急遽テレワーク導入!の顛末記

「WoLいらず! 最新ファイルだけ自動でNASにバックアップする仕組みを作ってみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(91)

アプリの自動回復用データに、NAS経由で自宅からアクセス

Wordなどのアプリでは、作業中のデータが自動回復用データとしてファイルに保存される

 会社のPCにあるファイルが必要になった時などに、リモートデスクトップで遠隔操作する機会が増えている。とはいえ、ほんの数分の操作のために、「Chrome リモートデスクトップ」を使うのも面倒なので、もっと楽に会社=自宅間でファイルを共有できる方法はないものだろうか?

……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が適用されてから49日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はアプリの自動回復用データをバックアップして、“最近使ったファイル”だけお手軽に遠隔アクセスできるようにしてみた。

【今回のハイライト】
自動回復用データをNASに自動バックアップ
Wordのデータだけ開かない?
テキストエディタで代用することに

3月4日(金): vProロスでWoLが面倒に……。さて、どうしよう

 今日も自宅でテレワーク。作業の途中で会社のPCにあるデータが必要になったので、「Chrome リモートデスクトップ」で遠隔操作して、ファイルをダウンロードすることにした。

 先日までは編集部から借りた「インテル vPro プラットフォーム」を搭載したPCが会社にあったので、それを自宅から遠隔操作。Wake on LAN (WoL)を使って、同じネットワークにある会社のPCの電源をオンにできたのだが……。vPro搭載マシンを返却したことで、WoLで電源を入れる方法がなくなってしまった。今回は会社に電話して、同僚にPCの電源を入れてもらったが、何か別の方法を考える必要があるだろう。

vPro搭載マシンなら自宅から遠隔で電源を入れられたので、WoLのアプリをインストール。会社にあるほかのPCの電源を入れることができた

3月7日(月): 自動回復用データを「BunBackup」で自動コピーしてみた

 今日は出社してオフィスで仕事をすることに。作業が一息ついたところで、会社のPCに保存されたデータに、自宅からアクセスする方法を考えることにした。

 とはいえ、以前からWoLのために常時起動させていたノートPCは、すっかりバッテリーがヘタってしまった。また、常時起動させるのも怖いので、何か別のアプローチでファイルにアクセスする方法を構築したい。

 リモートデスクトップを利用する以前は、OneDriveなどのオンラインストレージを使うか、VPN経由で会社にあるNASにアクセスしていた。ただ、オンラインストレージは保存できる容量に限りがあるため断念。NASは常時電源が入っているので、WoLは必要ないのだが、帰宅時にいちいちファイルをコピーするのを忘れてしまう。「BunBackup」などのバックアップツールを使うにしても、HDD内のデータを全て保存するには、やはり容量が足りない。

 つまり、PCにある全てのデータをNASやオンラインストレージに保存するのではなく、最近使ったファイルだけ自動でNASにコピーする仕組みを作れば、この問題は解決できるのではないだろうか?

自動回復用データの保存場所は「オプション」画面から確認可能。保存場所を変更することもできる
デフォルトでは「Excel」や「Word」などの各フォルダ内に、各ファイル名のフォルダが作成され、そこにデータが保存されていた

 そこで、目を付けたのがWordやExcelでの作業中に作成される自動回復用データ。これだけNASやオンラインストレージに自動でコピーする仕組みを作れば、最低限の容量しか使わずに必要なファイルだけをコピーできそうだ。

 WordやExcelなどの自動回復用データの保存場所は、各アプリの「オプション」画面で確認できる。保存フォルダを確認したところ各ファイル名がついたフォルダごとに自動回復用データが保存されていたので、その上位フォルダにあたる、アプリ名のついたフォルダを丸ごとコピーするように「BunBackup」のルールを作成しておいた。なお、デフォルトでは各アプリの自動回復用データの保存間隔が長めに設定されているので、「BunBackup」でのバックアップと同じタイミングで実行されるように調整しておいた方がよいだろう。

「BunBackup」でファイルをコピーするルールを作成。バックアップの間隔は5分など短めに調整しておきたい

3月8日(火): 自動コピーしたファイルに、自宅からアクセスしてみたが……

 自宅のPCからVPN経由で会社のNASにアクセスしたところ、昨日自動でコピーしておいた自動回復用データを開くことができた。これで、もし会社にファイルを置き忘れたとしても、いちいちリモートデスクトップを使わずに、データを確認することができそうだ。

 ただ、ExcelやPowerPointの自動回復用データは、「xlsb」や「ppt」といった形式で保存されていたのだが、Wordだけ「asd」という独自の形式が使われていた。そのファイルをWordで開こうとしても、エラーメッセージが表示されてしまう……。拡張子を本体と同じ「docx」にしてもダメ。一体どうすれば、このファイルの中身を確認できるのだろうか?

Wordの自動回復用データは、「asd」という拡張子の自動回復文書用の形式で保存されていた
asd形式のファイルをWordで開こうとしても、エラーメッセージが表示されてしまう

3月9日(水): asdファイルには一部のデータしか保存されていない?

 あれから色々と試してみたが、「asd」形式のファイルをGoogleドライブに保存したところ、それをWebアプリの「ドキュメント」で開くことができた。テキストエディタで開いたときには完全に文字化けしていたのだが、この方法なら入力したテキストを読むことができる。

 ただ、「asd」形式のファイルには、どうやら入力中のテキストの一部しか保存されていないらしい。ドキュメントで表示できたのは最初の1ページほどのデータだけで、残りのテキストは途切れていた。

Googleの「ドキュメント」なら、「asd」形式のファイルを開くことができた

 個人的にはOffice系だとWordを利用する機会が一番多いので、その作業データを完全バックアップできないのは困る。何らかの方法で解決しておきたい。

3月10日(木):自動回復用ファイルを作成するテキストエディタを使ってみた

 結局、今回の方法でWordのバックアップを取ることは諦めた。ただ、原稿を作成する際などに、Word固有の機能を使っている時間はほんの数分に過ぎない。ならば、文字の入力に使うアプリを別のものに切り替えて、必要な時だけWordを使用するのはどうだろうか?

 Windows標準の「メモ帳」のようなテキストエディタには、データの自動バックアップに対応するものがある。その中でも今回はフリーの高機能エディタ「Mery」を利用することにした。現在、ベータ版が3.3.5まで公開されており、このバージョンなら自動バックアップの機能が利用できる。ちなみに、1回も保存の操作をしていないファイルも、「無題-1」といった名前で保存してくれるので、最初のファイル保存前にPCがフリーズしても安心だ。

「Mery」のベータ版には自動バックアップ機能が用意されている
「ファイル」メニューで「自動保存」を有効に。さらに、「オプション」画面から保存場所などを指定できる

 Meryの自動バックアップデータは好きな場所に作成できるので、これを「BunBackup」でNASにコピーするルールを作成しておいた。これで、原稿・表組・スライドの全てを、最新のものだけ自動でバックアップする環境が完成。NASやオンラインストレージの容量が不足してきたら、古いものから定期的に削除すればよいだろう。

 「Chrome リモートデスクトップ」など多くのリモートデスクトップ機能は、スリープやシャットダウンしたPCを操作できないので、電源の投入にひと手間かかる。しかし、この方法ならWoLの方法を考えなくても、手軽に会社のPCにあるファイルにアクセスすることができそうだ。

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※編集部より
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飛田九十九