急遽テレワーク導入!の顛末記

「文字だけもなんなので、プロフィール画像をAI(Stable Diffusion)に作らせてみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(112)

ペンネームにちなんだ画像をAIに描いてもらおうとしたのだが……

 テレワークを始めてから、trelloやSlackなどのオンラインツールを使って、仕事のやり取りをする機会が増えた。このようなツールを使う時にいつも悩むのが、プロフィール設定時に登録するプロフィール画像だ。

……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから165日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はよりよいプロフィール画像を登録すべく、AIにオリジナルの画像を作成させてみた。

【今回のハイライト】
コードをオンライン上から入手
作成する画像の内容を英文で指定
完成した画像をオンラインサービスに登録

8月29日(月):コードが配布されている「Hugging Face」にアカウント作成

 今日も自宅でテレワーク。最近になってGoogle Meetで頻繁にやり取りをする取引先が増えたので、これを機に仕事用にGoogleアカウントを作成することになった。そこで気になったのが、「プロフィール画像がイニシャルのままでも良いか?」ということ。取引相手は子供の写真を使っていたので、デフォルトのアイコンのままではそっけない気がするのだが……。かといって使うべき写真も見当たらない。

 そこで、「AIにそれっぽい画像を作らせるのはどうか?」と思いついた。最近ではAI画像生成サービス「Midjourney」が話題になっているが、一定以上の枚数を作成するには有料登録が必要なので、なかなか手が出ないでいた。しかし、8月22日に公開された「Stable Diffusion」なら無料で利用できるうえに、生成された画像の商業利用も可能。これなら、いろいろな業務にも使えそうなので、まずは準備しておいて損はないだろう。

「Stable Diffusion」を利用する方法はいくつかあるが、今回はGoogleのPython実行環境「Colaboratory」の上でコードを実行させることにした。コードはコミュニティサイト「Hugging Face」で公開されているので、まずはサイトのアカウントを作成。その上でトークンを発行すれば準備は完了だ。

「Hugging Face」のサイトにアクセスしたら、画面右上のアイコンからメニューを開き、「Sign Up」をクリック
メールアドレスとパスワードを入力して「Next」をクリック
ユーザー名を入力して「Create Account」をクリック
先ほど登録したアドレス宛に届いたメール内のリンクをクリック
作成したアカウントで「Hugging Face」にログインされるので、右上のアイコンをクリックして、表示されるメニューから「Settings」を選択
表示された画面から「Access Tokens」にある「New token」をクリック
トークン名を入力して「Generate a token」をクリック
トークンが発行されるので、コピーなどして保管しておく

8月30日(火):AIが上手に画面に馬の絵を描いた!

 「Hugging Face」上での作業が終わったので、いよいよ今日は「Stable Diffusion」を利用するための準備を進めていきたい。

 「Stable Diffusion」は「Colaboratory」上でも公開されているので、まずはこれを自分のGoogle ドライブに保存。あとは、表示されているコード([6] !nvidia-smiから[11] pipe = pipe.to("cuda")まで)を順番に実行していくか、メニューから「ランタイム」→「すべてのセルを実行」と操作すればよい。途中で作成しておいたトークンを入力すれば、あらかじめ指定されていた「a photograph of an astronaut riding a horse」をAIが描いてくれる。

「ファイル」→「ドライブにコピーを保存」と操作して、コードを自分のGoogle Driveにコピーする
メニューから「ランタイム」→「すべてのセルを実行」と操作
ポップアップメッセージが表示されたら「OK」をクリック
トークンの入力画面が表示されたら、トークンを入力
トークンが入力されていないため、コードの実行が途中で止まってしまったので、再び「すべてのセルを実行」すると……
コードが実行されて「a photograph of an astronaut riding a horse」の絵をAIが描いた

 一連のコードが実行されたところで、試しに「a photograph of an astronaut riding a horse」の部分を「SNS Icon of Internet Watcher by Unrealengine」に書き換えて実行したところ、繰り返しAIにお絵描きさせることでそれっぽい画像が完成した。この指示次第で画像のできが決まるようなので、引き続きネットで情報を集めながら、最適な構文を模索していきたい。

promptを書き換えて「▶」ボタンをクリックすると、AIが絵を描いてくれる。ちなみに「Watch」だと時計の要素が混ざってしまった
image.saveでファイル名を変更すると、完成した画像が別のファイルとして保存され、画面左のフォルダ型アイコンから表示できる

8月31日(水):空を飛ぶ田んぼ(非実在)をAIに理解させるのは難しい…

 業務の合間を縫って、いよいよ自分用のアイコン画像をAIに描かせることにした。今回、AIにお願いするのは、筆者の名前をイメージさせるような「Rice paddies in the sky」(空飛ぶ田んぼ)の画像。昨日と同じように「SNS Icon of」を頭につけて描かせてみたのだが、なかなかアイコンっぽい画像を作ってくれない。指定する単語が複雑になったので、「SNS Icon」の部分が弱くなってしまったのだろうか?

「unrealengine(ゲームエンジン)が描いたRice paddies in the sky」と指定してできた画像
「Makoto Shinkaiが描いたRice paddies in the sky」と指定してできた画像

 そこで、冒頭の指定を「Logo of」に変更。さらに、単語を一つ削って「flying Paddy field」したところ、それっぽい画像が作成されるようになった……のだが。表示されている謎英語は一体何なのだろう? これが正しく「flying Paddy field」と表記されていればバッチリだったのだが、単語としての意味をなさない文字の羅列になっている。う~ん、このまま使うのは難しいか。

「unrealengine(ゲームエンジン)が描いたflying Paddy field」と指定してできた画像
「Makoto Shinkaiが描いたflying Paddyfield」と指定してできた画像

9月1日(水):Googleのアイコンが“空飛ぶ田んぼ”になった(?)

 あれから冒頭を「Mark of」に変更したり、いっそ目的指定なしでAIに描かせてみたりと、いろいろ試行錯誤してみたのだが……。現実どころかネット上にもほぼ存在しないであろう“田んぼが空を飛ぶ姿”をAIに描かせるのは難しいようだ。

 ということで、最終的に完成した画像がこちら。結局、“空を飛ぶ”要素は飛行機に補ってもらうことにした。あとは、これをGoogleのアカウント画像として登録すれば、Google Meetなどの関連サービスでもアカウント画像として使用されるようになる。

 なお、「Colaboratory」には使用量の上限があり、繰り返し画像を作成していると、GPUバックエンドに接続できなくなるので注意が必要だ。

「Makoto Shinkaiが描いたAirplane and rice field」と指定してできた画像
ブラウザー上で右上に表示されるアカウントアイコンをクリック。表示されたアカウントアイコン右下のカメラ型のアイコンをクリックすると、アカウント画像を変更できる
AIに描かせた画像をドラッグ&ドロップして登録。「プロフィール写真として保存」をクリックする
アカウント画像が先ほど指定したものに更新された

 これにてアイコン画像の差し替えは完了。絵心のない筆者でも目的に合わせた画像を無料で用意できるというのは、かなり便利だ。とはいえ、やはり“田んぼが空を飛ぶ姿”をアイコン化するという夢は捨てきれないので、引き続きいろいろと挑戦していきたい。

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※編集部より
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飛田九十九