急遽テレワーク導入!の顛末記

「会社のパソコンの電源を遠隔操作でONにしたい!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(25)

Wake On LANの設定をしてみたものの……

WOL用のソフトでデスクトップマシンの電源を遠隔操作する

 会社のマシンをリモートデスクトップで操作しようとしたところ、役員からいくつかの問題点を指摘された。このうち、セキュリティの問題についてはクリアできたのだが……。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから150日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では、「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」を利用してテレワークの環境を整えた。現在は出社と在宅勤務を使い分けているが、その中で業務を快適に行うためにも、引き続きリモートデスクトップの導入を検討していきたい。

【今回のハイライト】
Windowsの設定を一通りWOL仕様に
BIOSの設定も公式に従って変更
最後は力業で……

【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【4~8月末までの顛末はこちら】

10月19日(月):ホスト側でWOLの設定を行う

 会社のマシンをリモートデスクトップで操作するにあたり、残された課題は電源の問題。「Chrome Remote Desktop」などのツールでは、スリープやシャットダウンしたマシンを操作できないので、何らかの方法でマシンの電源を入れる必要がある。

 マシンの電源を遠隔操作するといえば、真っ先に思いつくのがWOL(Wake On Lan)。同じLAN上にあるマシンやルーターから“マジックパケット”を送信すると、それを受信したマシンが起動するという仕組みだ。

 ここでいう“同じLAN上にある端末”は、VPN経由で接続している自宅のパソコンでもOK。ただし、VPN経由ではマジックパケットが届かないという話も聞くが……。ひとまず、試してみることにする。ちなみに、OSはWindows 10だ。

スタートメニューの「Windows システム ツール」から、コントロールパネルを起動。「ハードウェアとサウンド」のデバイスマネージャーをクリック
「ネットワークアダプター」で利用している機器を右クリックして、プロパティを選択。「詳細設定」タブで「ウェイク・オン・マジック・パケット」を有効にする
さらに「電源の管理」タブでWOL関係の設定を有効に

 WOLを利用するには、ホスト側の端末でいくつかの設定変更が必要になる。まずは、デバイスマネージャーを開き、ネットワークアダプターのプロパティを表示。「詳細設定」タブで「ウェイク・オン・マジック・パケット」を有効にしたら、さらに「電源の管理」から、

  • このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする
  • Magic Packetでのみ、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする

 の設定を有効にする。

「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックした上で設定を変更

 続いて、コントロールパネルで「ハードウェアとサウンド」→「電源オプション」と操作し、「電源ボタンの動作を選択する」から「電源ボタンの定義とパスワード保護の有効化」画面を表示。「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外す。

コントロールパネルから「ネットワークと共有センター」を開き、「アダプターの設定の変更」から「ネットワーク接続」画面を表示。イーサネットのプロパティから、TCP/IPv4の設定を変更

 さらに、イーサネットのプロパティから固定IPアドレスを設定。これはマストではないが、後々の操作が楽になる。

Dellの公式ホームページで、必要なBIOS設定を確認

 最後にBIOSの設定を変更する。会社のデスクトップマシンはDELL製だが、公式ページで必要な設定が紹介されていた。「Wake on lan/WLAN」を有効に、ディープスリープコントロールを無効にして設定を保存する。これで、ホスト側でのWOLの準備が整った。

10月20日(火):会社のLAN上でのWOLの動作を確認

「Scan」をクリックすると、LAN上のマシン一覧が表示される

 昨日に引き続き、今日は会社支給のノートPCでWOLの準備を行う。

 ゲスト側のマシンからマジックパケットを送信するには、フリーソフトを使うのが一番手っ取り早い。今回は「nWOL」を利用することにした。ソフトを起動したら、設定画面から「Scan」をクリック。LAN上のマシンが一覧表示されるので、ホスト名やIPアドレスから、ホスト側のマシンがあるかを確認する。

各マシンの電源状態が表示され、電源ボタンからマシンの電源を入れることができる

 この状態で「OK」をクリックして画面を閉じると、メイン画面に各マシンの電源状態が表示された。電源オフのマシンでは、電源ボタンが有効になり、クリックするとマシンの電源を入れることができる。

 試しに、デスクトップマシンの電源をオフにしたところ、ステータスがOFFに切り替わり、電源ボタンのクリックで電源を入れることができた。あとは、これと同じことが自宅からできるかだ。

10月21日(水):タブレット経由でマジックパケットを送信する

 あの後、自宅に帰ってから「nWOL」を起動してみたが、電源の状態は確認できたものの、電源ボタンを押しても反応がなかった。「Chrome Remote Desktop」でのアクセスも不可能。翌朝に出社してみると、デスクトップパソコンの電源は入っていなかった。

 やはり、VPN経由でマジックパケットを送るには、VPNルーターの設定変更が必要なようだ。とはいえ、役員にも相談してみたが、識者にわざわざお願いしたセキュリティに、素人が穴を空けるのはどうかという結論に。次に会社のネットワークを見直す機会に、合わせて依頼するとのことだが、しばらくは手を加えられそうにない。

右下の「+」ボタンからLAN上のマシン一覧を表示
一覧から操作するデスクトップマシンを選択

 そこで、最近ある目的から会社に置きっぱなしにしていたタブレットを取り出して、PlayストアからWOL用のアプリをインストールすることにした。

 今回は「Wake On Lan」というアプリを利用。起動して右下の「+」ボタンをタップすると、LAN上のマシンが一覧表示されるので、IPアドレスからデスクトップパソコンを選択して、メイン画面上に表示させる。

「AirDroid」でタブレットを遠隔操作し、「Wake On Lan」を使ってデスクトップPCの電源を入れる

 あとは、このタブレットを自宅から遠隔操作すればよい。タブレットの遠隔操作ソフトはいくつかあるが、今回は既にインストール済みの「AirDroid」を利用することにした。初期設定が多少面倒だが、なかなか使い勝手が良い。

 最後は少し力業になったが、これで自宅からWOLでマシンの電源を入れて、それを「Chrome Remote Desktop」で操作することが可能になった。今回、デスクトップパソコンに固定IPアドレスを振ったので、自宅から電源を入れれば、マシンの共有フォルダーを直接見ることもできる。わざわざ、作業データをNASで管理しなくても、ドキュメントフォルダを共有設定した方が、ファイルの運用がスムーズになるかもしれない。

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※編集部より
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飛田九十九