急遽テレワーク導入!の顛末記

「Zoomに『接続が不安定です』と言われた、どうすればいい?」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(32)

有線LAN接続では問題なし、無線LANに原因が?

音声が途切れ、映像が固まり、「接続が不安定です」との表示が……

 前回は私物のノートPCなどを持ち込んで、会議室をビデオ会議向けに改造した。この機材一式は現在、社内で誰でも使えるように解放しているのだが、実際に使っていると色々な不具合が出てくる。重要な会議で慌てないためにも、何らかの対策が必要そうだ。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから207日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、スタッフが可能な範囲で出社と在宅勤務を使い分けている。その中で、会社でビデオ会議を行う機会が増えているのだが、今回は会議室の改良を引き続き検討していきたい。

【今回のハイライト】
誰でもPCを使えるようにゲストアカウントを作成
アクセスポイントを追加すれば解決するか?
アクセスポイント同士での電波干渉が気になる

【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【4~8月末までの顛末はこちら】

12月9日(水): 会議室からのSOSにリモート操作で対応してみた

 今日は自宅でテレワーク。仕事をしていると、会社から一本の電話があった。どうやら、ビデオ会議用に会議室に置いておいたノートPCの電源が落ちているらしい。電源ボタンは押したのだが、ログインのパスワードが分からないという。

「Chrome Remote Desktop」で遠隔操作して、ログインパスワードを入力した

 幸いこのノートPCには「Chrome Remote Desktop」を仕込んでおいたので、遠隔操作でログイン操作を行うことができた。会社にはZoomに慣れていない同僚もいるが、これなら何かあってもサポートできそうだ。

 ただ、ノートPCの電源が勝手に落ちた理由が分からない。電源ケーブルは付けっぱなしにしていたので、バッテリー切れは考えにくいのだが……。

12月10日(木): 共有マシンなのに、ゲストアカウントを作ってなかった……

 ノートPCの様子が気になったので、今日は出社することに。会議室を覗いてみると、モニターはオフになっていたが、電源は落ちていなかった。誰かがZoomを使った後で、シャットダウンの操作をしてしまったのだろうか?

ノートPCではWindows 8を利用していたので、Guestアカウントを有効にしておいた

 とりあえずノートPCの電源が落ちた時のことを考えて、パスワード不要でログインできるアカウントを作成。Zoomや「Chrome Remote Desktop」が使えるように設定しておいた。今後このノートPCでは、基本的にこのアカウントを利用するようにしておこう。

12月15日(火):「インターネット接続が不安定です」って、何で?

 今日は会社で行われている全体会議に、自宅から参加することに。「Chrome Remote Desktop」で会社のノートPCを操作して、個人アカウント宛にZoomを発信。その着信を自宅で受けると、モニターに会社の会議室の映像が表示された。

 そのまま時間になったので、「おはようございます」と皆で挨拶。まずは社長から全員に話があった。

【社長】おは………ざいます。いよいよ12月に……ましたが、年末進行で……しい人も……。

 何だか、社長の声がプツプツ途切れている。しばらく経つと普通に聞こえるようになったが、その後もたびたび音声が途切れた。このタイミングでZoomの画面を見てみると、アンテナの表示が黄色や赤色に変化している。原因はどうやら通信環境にあるらしい。

ウィンドウ左下のアンテナ表示が赤色に。「インターネット接続が不安定です」とも表示されていたようだ

 ただ、会議には同じオフィス内のデスクから参加している同僚もいたのだが、その通信状況には問題がなさそうに見える。両者の違いは……接続しているLANネットワークが有線か無線かの差だろうか?

 そういえば、最近ノートPCを使っている同僚が、「ネットの通信速度が遅い」と口にしていた。これは調査しておく必要があるだろう。

12月16日(水):10年選手のAPに同時接続されていたクライアント数は20台以上!?

 急ぎの仕事がひと段落したので、今日は会社の無線LAN環境をチェックしてみることに。まずは、通信速度を測ってみたが、有線と比べて大きな差が見られない。

 そこで、アクセスポイントとして利用している無線LANルーターのステータスを確認したところ、有線/無線それぞれ10台以上のクライアントが接続されていた。これは……ちょっと無線LANルーターに負荷を掛け過ぎではないだろうか?

ステータスを確認したタイミングでは、13台のクライアントが無線接続されていた

 全体ミーティングを行う時間帯には、オフィスにいる社員も増える。普段は有線LANにつながったデスクトップPCを使っている社員も、会議室ではノートPCを使うので、無線LANに負荷がかかってしまった……というのが、今回のトラブルの原因かもしれない。

12月18日(金):増設したアクセスポイントをセットアップしてみた

 先日のトラブルについて役員に相談したところ、すぐに「アクセスポイントを増設しよう」ということになった。どうやら上の画像を見せたのが、即断の決め手になったようだ。20台以上のクライアントが10年選手の無線LANルーター一つにぶら下がっているというのは、さすがにショッキングな光景だったらしい。

バッファローの「WSR-300HP」。ネット通販なら3000円台で購入できた

 今回、役員が購入したのはバッファローの「WSR-300HP」。Wi-Fi 4のローエンドモデルだが、会社のネット回線なら十分なスペックだろう。さっそく設置して、電源とLANケーブルを接続。アクセスポイントとして機能させたら、古い無線LANルーターと一目で区別できるようにSSIDを設定し、さらに固定IPアドレスも指定する。

バッファローの公式ツールを使って、「WSR-300HP」の設定画面を呼び出す
SSIDと固定IPアドレスを設定

 アクセスポイント(無線LANルーター)を同じフロアに2台設置することになるので、電波干渉も気になるところ。そこで、使用するチャンネル数を、それぞれ手動で設定することにした。2.4GHz帯では4チャンネル以上離して運用することが推奨されているので、それぞれ2チャンネルと7チャンネルを指定する。

新旧2つの無線LANルーターで、チャンネルを手動で設定した

 他にも、無線LANや管理画面のパスワードなどを、初期設定から変更しておきたいところだが……。これは後で役員と相談しながら設定すれば良いだろう。

 最後に新たに設置したアクセスポイントへのアクセスを確認して、この日の作業は終了。その後にテストをしてみたが、ひとまず会議室のノートPCでは問題なくZoomができているようだ。アンテナの表示も時々黄色に変わるが、赤色までは行っていない。ただ、このまま快適に無線LANを使い続けるには、2つのアクセスポイントに通信をどう振り分けるか、ルールを決める必要があるだろう。

 会議室に行けばすぐZoomできる環境ができたことで、個人的にはビデオ会議の手間が一気に軽くなった気がする。このまま使い続けて利便性が認められたら、会社で余っているパソコンを1台回してもらえるように交渉してみたい。

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※編集部より
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飛田九十九