急遽テレワーク導入!の顛末記

「遠隔操作のストレス改善! Windowsとアプリを高速化してみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(53)

性能不足な会社のデスクトップPCをカスタマイズする

ただでさえ不自由のある遠隔操作で、マシンの動作が遅いとイライラする……

 テレワークを始めてから、会社のPCを遠隔操作する機会が増えた。このPCはメインドライブがHDDのデスクトップマシン。時々動作がもたついて、それが通信ラグのせいだか、スペックのせいだか分からなくなることがある。

 ……この記事を書いている時点で、緊急事態宣言が発令されてから27日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は遠隔操作している会社のPCについて、環境をもう少し見直すことにした。

【今回のハイライト】
IMEの変換時におけるラグを解消
Google Chromeのメモリー使用量を削減
Thunderbirdの操作性を改善する
【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された2020年4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【2020年4~8月末までの顛末はこちら】

5月17日(月):会社のPCを遠隔操作……でイライラ

 先日はマイクロソフトのRPAツール「Power Automate Desktop」を使って、バックオフィスの自動化に着手。そこで作成したフローを、試しに外出先から「Chrome Remote Desktop」を使って実行してみたところ、クラウド経理ソフトの「board」に案件情報を自動で登録することができた。

デスクトップのショートカットから「Power Automate Desktop」を起動し、フローを実行するだけなら、スマホからでも操作できる

 ただ、“実際に案件が登録されたのか?”を確認しようとしたところ、ブラウザーの操作でもたついた。というより、今会社で使っているデスクトップPCは、テレワークに伴って支給されたノートPCより性能が低い。そのため、操作が時々フリーズするのだが、そこに遠隔操作ならではの通信ラグが加わると、かなりイライラすることになる。

 このままだと、遠隔操作に不自由するだけでなく、出社したときに性能の落差に絶望しそうだ。マシンが重いと「Power Automate Desktop」のフロー実行にも影響が出る恐れがあるので、早めに解決しておきたい。

5月18日(火):文字変換のもたつきを解消!Chromeの軽量化も

 会社のPCを遠隔操作していると、いろいろと動作がもたつくのだが、中でも一番気になったのが「入力した文字の変換に時間がかかる」こと。スペースキーを押してから、変換候補が表示されるまでに、1秒弱待たされることがある。

 これについては、Windows標準のIMEの設定をいろいろ見直してみたのだが、「以前のバージョンのMicrosoft IMEを使う」をオンにしたところ、タイムラグなしで文字が変換できるようになった。

タスクトレイでWindows IMEのアイコンを右クリックして、メニューから「設定」を選択。表示された画面で「全般」をクリックすると、IMEのバージョンが変更できる

 さらに、リソースモニターを確認したところ、「Google Chrome」がかなりのメモリー容量を使っていたので、「OneTab」という拡張機能を利用することにする。

これは、普段表示しっぱなしにしているタブを、まとめて保存するブックマークのようなもの。インストールするとタイトルバー左にアイコンが表示され、機能を実行すると今開いているタブがすべてここに保存される。この状態で「このタブグループをロック」の操作を行うと、「OneTab」画面に先ほど保存したタブを常時表示させることが可能だ。

後はアイコンをクリックし、必要な時だけリストからタブを開けばOK。「Google Chrome」ではタブを開くだけメモリーを消費するが、これなら無駄なメモリー容量の消費を抑えられる。実際にタブを8個常時表示させていた頃と比べたところ、メモリー容量を約370MB節約できた。

「chromeウェブストア」から「OneTab」をインストール。アドレスバー横のアイコンから実行すると、現在開いているタブが全て閉じる
「OneTab」画面が表示され、先ほど閉じたタブが一覧で表示される。この画面はタイトルバーのアイコンをクリックすると表示され、タブ名をクリックするとそのタブが開く
「OneTab」の導入前は、「Google Chrome」が約700MBのメモリー容量を使っていたが……
「OneTab」を使って常時表示するタブをなくしたことで、メモリー消費量が約300MBまで減った

 また、Google Chromeのタスクマネージャーを起動すると、今ではほとんど使っていない拡張機能がメモリーを使っていたので、これも使用をオフにする。これでメモリーの空き容量に十分な余裕があれば、ページングファイルを使わない設定も試してみたかったのだが……。OSとGoogle Chromeを立ち上げただけの状態で、空き容量が3GB弱しかなかったので、今回はあきらめることにした。

アドレスバー横の三点ボタンをクリックし、「その他のツール」からタスクマネージャーを起動。容量を使っている拡張機能を確認する

5月20日(木):ThunderbirdとChromeの操作性をUPさせてみた

 あれからもう少し高速化のカスタマイズを試してみたが、Windowsやアプリの設定を変更するだけでは、体感できるほどの効果が見られなかった。なので、ここからは普段からよく利用しているGoogle ChromeとThunderbirdのインターフェイスを見直すことで、頻繁に行う操作そのものをシンプルにしたいと思う。

 まずは、Thunderbirdだが、私はメールを作成する際にアドレス帳を使って宛先を指定する癖があるので、その登録内容を整理することにした。これについては、Thunderbirdでは登録するメールアドレスを、複数のアドレス帳に分けて保存できることが役に立つ。

 Thunderbirdには標準で「個人用アドレス帳」「アドレス帳」「記録用アドレス帳」の3つが用意されている。登録したメールアドレスは、「アドレス帳」に保存されているので、この中から頻繁に使うものを「個人用アドレス帳」に移動。あとは、メールの作成画面でアドレスツールバーを表示させることで、アドレス帳に登録されたメールアドレスを、簡単に宛先などに登録できるようになった。

「アドレス帳」に保存されたメールアドレスのうち、頻繁に利用するものを「個人用アドレス帳」にドラッグ&ドロップで移動
メールの作成画面で「表示」→「アドレスサイドバー」と操作してバーを表示。これで、表示された一覧からメールアドレスをクリックして、宛先などに指定できる

 一方、Google Chromeについては、「新しいタブ」に表示される画面をカスタマイズすることに。ここにはショートカットが作成できるので、「OneTab」に登録するほどではないものの、使う機会の多い二軍的なサイトをアイコンとして配置することにした。

「新しいタブ」の画面で右下の「このページをカスタマイズ」をクリック
「ショートカット」で「カスタムショートカット」を選ぶと、「+」アイコンをクリックしてショートカットが配置できるようになる

 できるだけPCの負荷を軽く、操作手順をシンプルにしておけば、PCの遠隔操作に手間取る回数を減らすことができるだろう。もちろんPCを普段使いする際にもメリットになるので、手持ちのPCにはすべて手を入れておきたい。

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※編集部より
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飛田九十九