストールした「Wake One Lan」というアプリを起動。会社のパソコンを遠隔操作で起動させる。

会社のパソコンをリモート操作するのにも、すっかり慣れた

 ここまで来たら、後は「Chrome Remote Desktop」を利用して、会社のパソコンを遠隔操作すればいい。ドキュメントフォルダーからワードファイルを開き、原稿の続きを書いていると……。

【同僚のBさん】えっ?何か飛田さんのパソコンが勝手に動いてる……

【隣の机のAさん】あぁ、INTERNET Watchの記事で見たんですけど、それ飛田さんが自宅から操作しているみたいですよ。

 「AirDroid」を「リモートカメラ機能」に切り替えていたので、そんな声がパソコンのスピーカーから聞こえてきた。誰も席に座っていないのに、勝手にパソコンが動いているのは、ちょっと不気味かもしれない。ここは、安心させるために、原稿を書くのを中断して、と……。

「怖くない」って言ってるのになぁ

【同僚のBさん】「大丈夫、怖くないよ」って、えっ! 何か勝手に文字が入力されたんだけど。これって、飛田さんに聞こえているの!?

【隣の席のAさん】モニターの横にタブレットがありますよね。そこから音と映像を拾っているみたいです。

【同僚のBさん】何それ。怖っ!

 うーん、Aさんには事前に伝えていたのだが、他の同僚にも話を通しておくべきだったか。ただ、一斉LINEで「リモートカメラ機能」のことを説明すると、みんな面白がって話を聞いてくれた。今後も自宅でテレワークをするときには、ちょいちょい「リモートカメラ機能」を使ってみたい。

11月4日(水):自宅から同僚の雑談に混ざりたい!

 今日は時差出勤を兼ねて午前中だけテレワーク。ある案件の企画案を考えていたのだが、「AirDroid」の「リモートカメラ機能」を有効にしていると、同僚が雑談でネタに使えそうな話をしていた。

 「AirDroid」の音声は一方通行なので、こういう時は、テレワークの距離感がもどかしい。最終的にはLINEを同僚に繋いで話を聞いたのだが、もっと“会話に混ざる”ように、オフィスの同僚と雑談ができないものだろうか。

 そこで、ふと思いつき、自宅で余っていたスピーカーを会社に持っていくことにした。これをデスクトップパソコンに接続。会社のパソコンには音声出力がヘッドセットしか無かったが、これで“声を出す”準備ができた。

自宅ではもっぱら目覚まし時計として使っていたBluetoothスピーカーを、会社のパソコンに有線接続

11月9日(月):Zoomを使って、会社にいるのと同じ感覚で雑談

 自宅で書類仕事中に、ふと会社の同僚に話を聞きたいことが出てきた。ここは、以前から準備していたスピーカーの出番だろう。

 まずは、自宅のパソコンでZoomを起動し、会社のパソコンのアカウントをミーティングに呼び出す。あとは、「Chrome Remote Desktop」で会社のパソコンをリモート操作して、その着信を受ければ……

【飛田】Bさんー、ちょっといいかな?

【同僚のBさん】うわっ、ビックリした。飛田さんまたですか!

自宅ではもっぱら目覚まし時計として使っていたBluetoothスピーカーを、会社のパソコンに有線接続

 といった感じで、ほんの1分弱の操作で会社の同僚と会話できるというわけだ。この方式の良いところは、電話と違って多対一の会話ができること。

【飛田】ということで、Aさんにも聞きたいんだけど……。

【隣の席のAさん】えっ、私もですか?

 というように、会社にいるのと同じ感覚で話ができる。これで、「AirDroid」の「リモートカメラ機能」で気になる話が聞こえたときにも、すぐに会話に混ざることができるだろう。今回はZoomを使用したが、スポット的な利用であれば、利用時間に制限のある無料アカウントでも問題なし。ただし、スピーカーとマイクの配置によっては、ハウリングが発生するので注意が必要だ。

 テレワークをしていると、どうしてもスタッフ間のチームワークが鈍化してしまう。Slackなどのチャットツールも便利だが、たまには顔を合わせて会話をすれば、より円滑なコミュニケーションを保てるかもしれない。

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※編集部より
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飛田九十九