急遽テレワーク導入!の顛末記

「Gmailの使い方を検証! PCのメモリー消費量をセーブするには?」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(102)

さらに、Gmailの受信ペースを加速させる

スクリプトの導入で、Gmailの受信間隔をコントロールする

 テレワークが始まってから、PCで利用するツールが増えた。それだけPCへの負荷が増えるので、なるべくメモリー消費量などをセーブするような使い方を心掛けたい。

 ……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから81日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はGmailに注目して、メモリー消費量やメールの受信間隔を削減してみた。

【今回のハイライト】
気になるメモリー消費量は……
仕事のメールをGmailで受信
1時間おきしか受信していなかった!?

6月6日(月):ウェブアプリとメーラー、メモリー消費量が多いのはどっち?

 先日は3種類あるLINEのクライアントについて、それぞれメモリー消費量を比較してみた。結果として、一番メモリー消費量の少ないStoreアプリ版を使うことにしたわけだが、個人的にはもう一つ、メモリー消費量が気になっているサービスがある。それが、最近仕事で利用する機会が増えているGmailだ。

 Gmailのアカウントは仕事用のサービスを試験運用するときなどに、そのログインアカウントとして利用することがある。結果としてサービスからの通知メールなどが届くことになるのだが、問題はその確認をどのメーラーで行うかということだ。

 Gmailはウェブアプリがしっかりしているので、 ウェブ ブラウザーで公式サイトを開いてメールを管理している人も多い。かくいう筆者もその一人だ。ただ、通常のメールは「Thunderbird」というフリーソフトを使って管理しているため、2つの場所でメールをチェックすることになる。

Gmailのタブだけで約206MBのメモリーが消費されていた

 そこで、メールを受信する場所をどちらか1つにまとめたいのだが、ここで問題なのが「メモリー消費量が少ないのはどちらか?」ということ。試しに、Google ChromeでGmailの公式サイトを開いたところ、そのタブだけで約200MBのメモリーを消費していた。一方、Thunderbirdのメモリー消費量は約350MBなので、Gmailのウェブアプリだけを使った方が、メモリー消費量が少なくて済む計算になるのだが……。

現環境ではThunderbirdは起動中、約350MBのメモリーを消費していた

6月7日(火):Storeアプリを使うという手もあるが……

 先週LINEのクライアントを色々試したときには、「Storeアプリ版が一番優秀」という結果になったが、残念ながらGmailには公式のStoreアプリが存在しない。ただ、Windows 10などに標準で用意されている「メール」アプリでも、アカウント情報を登録すれば、Gmail宛のメールを受信することは可能だ。

 さっそく、「メール」アプリを起動してみたところ、そのメモリー消費量は約40MBとかなり少なくて済んだ。ただ、このアプリにはメールの振り分けなどの機能が付いていない。私用のアカウントのメールをチェックするぐらいなら良いが、ビジネスで利用するのはちょっと難しいかもしれない。

「メール」アプリなら約40MB程度と、メモリー消費量を抑えることができる

6月8日(水):Gmailに仕事用のアカウントを登録してみる

 メモリー消費量を少しでも減らしたいときのために、Gmailのウェブアプリでも仕事用のアドレス宛てのメールを受信できるよう、アカウント情報を登録してみた。これで、いざというときにThunderbirdを終了させれば、メモリーの空き容量を確保できるだろう。

 なお、ここで気を付けておきたいのが、Gmailのウェブアプリではメールの送信/受信のそれぞれについて、メールアカウントの登録が必要だということ。仕事用のアドレスでメールを送受信したい場合には、設定画面の「アカウントとインポート」で「名前」欄にある「他のメールアドレスを追加」だけでなく、「他のアカウントのメールを確認」欄にもアカウント情報を登録しておきたい。

送信/受信のそれぞれでアカウント情報を登録
送信用アドレスの追加では、SMTPサーバーとポート番号、ユーザー名、パスワードなどの情報を登録する
受信用アドレスの追加画面では、POPサーバーとポート番号、ユーザー名、パスワードなどを登録する

 なお、受信用アドレスの追加画面では、「取得したメッセージのコピーをサーバーに残す。」のチェックを入れておくと、同じメールをThunderbirdなどの他のメーラーでも受信できるようになる。ただ、Gmailのウェブアプリしか利用しない環境では、サーバーにメールが貯まり続けてしまい、容量オーバーになる恐れがあるので注意が必要だ。

 さらに、「受信したメッセージにラベルを付ける」を有効にしておくと、そのアドレス宛てのメールが専用のラベルで管理できるようになるので、ぜひチェックを入れておくことをオススメしたい。

アカウント登録時に設定すると、追加登録したアカウントの受信メール全てにラベルが付くようになる

6月10日(金):1時間おきしかメールを受信していなかった!?

 会社の同僚にGmailのウェブアプリを使いはじめたことを話すと、「Gmailはメールの着信が遅くて困っている」という話を聞くことができた。実際にその同僚の受信履歴を見ていると、メールを確認しているのは1時間に1回程度。これでは仕事に使うのは難しいだろう。

設定画面から「履歴を表示」を開くと、ほぼ1時間おきにしかメールを受信していなかった

 そこで、サーバーのメールをコンスタントに受信すべく、同僚のPCに「Gmail POP3 Checker」を導入してみた。これは、Gmailのウェブアプリ上で、12分おきに新着メールを自動でチェックさせるスクリプト。Google Chromeで実行するには「Tampermonkey」という拡張機能が必要なので、まずはこれをインストールする。

chromeウェブストアから「Tampermonkey」を取得する

 続いて、公式サイトからスクリプトをダウンロードしたところ、ウェブアプリの右上に12分間隔のカウンターが表示されるようになった。どうやらこれがゼロになると、自動で新着メールを確認してくれるらしい。

「クロム」の「スクリプトをインストールします」をクリックすると、スクリプトがダウンロードされる
「Tampermonkey」のタブが表示されるので、「インストール」をクリック
Gmailのウェブアプリを表示したタブを再読み込みすると、スクリプトが実行された。なお、受信間隔などの設定を変更するには、有料版が必要

 その後、スクリプトの動作を見守っていたところ、12分ごと……どころか、1~2分間隔ぐらいのペースで頻繁に新着メールを確認するようになった。「一時的なものなのか?」とも思ったのだが、しばらく様子を見ていても、メールの確認ペースは変わらない。どうやら、スクリプトの導入が寝た子(Gmail)を起こしてくれたようだ。

メール取得履歴を確認すると、そこには1~2分ペースでサーバーを確認しているGmailの姿が!

 その後、自宅のウェブアプリでメール取得履歴を確認してみたが、こちらは導入してから間がないせいか、1~2分ペースでメールの確認が行われていた。とはいえ、ある日突然に更新ペースが変わられても困るので、こちらのPCにもスクリプトを導入しておくことにしよう。

 アカウント設定を見直したことで、ThunderbirdとGmailのウェブアプリの両方で仕事用のアカウント宛てに届いたメールを受信できるようになった。Gmailのウェブアプリにはスマホのブラウザーなどからもアクセスできるので、これでまた一つ外出先から仕事用のメールを確認する方法が増えたようだ。

飛田九十九