急遽テレワーク導入!の顛末記

「iPhoneの電源が入らなくなった!! 端末のデータはどこまで復元できる?」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(120)

チャージ金額など、クラウド上の保存データを端末上に全部復元できるのか?

完全に故障したiPhone。結局買い替えになったが、交通系ICカードのチャージ金額などは復活するか?

 テレワークが始まってから、電話の対応などで今まで以上にスマホの重要性が増している。その一方で最近では通勤する機会も増えており、交通系ICカードやバーコード決済用のアプリが欠かせないツールとなっている。

……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから242日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はその大事なスマホが突然壊れたとき、どうすればデータなどを普及できるか、その一部始終を紹介したいと思う。

【今回のハイライト】
修理予約をしてみたものの……
「Suica」や「PASMO」の移行は?
dポイントアプリにログインできない

10月28日(金):iPhoneの電源がまったく入らない…

 今朝起きてみると、充電器の上に置いておいたiPhoneが、まったく電源が入らなくなっていた。純正の電源アダプターをコンセントに挿し、USBケーブルでiPhoneと繋いで、しばらく充電してみてもダメ。どうやら故障してしまったようだ。

 このままでは困るので、アップルの公式サイトにアクセス。持ち込み修理の予約を取ろうと思ったのだが、途中でApple IDへのログインが必要となり、そのためには端末に届いたコードの入力が必要らしい。……いや、その端末の電源が入らなくて困っているのだが。

アップルの公式サイトから、「iPhoneの修理サービス」のページにアクセス
「電源が入らない」場合の解決策として、「持ち込み修理」の依頼をしようとしたのだが、予約には端末に届いたコードが必要らしい

 代替機があればSIMカードを挿し替えてコードを受信できそうだが、手持ちの端末がないので断念。出勤途中にApple Storeに立ち寄ることにした。ただ、Genius Barの予約が既に埋まっているようで、対応してもらえるのは週明けになるようだ。

 退勤後に自宅に帰ってiTunesを確認すると、バックアップを取ったのは3カ月前だった。何とか端末を修理して、データを復元できれば良いのだが。

11月1日(火):Apple StoreのチェックインにQRコードが必要

 今日はGenius Barの予約日。Apple Storeからチェックイン用のメールが届いたので、これを印刷して持っていくことにする。やはり、こういうときはスマホの画面にQRコードを表示できないと不便だ。

予約の際に伝えたアドレスにメールが届いたが、QRコードを表示させるモバイル端末がない……

 その後、スタッフにiPhoneの様子を見てもらったのだが、どうも基板が壊れているようで修理は不可能。端末交換になるらしい。つまり端末に保存されたデータのサルベージはできないようだ。

 結局、今回はSIMフリーの新しいiPhoneを購入することにした。SIMカードを挿し換えて、iTunesのバックアップデータを端末に復元。バックアップデータが暗号化されていたため、復元時には覚えのないパスワードを要求されて焦ったが……。記憶をたぐり寄せて無事に解決。さらに、iCloudにログインするとアプリのインストールが始まり、何とか3カ月前の状態に端末を復元することができた。

バックアップデータはiTunesの「編集」→「環境設定」から確認できる。ここに表示された鍵のアイコンが、データが暗号化されていることを示している

11月4日(金):交通系ICカードのチャージ金額を取り戻したい!

「日本国内用」の証明書を再発行すると、過去全ての接種の証明書がアプリ上に表示された

 iTunesのバックアップデータを復元したことで、過去にインストールしていたアプリが、新しい端末でも利用できるようになった。クラウドにデータを保存しているGmailなどのアプリについても、既存のアカウントでログインすることで、前と同じ環境で使えるように。デジタル庁から提供されている「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」も、アプリ内で「再発行」手続きを行い、マイナンバーカードを読み込ませることで、証明書を最新の状態に更新できた。

PASMOでは機種変更した場合にも、登録情報を引き継げるらしいが…

 ただ、1つ面倒だったのが、「Suica」や「PASMO」といった交通系ICカードのアプリ。

 「PASMOの削除・Walletアプリで再追加する方法」についてのヘルプがあったので確認すると、“以前に利用していた端末からのPASMO情報の削除”が必要らしい。いや、前の端末は電源が入らないのだが……と思ったのだが、どうやら新しい端末からでも操作ができるようで、iCloud上の登録情報を新端末から削除。その後に「ウォレット」アプリを起動すると、カード情報を新端末に登録することができた。

「設定」→「(ユーザー名)」と操作して、カード情報を削除する端末を選択。「ウォレットとAPPLE PAY」欄で「項目を削除」をタップする。「削除中」と表示され続けるが、この時点ですでに登録情報は削除されているようだ
「ウォレット」アプリで交通系ICカードの情報を、「以前にご利用のカード」から復元できるようになった

 ちなみに、Suicaについても同じ方法でカード情報を復元できた。交通系ICカードにはそれなりの金額をチャージしていたのでヒヤヒヤしたが、無事に元通りに使えるようになって一安心だ。

11月7日(月):dアカウントの再発行はサポートダイヤルでは対応NG!

 先ほど復元に手間取ったデータとして交通系ICカードを挙げたが、実はもう1つ復元に時間がかかったデータがある。それが、「dポイント」と「d払い」で利用しているアカウント情報だ。

バックアップから「ウォレット」アプリに登録していたdポイントカードは復元できたが、アプリにログインできない…

 というのも、バーコード決済に利用しているアプリのうち、「PayPay」や「楽天ペイ」については、iTunesから復元した時点で利用が可能になっていたのだが、「dポイント」と「d払い」については、dアカウントでのログインが必要。そのIDが分からないため、過去に使っていたアカウントが、アプリで使えなくなっていた。

アプリの利用にはIDとパスワードの入力が必要
プラスチックカードのカード番号からIDを確認しようとしたが、電話番号を登録していなかったようで、確認用のワンタイムキーを受け取ることができなかった

 その後、公式サイトから電話番号やメールアドレスで照会してみたのだが、IDを確認することはできなかった。そこで、dポイントカスタマーセンターに電話で問い合わせてみたのだが、どうやらID情報の確認にはドコモショップに行く必要があるらしい。

ドコモショップを利用するには予約が必要とのことで、公式サイトから予約を行った

11月14日(月):本人証明が取れれば、IDを再発行できる

 先日に予約した時刻にドコモショップを訪ね、dポイントのプラスチックカードと身分証明書を渡したところ、ショップ担当者の方でdアカウントのID情報を確認できたらしい。ただ、その情報をこちらに見せることはできないようで、結局IDとパスワードを新規発行することになった。

 ショップでは新しいIDとパスワードが記載された書類をもらえたので、そのアカウント情報でログインしたところ、「dポイント」と「d払い」でこれまで貯めていたポイントなどが利用できるようになった。復元までに時間がかかったが、これだけセキュリティが厳重なら、安心して使うことができそうだ。

ドコモショップで、新しいdアカウントのIDとパスワードを発行してもらうことができた

 バックアップをサボっていたせいで一部復元できないデータもあったが、いろいろ設定などを行うことで、ほぼ元通りの環境にiPhoneを戻すことができた。これで、またiPhoneに何かあっても、慌てずにデータの復元などを行うことができそうだ。

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※編集部より
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飛田九十九