急遽テレワーク導入!の顛末記

「Thunderbirdをテレワーク用にカスタマイズ!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(54)

MS系メーラーから乗り換えて約1カ月、使い勝手が大きく向上!

Thunderbirdはアドオンが充実しており、かなりカスタマイズ性が高い

 メールを「Thunderbird」で送受信するようになって、約1カ月が経った。最初こそ操作に不慣れなところもあったが、今ではその操作性やカスタマイズ性の高さが、すっかり気に入っている。

 ……この記事を書いている時点で、4都府県で緊急事態宣言が発出されてから35日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はこれまでに行ってきた、Thunderbirdのカスタマイズについて紹介したい。

【今回のハイライト】
改行時に自動で入る空行をオフに
5つのアドオンをインストール
PVメールを別プロファイルで管理$$
【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された2020年4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【2020年4~8月末までの顛末はこちら】

4月23日(金):改行時に自動で空行が入る設定をオフにする

 ポータブル版のThunderbirdを使い始めて、今日で3日目。先日はメニューの日本語化を行ったが、さらなる使いやすさを求めてカスタマイズを続けていきたい。

 というのも、筆者は以前にMicrosoft系のメーラーを使っていたのだが、そのせいかThunderbirdでメールの本文を書いていると、どうしても違和感を覚えてしまう。入力中に「Enter」キーを入力すると、自動的に1行分の行間を空けたうえで、改行してしまう点だ。

 1段落を改行なしで書き切るなら、段落間に自動で行間を空けてくれる便利な機能なのだが……。個人的には「メールは句読点で改行した方が読みやすい」と思っているので、この機能がかえって邪魔になる。

「オプション」画面の「編集」にある「規定で本文テキストの代わりに段落書式を使用する」をオフにする
「あいうえお」と入力後に改行を行っても、行間が自動で1行空くことなく「かきくけこ」と入力できるようになった

 「オプション」画面の設定を確認していると、どうやら「規定で本文テキストの代わりに段落書式を使用する」という項目が関係しているようだ。さっそく、チェックボックスをオフにしたところ、「Enter」キーを入力しても、1行分の改行しか行われなくなる。これで、ようやくいつもの感覚で、メール本文を作成できそうだ。

4月28日(水):テレワークに使えそうなアドオンをインストールしてみた

 「profiles」フォルダーをVPN経由で同期させるために、データをNASに移行することになった。ファイルのコピーに時間がかかりそうなので、その間にThunderbirdで使えそうなアドオンを調べることにする。その結果として、今回インストールすることにしたのが、以下のアドオンだ。

  • Mailbox Alert
  • Remove Duplicate Messages
  • Tag Popup
  • Unread Badge
メニューバーを「ツール」→「アドオン」と操作。「アドオンマネージャー」画面の検索ボックスで、アドオンを検索できる

 このうち、「Mailbox Alert」は、メールの着信音をフォルダーごとに変更するためのアドオンだ。会社のパソコンはスピーカーに繋げていなかったが、自宅では普通に効果音が鳴る。そこで気になるのがメールの着信音なのだが……。「Mailbox Alert」を導入したことで、受信トレイ以外に振り分けているメルマガなどを受信した際に、着信音を鳴らさずに済むようになった。

 具体的な操作としては、まずThunderbirdの設定で、標準の着信音をオフに変更。その上で、受信トレイでのみ「Mailbox Alert」の着信音設定を有効にすると、「受信トレイのサブフォルダーなどにメールが届いても着信音が鳴らない」環境ができた。このアドオンでは手持ちのWAVファイルを着信音に指定できるので、いろいろと遊んでみるのも面白い。

メニューバーを「ツール」→「オプション」と操作。「一般」の「新着メッセージの通知」で「音を鳴らす」のチェックボックスをオフにする
受信トレイを右クリックして「Mailbox Alert」を選択。「Default sound」をクリックして有効にすると、メールの着信時に設定した着信音が鳴る

 なお、会社ではデュアルモニターの片方にメーラーを常時表示させていたが、自宅にはモニターが1台しかない。そのため、メールが何件着信しているかが、すぐには分からなくなってしまった。

 そこで、利用したのが「Unread Badge」というアドオン。Windowsのタスクバーに表示されたThunderbirdのアイコンに、新着メールの件数をバッチ表示するというものだ。初期状態ではすべての新着メールをカウントするが、設定を変更することで受信トレイだけに絞ってカウントすることが可能になる。

 これで、Thunderbirdのウィンドウが隠れていても、新着メールの件数をすぐに確認できるようになった。離席して戻った時にタスクバーをチラ見すれば、すぐ新着メールの有無を確認できるので重宝している。

未読のメール件数が、タスクバーにあるThunderbirdのアイコンに表示された
「アドオンマネージャー」画面で「Unread Badge」をクリック。「オプション」から「Only count inboxes」のチェックをオンにすると、受信トレイの新着メールだけをカウントするようになる

 さらに、以前のトラブルで同じメールを何通かダブって受信してしまったので、「Remove Duplicate Messages」を使って削除。このアドオンは常時起動して、重複メッセージを検出してくれるので、インストールしているだけでも心強い。

「受信トレイ」を右クリックして「重複メッセージの削除」をクリックすると、重複メッセージが一覧で表示され、「OK」からごみ箱に移動できる

 「Tag Popup」はメール一覧で選択中のメールに、ワンクリックでタグ付けを行い、背景色を付けられるアドオン。同じような機能にThunderbird標準の「スター」があるが、こちらは「重要」は赤、「仕事」はオレンジというように色分けができるので、後で確認したいメールを目立たせたい時などに使えそうだ。

メールを選択した際に差出人などが表示される帯に、「重要」「仕事」など5つのボタンが表示され、クリックすると色分けできる

5月27日(木):プライベートなメールを独立環境で管理する

 インストールから約1カ月が過ぎ、その使い勝手に満足したので、このままThunderbirdを使い続けることにした。となると、そろそろプライベートのアカウントも、Thunderbirdで管理しておくべきだろう。

 とはいえ、仕事に利用するのと同じ環境でプライベートのメールを送受信するのは、セキュリティ的に問題がありそうなので、プロファイルを分けることにした。「プロファイルマネージャー」を起動して、新しいプロファイルを作成。このプロファイルで起動したThunderbirdは、普段使っているものとは受信トレイや各種設定などが独立しているので、ここにプライベートのアカウントを登録しておけばいいだろう。

 これで、「プロファイルマネージャー」からプロファイルを指定すれば、仕事用とプライベートのThunderbirdを分けて起動できるようになった。ちなみに、今プライベートで使っているのはクラウドベースのフリーメールだが、メールボックスの容量に余裕がないプロバイダのメールアカウントの場合は、定期的にメールを受信してボックスを空にする必要があるだろう。

Windows 10のタスクバーにある検索ボックスに「thunderbird.exe -p」と入力。検索されたコマンドを実行する
「ユーザープロファイルの選択」画面で「新しいプロファイルを作成」をクリック。ウィザードに従って、新しいプロファイルを作成する
新しいプロファイルから起動すると、真っ新なThunderbirdが表示された

 およそ1カ月かけて、Thunderbirdに基本的なカスタマイズを行うことができた。これからも、アドオンや設定を見直して、さらに使い勝手を向上させていきたい。

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※編集部より
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飛田九十九