急遽テレワーク導入!の顛末記

「アレクサと連携してPCを声でスリープさせてみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(72)

IFTTTとDropboxとフリーソフトの連携で実現!

フリーソフト「Assistant Computer Control」で、PCのスリープを自動化する

 iPhoneにWake On LANのアプリを入れたことで、声でPCを起動できるようになった。さらに、朝は目覚ましのアラームに合わせてPCの電源を入れてくれるので、自然と頭を仕事モードに切り替えてくれる。

 ……この記事を書いている時点で、東京都で4回目の緊急事態宣言が解除されてから8日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は前回に引き続き音声コマンドを使って、PCの電源をオフにしてみたいと思う。

【今回のハイライト】
アレクサとの連携にはIFTTTを利用
「トリガー、スリープ」と呼びかけると……
会社のPCも遠隔スリープできた!

10月4日(月):「アレクサ、トリガー シャットダウン」と話しかけてみた

 ここ数日は声でPCの電源を入れているが、その手軽さがすっかり気に入ってしまった。こうなるとWindowsのシャットダウンも、声で操作したくなる。

フリーソフト「Assistant Computer Control」

 何か使えるツールはないかと探していたところ、「Assistant Computer Control」というフリーソフトが見つかった。このソフトではオンラインストレージと連携して、ローカルに同期されたテキストファイルを監視。例えば、「shutdown」というファイルが保存されると、自動でWindowsをシャットダウンしてくれる。

 オンラインストレージについては「Dropbox」が、そこへのファイル保存の自動化についてはクラウド連携サービスの「IFTTT」の利用が推奨されていた。なので、さっそくDropboxのクライアントソフトをPCにインストール。アカウントをIFTTTと連携させたうえで、“アレクサに「シャットダウン」と話しかけると、Dropboxに「shutdown」というテキストファイルを作成する”というアプレットを作成してみた。

「Assistant Computer Control」のインストール後に起動するウィザードには、IFTTTのアプレットへのリンクが表示されるが、筆者の環境では動作しなかったので自作することに
NFCタグの記事と同じように、IFTTTのアプレットを作成。「If This」に「Amazon Alexa」→「Say a specific phrase」を選択し、「What phrase?」に「シャットダウン」と登録した
「Then That」では「Dropbox」→「Create a text file」を選択し、「File name」に「computerAction」を、「Content」に「shutdown」を、「Dropbox folder path」に「assistantcomputercontrol/」を指定

 あとは、フリーソフトのインストール中に表示されたウィザードに従って、「アレクサ、トリガー シャットダウン」と呼びかけたところ、PCが無事にシャットダウンした。省エネのためにも、これからは音声認識を使って、こまめにPCの電源を切るクセをつけていきたい。

「Assistant Computer Control」のインストール後に表示されるウィザードでは、オンラインストレージの選択画面でDropboxが推奨されている
ウィザードの最後で「アレクサ、トリガー シャットダウン」とAmazon Echoに呼びかけると、「IFTTTに送信します」という音声メッセージが流れ、フリーソフトにコマンドが認識された。なお、このウィンドウを閉じるまで、まだPCは声でシャットダウンしない

10月5日(火):声での操作をスリープに変えたら、利便性がUP!

 昨日は「Assistant Computer Control」を使って、Windowsを声でシャットダウンした。ただ、シャットダウンでは再起動に時間がかかるので、PCの電源をこまめに落とすのには向いていない。どうせなら、スリープの方が使い勝手が良さそうだ。

 「Assistant Computer Control」を使って、Windowsをスリープさせる方法は簡単だ。IFTTTのアプレットを作成する際に、アレクサの音声フレーズを「スリープ」に変更。さらに、Dropboxが入力する「Content」を、「sleep」に変更するだけでよい。

IFTTTのアプレットの設定を、スリープ用に変更する

 設定を変更した後で、「アレクサ、トリガー スリープ」とAmazon Echoに呼びかけると、PCが自動でスリープ状態になった。スリープなら復帰にかかる時間もわずかなので、これで少しだけ部屋から出るような時にも、気軽にPCの電源を切ることができそうだ。

 なお、「Assistant Computer Control」では、Dropboxが作成したテキストファイルを認識した後、そのファイルを削除して次のコマンドに備えている。このため、何らかの原因でテキストファイルが削除されずに残っていると、以降の動作に不具合が生じる場合があった。このような場合には、ローカルのDropboxフォルダの「AssistantComputerControl」フォルダ内にあるテキストファイルを、手動で削除するとよいだろう。

10月6日(水):会社のPCにも「Assistant Computer Control」を仕込んでみた

 今日も朝から自宅でテレワーク。WOLによって自動起動したPCでメールをチェックした後、Amazon Echoに呼びかけてスリープさせる。ちなみに、スリープからの復帰は前回の記事で設定したWOLでできるので、これで“PCのスリープ”と“その復帰”の両方を声で操作できるようになった。

 午後になると急な予定が入り、慌てて出社することに。最寄り駅までたどり着いたところで、ふとPCの電源を切り忘れていたような気がしてきた。

 こういう時にこそ、「Assistant Computer Control」が利用できる。iPhoneでアプリ「Amazon Alexa」を起動。アイコンをタップして音声認識を有効にして、「トリガー シャットダウン」と呼びかけると、IFTTTのアプレットが動作する。これで、もし操作を忘れて家を出ていたとしても、自宅のPCはスリープしたはずだ。

iPhoneでアプリ「Amazon Alexa」を起動。アイコンをタップして、「トリガー シャットダウン」と呼びかける

 そのまま出社して要件を片付けた後、会社のPCにも「Assistant Computer Control」をインストールしておくことにした。テレワークをしていると、仕事の終わりに自宅のPCの電源は切っても、遠隔操作していた会社のPCの電源を切り忘れることがある。しかし、両方のPCに「Assistant Computer Control」を入れておけば、会社のPCの電源をつけっぱなしにするのを防げるだろう。

「Googleリモートデスクトップ」で遠隔操作しているPCを、声でスリープできるように。なお、スリープしたPCはWOLなどで復帰させないと、「Googleリモートデスクトップ」で操作できなくなるので注意

10月7日(木):スリープから直接デスクトップに復帰させてサインインを短縮!

 PCをアレクサでスリープ、Siriで復帰させるのが、すっかり身体にしみついてきた。これが、慣れるとなかなか便利なのだが、Windows 10ではスリープからの復帰時にロック画面が表示されるので、すぐに作業に戻れないのがわずらわしい。

 そこで、Windows 10の設定を見直して、復帰時のサインイン要求を「常にオフ」にしてみた。これで、「Hey Siri、起動」でPCをスリープから復帰させた後、すぐに仕事に戻ることができるだろう。

「設定」画面を開き、「アカウント」→「サインイン オプション」と操作。「サインインを求める」のプルダウンメニューを、「常にオフ」に変更する
「設定」画面で「ネットワークとインターネット」→「ハードウェアと接続のプロパティ」と操作すると、MACアドレスが表示される

 WOLと「Assistant Computer Control」の設定を行ってから、部屋を出る時などに、ふと“PCをスリープさせる”ことを思いつくようになった。他にも、始業時間の5分前にPCを自動で起動させたり、仮眠しようとベッドに転んだ時に声でスリープさせたりと、今もいろいろな使い方を試している。

 片方だけだと使い勝手がイマイチなので、興味がある人はWOLと「Assistant Computer Control」を、ぜひセットで導入することをオススメしたい。

「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」記事一覧

※編集部より
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飛田九十九