急遽テレワーク導入!の顛末記

「リモートで会社にあるPCの電源を入れる方法を再考してみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(48)

遠隔操作したマシンで、さらに遠隔操作……は厳しいか

常時起動のビデオ会議用マシンを、WOLのリモコン代わりに使ってみた

 緊急事態宣言が解除されてから、時には出社し、時にはテレワークをしながら日々の仕事をこなしている。会社にいる時はデスクに据え置きのデスクトップPCの方が使いやすいので、つい電源を入れてしまうのだが……。うっかり作業したファイルを、持ち帰るのを忘れてしまうことも多い。

 ……この記事を書いている時点で、一都三県で緊急事態宣言が解除されてから19日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、スタッフが可能な範囲で出社とテレワークを使い分けている。その中で、今回はビデオ会議専用として会議室に置きっぱなしにしているノートPCを、さらに有効活用する方法を考えていきたい。

【今回のハイライト】
WOL用に使っていたタブレットがお役御免に
遠隔操作したマシンで、さらに遠隔操作して…
会社のPCにスムーズにアクセスする方法を模索
【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された2020年4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【2020年4~8月末までの顛末はこちら】

4月5日(月):タブレット経由のWOLにお別れ

 今日は会社に出社する日。打ち合わせのために会議室に顔を出すと、「素早くZoomが使えるように」と、ノートPCなどの必要な機材一式を置きっぱなしにしていたことに気が付いた。どうやら私が出社していない間も、Web会議に有効活用されていたらしい。

 このノートPCは常に電源を入れた状態にしているのだが、Zoom以外に使わないのは少々もったいない。真っ先に思いつく用途はサーバーやRPA(ロボティック・オートメーション)だが、うちの会社ではいまいち出番がなさそうだ。そこで、ひとまずこのマシンを、今使っているWOL(Wake on LAN)の仕組みに組み込んでみようと思う。

 WOLとはネット回線越しに、PCの電源をオンにする操作のこと。自宅から会社のPCを遠隔操作する時に重宝しているのだが、現状の仕組みは以下のようになっている。


    1.<自宅のPC>から「AirDroid」を使い、<会社のタブレット>を遠隔操作
    2.<会社のタブレット>でアプリ「Wake On Lan」を使い、<会社のPC>の電源をオンにする
    3.<自宅のPC>から「Chrome Remote Desktop」を使い、<会社のPC>を操作する
「AirDroid」で会社に置いてあるタブレットを遠隔操作し、WOLでPCの電源をオンに

 「AirDroid」はタブレットを遠隔操作するアプリ。現状の会社のネットワーク環境では、自宅から直接WOLで会社のPCの電源を操作できなかったので、一度会社に置きっぱなしのタブレットを介してPCの電源を入れている。

 ただ、会社に起動しっぱなしのPCがあるなら話は早い。このPCを「Chrome Remote Desktop」で遠隔操作すれば、WOLアプリを使って、会社のPCの電源を入れられるからだ。

 「AirDroid」は一部機能が有料だったので、これを機会にお役御免ということに。これから遠隔操作をするときは、「Chrome Remote Desktop」1本でやっていこうと思う。

4月6日(火):もっとスムーズに会社PCを遠隔操作したい!

 先日は会社据え置きのノートPCを使い、WOLの操作を簡略化したのだが、ここにもう少し手を加えてみたい。

 現在の遠隔操作のフローは以下の通り。


    1.<自宅のPC>から「Chrome Remote Desktop」を使い、<常時起動PC>を遠隔操作
    2.<常時起動PC>でWOLアプリを使い、<会社のPC>の電源をオンにする
    3.<自宅のPC>から「Chrome Remote Desktop」を使い、<会社のPC>を操作する

 「AirDroid」を使わなくなったので、アプリを切り替える手間が減ったのだが、[2]の操作を行った後で、「Chrome Remote Desktop」で操作するPCを切り替える手間がある。この時、<常時起動PC>で「Chrome Remote Desktop」を起動し、さらに<会社のPC>を操作することもできるのだが、ウィンドウ枠が二重に表示されて画面が狭くなるし、操作のレスポンスも悪くなってしまった。

マシンを遠隔操作し、そのマシンからさらに別のマシンを遠隔操作……

 そこで、<会社のPC>にある「ドキュメント」「デスクトップ」の2つのフォルダーで、共有設定を有効にすることにした。これなら、<常時起動PC>を遠隔操作し、<会社のPC>の電源をオンにした時点で、会社のデスクトップPCに保存された大抵のファイルにアクセスできるようになる。

 ……ただ、<会社のPC>の電源を切るには、結局このマシンを遠隔操作するしかない。ひとまず、自動でスリープする時間を設定しておくことにしたので、無駄な電力消費は防げるだろう。「面倒くさがらずに、素直に遠隔操作先を切り替えろ」という話もあるかもしれないが。

「ドキュメント」「デスクトップ」の2つのフォルダーで共有設定を有効に
自動でスリープさせることで、電力消費を抑えたい

4月8日(木):スマホで「Chrome Remote Desktop」もなかなか便利

 今日は会社で一日デスクワーク。朝から急ぎの案件があるのだが、こういう日に限って電車が遅れる。満員電車の中でイライラしていたのだが、ふと思いついて、スマホに「Chrome Remote Desktop」をインストール。遠隔操作で会社のデスクトップPCの電源を入れてみた。

スマホで「Chrome Remote Desktop」を起動し、会社のパソコンの電源をオンにする

 会社のデスクトップPCはHDDを使用しているため、起動してから操作できるようになるまで少々時間がかかる。そのまま出社していたら、さらにイライラさせられていただろうが、「Chrome Remote Desktop」を使ったおかげですぐ仕事に取り掛かることができた。

 スマホから会社のデスクトップPCにアクセスできれば、他にもちょっとしたファイルなどを会社に忘れたときに便利そうだ。引き続き積極的に活用していきたい。

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※編集部より
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飛田九十九