急遽テレワーク導入!の顛末記

「自宅に1台だけネット通信できない端末が……、原因は?」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(29)

後付け無線LANルーターに黄色信号、犯人はホームゲートウェイ?

自宅ではauひかりのホームゲートウェイに、無線LANルーターをアクセスポイントとして接続している

 以前に同僚がオンラインミーティングにコマ送り状態で参加していたが、テレワークではとにかくネットワーク環境が重要。というより、今の時代はネットがなければ仕事にならないわけだが、ネットが落ちた時にオフィスならサポートを呼べばいいとして、自宅でトラブった時は自己責任になるのだろうか?

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから172日が過ぎた。

私が勤めている新宿にある中小企業では現在、スタッフが可能な範囲で出社と在宅勤務を使い分けている。今回は自宅のネットワークにちょっとしたトラブルが起きたので、その原因を探っていきたい。

【今回のハイライト】
今回の被害者がコレ
常時5台の端末が無線接続中
KDDIから交換品が到着!

【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【4~8月末までの顛末はこちら】

10月26日(月):WiFiに接続しているのに、通信できない端末が……

 以前に「オンラインプレゼンに役立つのでは?」と、使い方を試行錯誤したプロジェクターが、突然インターネットに繋がらなくなった。無線LANにはちゃんと繋がっていて、利用する周波数帯を切り替えてもダメ。ただ、スマホのテザリング経由であれば通信できたので、原因はどうやら自宅のネット環境にありそうだ。

無線LANネットワークには接続できているのだが、なぜか通信ができない

 そこで、通信機器をチェックしていたところ、アクセスポイントとして利用している無線LANルーターで、インターネット接続を示すLEDがオレンジ色に点灯していた。管理画面からルーターを再起動しても、ランプのステータスが変わらない。

 マニュアルなどには詳しい説明がなかったため、ルーターの公式サポートに問い合わせることにした。テレワーク中のネット障害は大事になりかねないので、トラブルの芽は早めに摘んでおきたい。

10月30日(金):WiFiを酷使しすぎていたのが原因か?

 先日の問い合わせについて、カスタマーサポートからの回答があった。これによると、今のLEDランプのステータスは、「ネットワークからIPアドレスを取得できていない状況」を表しているという。

 対処法として接続先にあるホームゲートウェイ(ルーター)の再起動、LANポートの挿し替えなどが提示されていたが、言われたとおりにしても状況は変わらない。そこで、さらに回答を読み進めると、「ブリッジ動作時は負荷が全てルーターに掛かるため、ルーターの同時接続台数の上限に達していないか」を確認してほしいとあった。

そういえば、最近WiFiを使う機器が急に増えたっけ

 そういえば最近、会社から持ち帰ったノートPCやプロジェクター、Fire TV Stick、Amazon Echoなどを立て続けに無線LANに接続している。これが原因なのだろうか?

11月2日(月):ホームゲートウェイの処理能力には問題なし?

 先日のサポートからの回答をふまえて、現在利用しているauひかりのサポート窓口に連絡してみた。そこでレンタルしている「Aterm BL190HW」というホームゲートウェイについて話を聞いてみると、有線・無線を含めて10台以上の端末を接続すると、通信が不安定になる恐れがあるという。

無線LANにはデフォルトで5台の端末が接続中

 自宅のネットワーク環境を確認すると、デフォルトで5台の端末が無線LANに接続されていた。さらに、有線接続されたパソコンが2台、会社から持ち帰ったノートパソコンが1台、タブレットが1台、プロジェクターが1台、家庭用ゲーム機が1台なので、トータルすると10台を超える。……とはいえ、これらを全て同時稼働させることは、ほぼあり得ないのだが。

 状況を説明すると、Amazon Echoのように大容量の通信を行わない端末は「通信環境にそこまでの影響を与えない」とのことで、同時接続台数の問題は考えにくいとのことだ。auひかりとは引っ越しの際に契約したため、自宅のホームゲートウェイは10年以上使い続けている。何らかの故障がある可能性もあるとのことなので、ひとまず無償交換してもらうことになった。

 なお、最新モデルのホームゲートウェイでも、推奨されている同時接続台数は変わらないので、同じ型番のものを送ってもらうことになる。現状の利用回線ではオーバースペックとはいえ、「最新のルーターが届くのか?」と一瞬期待してしまった。残念。

 ちなみに、その電話では状況が改善しなかったときの裏技も教えてもらった。それが、月額500円の「ひかり電話」の契約をするという方法。こうするとホームゲートウェイがもう1台届くので、負荷を分散できるのだという。状況が改善しなかった時には、導入も検討してみたい。

11月11日(水):ホームゲートウェイを無償交換してもらったのだが……

 サポートへの問い合わせから数日後、KDDIからルーターの代替機が送られてきた。

 忙しさもあって、1週間ほど放置してしまったが、「お申込日から30日経過しますと、これまでお使いのホームゲートウェイではauひかりサービスのご利用ができなくなります」という。現在利用のルーターは、3週間以内に返却しないと「レンタル機器相当額を請求する」とのことなので、急ぎ交換に取り掛かりたい。

端末は全く同じだが、なぜかLANケーブルだけ色違いだった

 まずは、ネットワーク機器の電源をすべてオフにして、ホームゲートウェイに接続されたLANケーブルを取り外す。古いホームゲートウェイに同梱していたケーブルは、故障の原因である可能性があるため、必ず新しいものに交換してほしいとのこと。色が白から緑に変わって、ちょっと目立ってしまうが、ネットの性能には代えられない。

 ケーブルをつなぎ直したら、すべてのネットワーク機器の電源をオンに。数分経つと、ホームゲートウェイのステータスランプがオールグリーンになった。自宅のデスクトップパソコンなどでも、問題なくインターネット接続ができている。ただ、無線LANルーターのLED表示に変化はない。

交換の前後で平日の午前中に通信速度を計測。契約プランは「auひかり ホーム1ギガ」

「古くなったホームゲートウェイを交換すると、通信速度が上がる」という話を聞いたことがあるので、試しに速度テストをしてみたが、交換の前後で大きな違いは見られなかった。つまり、ホームゲートウェイには問題がなかったということだろうか。これはプロジェクターの故障も考えて、問題を洗い直す必要がありそうだと思っていた。この時点では。

11月12日(木):えっ、どういうこと……。

 この日は会社で用があったので出社することに。帰宅後に部屋へと戻り、まずは無線LANルーターを再起動したところ、インターネットのステータスLEDがグリーンに点灯した。……いや、なんで?

右から2番目のインターネットのステータスLEDがグリーンに点灯

 慌てて、プロジェクターを起動してみたのだが、こちらも普通にネットにつながる。つまり、一晩経ったら問題が解決してしまったようなのだ。嬉しいことではあるのだが、顔が真っ青になった。ここまで書いた原稿、原因が掴めないまま終了してしまうぞ、これ。

 その後、色々とホームゲートウェイに負荷をかけてみたが、状態を再現できないまま締め切り当日を迎えてしまった。こんなオチで本当に申し訳ないが、問題はやはりホームゲートウェイにあり、それが無線LANルーターの再起動で反映されたと考えるべきだろう。

 重要な会議などをオンラインで行っている以上、ネットワークのトラブルは大事になりかねない。もしかしたら無駄足だったかもしれないが……、今回のことで不安の芽を摘めたのでヨシとしたい。

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※編集部より
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飛田九十九