急遽テレワーク導入!の顛末記

「Zoom仕様に会議室の環境を最適化したい!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(30)

専用端末や適用されそうな補助金をリサーチしてみたが……

普段は会議室に置いたディスプレイを、ノートPCとHDMIケーブルで接続。Zoomの画面を表示している

 パソコンを起動して、Zoomを開き、ヘッドセットを装着し、カメラの映像を確認する――。特に急いでいなければ、ものの数分で終わるビデオ会議の下準備。ただ、会議の時間ギリギリに帰社した時などは、パソコンの起動を待つのにイライラすることもある。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから193日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、スタッフが可能な範囲で出社と在宅勤務を使い分けている。その中で、会社でビデオ会議を行う機会が増えているのだが、今回はその環境を整えるために、会議室の改良を検討してみたい。

【今回のハイライト】
タブレットからミーティングに参加
とはいえ、会議室置きにはサイズが小さい?
機材購入に使える補助金を探してみた

【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【4~8月末までの顛末はこちら】

11月5日(木):タブレットでZoomはおひとり様用かも?

タブレットに自宅からZoomを繋いで、会議に参加

 今日は自宅でテレワーク。昼から会社で社内ミーティングがあったので、オフィスに置きっぱなしのタブレットに自宅からZoomでアクセスして参加したところ、ミーティング後に画面の向こうから社長に話かけられた。

【社長】タブレットで会議に参加するのもアリだね。これって操作が難しいの?
【飛田】自宅からタブレットを遠隔操作するのですが……、マニュアルを作りましょうか?
【社長】そうだね、社内で共有しようか。こういう、Zoom専用端末が会議室にあってもいいかもしれないね。

 なるほど、確かにすぐZoomに繋げる端末が会議室にあれば、下準備でイライラすることも無いかもしれない。

 ということで、さっそく会議室の一角にタブレットを置いてみた。

画面は10.1型だが、ちょっと離れた席からだと見えにくいかも

 うーん、ちょっと画面が小さい、かな? 身内でのミーティングならまだしも、クライアント相手の会議では、相手の表情などに気を配り切れないかもしれない。画面共有する資料をタブレットで開くのにも、メールでファイルを送るなどひと手間かかる。

 やはり、快適にビデオ会議を行うには、パソコン、大画面のモニター、Webカメラ、マイクとスピーカーを用意した方がいいだろう。さて、どうするべきか……。

11月20日(金):オールインワンのビデオ会議端末を探してみた

 仕事でテレワーク関連の情報を調べていたところ、「DTEN ME 27」という、Zoom Rooms専用のタッチパネルディスプレイが目に留まった。

 「Zoom Rooms」とは、ビデオ会議専用の端末を会議室などに設置し、常時サインイン状態で利用するためのライセンスとなる。ここでいうところの専用端末として開発されたのが「DTEN ME 27」で、27インチと十分なサイズのモニターに、160度の超広角カメラ、8つのマイク、スピーカーを内蔵。独自OSを搭載しており、タッチ操作ですぐZoomができるというのは、なかなか魅力的だ。

 とはいえ、Zoom Roomsを利用するには、年間のライセンス料が6万3600円かかる。さらに、「DTEN ME 27」の端末価格が9万円(税抜/送料別)で、Zoomにしか使えないと考えると、うちのような小規模オフィスへの導入は厳しそうだ。

 他にも、ビデオ会議用の端末を探してみたが、ディスプレイ一体型のオンライン会議用パソコン「ThinkSmart Hub 500」が17万円代。ディスプレイ/パソコン/カメラ/スピーカーマイクがセットになった、ASUSのGoogle Meet専用ハードウェアキット「GQE10A-B7017UN」が30万円弱と、どれもなかなかコストがかかる。

 こうなると、東京都の「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」を、既に使ってしまっているのが悔やまれる。この状況でも何か使える補助金は無いものだろうか?

12月1日(火):この状況で使えるテレワーク補助金はあるか?

 仕事中に時間が空いたので、引き続きリサーチを進めることに。テレワーク関係の補助金を調べてみたのだが、厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」は、申請多数で既に今年の募集が終了していた。

成果目標達成の場合の補助率は4分の3。ただ、8月12日の時点で受付が終了していた

 経済産業省の「IT導入補助金2020」では、「C類型」が「テレワーク環境の設備」を対象としているが、補助対象となるのはソフトウェア。それも、「あらかじめIT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたITツールに限ります」とされており、付随するハードウェアで対象となるのはレンタルまで(※購入・リースは対象外)となっている。試しに登録ツールを検索してみたのだが、今の状況にマッチするものは見つからなかった。

IT導入補助金の認定を受けたITツールは、公式サイトで検索できる

 東京都では現在、「テレワーク定着促進助成金」の募集を行っているが、「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」の受給企業は対象外。2021年に創設とのニュースが流れた「在宅勤務リフォーム補助金」は、あくまで自宅のリフォームなので、機器購入とは関係なさそうだ。

 結局、使えそうな補助金が見つからないまま、会社の全体ミーティングで一連のリサーチ結果を話してみたが、社長も役員もそろって「高すぎる」という結論になった。「それはそうだよな」と、自分でも思う。さて、どうしたものか……。

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※編集部より
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飛田九十九