急遽テレワーク導入!の顛末記
「テレワークにおける社員の安否確認方法を見直してみた!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(46)
グループウェアかLINEを使うべきか、それとも……
2021年3月29日 07:48
テレワークの普及により、多くの社員が会社に出社せず、バラバラの場所で仕事をしている。今ではテクノロジーの進化によって、自宅にいてもほかの社員とさまざまな方法で連絡を取れるようになった。しかし、これらのコミュニケーション手段は、緊急時でも無事に機能するのだろうか?
……この記事を書いている時点で、一都三県で緊急事態宣言が解除されてから5日が過ぎた。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は天災が起きた時のことを考え、テレワーク下における安否確認の手段を見直してみた。
緊急事態宣言が発令された2020年4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……
3月20日(土):テレワーク時に地震があったら、何で安否確認すればいい?
テレビで夕方のニュース番組を見ていると、大きな揺れに慌ててソファーから飛び起きた。緊急地震速報によると最大震度は5強。先週末に震度6強の地震があったばかりのところに、またこの揺れとは、さすがにちょっと怖くなってくる。
LINEの通知サウンドにスマホを手に取ると、休日出勤していた同僚からメッセージが届いていた。どうやらアルバイトの安否確認を行っているらしい。
そういえば、入社した時に聞かされた話では、うちの会社の安否確認は電話連絡網で行うことになっていた気がする。大きな災害があったときに、ちゃんと機能するのだろうか?
3月22日(月):現在の安否確認の手段を役員に聞いてみた
緊急事態宣言が解除されたので、定期的に出社することになった。今日は朝から自宅での作業データをVPN経由で同期させていたのだが、ふと気になって入社時に渡された資料を引き出しから引っ張りだしてみる。
その資料によると、やはり安否確認は電話連絡網によって行うことになっていた。ただ、書かれている情報がかなり古く、退社した社員の名前も載っている。そもそも、この資料が引き出しに眠っていること自体、連絡網が機能していない証拠と言えるだろう。……いや、胸を張って言うことでは無いのだが。
役員にその話をしたところ、「LINEのグループチャットで良さそうだけど、確かサイボウズOfficeに安否確認の機能があったような……」という答えが返ってきた。「管理者アカウントで機能を有効にしておく」とのことなので、後でその使い勝手を試すことにしよう。
3月25日(木):サイボウズOfficeの安否確認機能とは?
翌朝にサイボウズOfficeの画面を開いたところ、「カスタムアプリ」の項目に「安否確認」アプリが追加されていた。
仕事がひと段落したので、さっそく起動してみると、既にサンプルのデータが表示されている。どうやら、報告日時に加えて、「安否確認」「出社可否」「対応状況」が登録できるらしい。
実際に情報の登録画面を見ると、報告者名をプルダウンメニューから選んだあと、安否と出社可否をラジオボタンで選択。補足をコメントで記載する仕組みになっていた。安否は「無事・軽症・重症」、出社は「出社・遅刻・在宅・不能」から選択することができる。
ちなみに、最初に安否情報を登録しようとしたところ、なぜか「報告者」欄を入力することができなかった。役員に確認したところ、プルダウンメニューに表示するユーザーを、事前に指定しておく必要があったらしい。そのほか、例えば安否確認の項目に「入院」を追加するというように、表示させる項目などを細かくカスタマイズできるようだ。
情報登録の操作自体は簡単だが、やはりぶっつけ本番だと何が起きるか分からない。この安否登録の仕組みについても、事前に訓練をしておいた方がよさそうだ。
3月26日(金):災害時の安否確認で最もスタンダードなものといえば……
今日は会社に出社する日。サイボウズOfficeの安否確認アプリを実際に使ってみたことを役員に報告したところ、ふと思いついた顔をして、こんなことを言われた。
役員: 「そもそも緊急時に、サイボウズOfficeで安否報告する余裕があるのかな?」
それは……、確かにどうだろう。筆者は「令和元年東日本台風」の際に避難勧告が発令されて、大雨の中を高台に避難した経験がある。あの時のバタバタを考えると、「会社に安否報告しないと」という所にまで頭が回るのかはちょっと疑問だ。
いろいろと話し合った結果、各社員が契約している通信キャリアの災害用伝言版について、登録名を事前に確認しておくことになった。ここに登録された安否情報は、「J-anpi 安否情報まとめて検索」などのサービスを利用することで、会社からでも確認できる。家族や親族の安否確認といえば、やはり災害用伝言版の利用が一番スタンダードなので、今後はその利用を社内に啓蒙していくことになりそうだ。
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