急遽テレワーク導入!の顛末記

「会社支給PCをテレワーク用に仕上げてみよう」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(16)

細かいところで意外と面倒なUACとパスワード保護共有

テレワーク用のノートPCを、自宅のモニターにHDMI接続。

 8月に入ってから在宅勤務をする機会が増えた。以前の緊急事態宣言のときには、オンオフの区別をつけるのに苦労したが、今は会社支給のノートPCを使っているときだけ仕事モードに切り替えている。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから86日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では、「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」を利用して、テレワーク用のノートPCを6月に購入。以降はテスト運用を繰り返しながら、在宅勤務に向けてのカスタマイズを進めてきた。今回はそのドタバタの様子をお伝えしたい。

 ちなみに「仕上げる」というタイトルにしてみたものの、ソフトのインストールや、OneDriveの利用(と停止)、VPN+NASの利用など、我ながらかなりのドタバタぶり。正直、最適と言えない部分が多いが、一つの「体験談」として参考にしてもらえれば幸いだ。

【今回のハイライト】
インストールしたアプリのショートカットがない
削除したはずのファイルがOne Driveにある?
パスワード保護共有が面倒くさい…

「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」記事一覧

6月10日(水):高野連が32校の交流試合を決定した日マルチユーザーのPCにソフトをインストールしてみると……

 さて、かなり前の話になるがテレワーク用に購入したノートPCに、管理者と標準それぞれのアカウントを作成。さらに、「Office Home and Business 2019」のインストールを行った。

 社内でヒアリングをしたところ、ほかにも業務に必要なソフトのリクエストがあったので、そのインストールを任されることに。役員に管理者アカウントでログインしてもらい、後の操作をこちらで引き継ぐ。

 インストールが終わった後で、標準アカウントでログイン。起動できるか確認しようとしたのだが、いくつかのソフトで、ショートカットがスタートメニューなどに見当たらなかった。ただ、管理者権限のないアカウントでも、「Program Files」フォルダにアクセスしてソフトを起動することはできる。

「Program Files」フォルダにはアクセスできるので、起動できないというわけではないのだが……

 「標準アカウントでは、いちいちUACによる確認が必要なので、管理者権限でインストールするのがいいのだろう」と思ってこうしたのだが、ソフトによっては起動用の設定が行われない、という結果になった。

 一方、ちゃんと起動用の設定が行われたソフトもあったのだが、こっちはこっちで、デスクトップに作成されたショートカットアイコンが標準アカウントの権限では削除できない状態に。

 「管理者アカウントで作成したものに、標準アカウントは触るべからず」と言うことなのだと思うが、ずっとデスクトップにあっても邪魔………

 結局、「標準アカウントでWindowsにログインして、毎回UACのダイアログに対応しながらアプリをインストールする」のが正解だったと思うが、やってしまったものは仕方がない。

 スタートメニューにないショートカットは自作し、標準アカウントでは削除できないショートカットを削除する際は、役員にUAC画面で認証してもらった。これでようやく1台目のマシンの作業が完了。

 どうやら「必要なソフトをインストールして終わり」ではなく、きちんとカスタマイズするまでが今日の仕事となりそうだ。

6月16日(火):さっぽろ雪まつりが規模縮小を決定した日ファイルをクラウド同期……できると便利そうだ……

 会社のデスクトップパソコンとほぼ同じ環境が再現できたので、今日は在宅勤務に備えて、ノートPCを実際の業務に丸一日使ってみようと思う。

 現状では稼働中の案件に関するファイルを、OneDriveで管理しているので、まずはプレインストールされたクライアントでサインイン。エクスプローラーにOneDriveのディレクトリを表示させる。

 さて、今日は中小企業の顛末記(この連載)を書くことにする。OneDriveにある書きかけのワードファイルを開くと、リボンの下に「サインインしてください」とのメッセージが表示された。これは……そういえば、「Office Home and Business 2019」をインストール時に使った管理用のアカウントでサインインされていたので、サインアウトの操作をしたんだっけ。

OneDriveに保存されたファイルを開こうとすると、「サインインしてください」とメッセージが表示された

 ちなみに、OneDriveにファイルを保存していると、アイコンの右クリックから共有リンクを発行できるようになる。メールで一報すれば、容量を気にせずにファイルを共有可能。OneDrive上で編集作業をしてもらえば履歴も残るので、なかなか使い勝手がいい。

OneDriveに保存したファイルを右クリックして、共有用のアドレスを発行できる

7月20日(月):USJが入場制限を解除した日VPN+NASで不要になったOneDriveからファイルを削除

 今週末の4連休に自宅で作業する可能性を考えて、今日はテレワーク用のノートPCがちゃんと動くかチェックしておく。仕事に必要なファイルをデスクトップPCから移したところで、ふとOneDriveのことを思い出した。

 VPNルーターとNASの稼働後は、容量的な不安もあるOneDriveの利用はやめ、ローカルの「マイドキュメント」に仕事用のファイルを移動させている。

 OneDriveを仕事に使うことはないだろうから、ファイルを削除しておこう。ブラウザからOneDriveにアクセスして、仕事用のファイルを削除する。それに同期して、パソコンでも「OneDrive」フォルダ上にあるファイルが、ものすごい勢いで削除されはじめた。

ブラウザでOneDriveにアクセス、仕事用のファイルを保存したフォルダを削除する
クラウドとの同期が行われ、ローカルの「OneDrive」フォルダにあるファイルの削除がはじまった

 現在、OneDriveの容量はいろいろ拡張されて40GBはあったものの、ほんの数カ月の業務で容量が溢れそうになっていた。このまま運用を続けるのは難しかったかもしれない。

7月21日(火):俳優、横浜流星さんの感染が発覚した日あれ、ちょっとだけOneDriveに残ってる?

 仕事がひと段落ついたところで、ふと気になって「One Drive」フォルダを見ると、削除されていないファイルが残っていた。アクティビティを見てみると、どうやら会社のデスクトップPCから、クラウド上のOneDriveへと、ファイルのアップロードが行われたようだ。

削除したはずのファイルが、ローカルに残っていたのだろうか?

 そこで、今度はエクスプローラーを立ち上げて、ローカルの「OneDrive」フォルダに残ったファイルを削除してみる。操作を行った後で、すぐにブラウザでOneDriveを見てみると、ファイルがキレイに削除されていた。

 この後、ローカルからファイルが完全に消えたのを確認したうえで、自宅のデスクトップPCを立ち上げると、同期していた「OneDrive」フォルダの中身もキレイに削除された。同期関係のトラブルは、ファイルのバージョン管理ミスにもつながるので、今後も気を付けるようにしたい。

8月17日(月):猛暑続く、浜松で最高41.1℃を記録した日デスクトップからノートにファイルを移そうとしたものの……

 8月に入ってから、会社では対応が可能な日に在宅勤務を行う許可が出た。今日から数日間は自宅で仕事をすることにする。

 会社の終業時間が近づいてきたので、仕事に必要なファイルを会社のデスクトップPCから、テレワーク用のノートPCに移すことにした。エクスプローラーで「ネットワーク」を表示。ネットワーク経由でノートPCにアクセスしようとすると、「ネットワーク資格情報の入力」画面が表示された………

 ノートPCで「共有の詳細設定」を開くと、どうやら「パスワード保護共有」が有効になっているようだ。これはデスクトップPCも同様で、一時的に無効にしようとすると、今度はUAC画面が表示されてしまう。役員はすでに退社していないし、適当な外付けHDDやUSBメモリもないし、さてどうしよう。

「パスワード保護共有」を無効にするには、管理者の権限が必要になる

 結局、ファイルはNASに移して、後で自宅からVPN経由でアクセスすることにした。自宅からのVPNアクセスは、まだ1回しか試していないのでちょっと怖いが……。在宅勤務が増えてきた今、急ぎ慣れる必要があるだろう。

 アプリとファイルをそろえることで、会社のPC環境をそのままノートPCで持ち帰れるようになった。しばらくは出社と在宅勤務が織り交ぜになった日々が続きそうだが、これならストレスなく仕事ができそうだ。

「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」記事一覧

※編集部より
テレワーク導入から在宅生活の楽しみ方まで!
「在宅で仕事する時代」の情報をまとめたサイト「在宅ライフ」を公開中です。ぜひご活用ください。

飛田九十九