急遽テレワーク導入!の顛末記

ノートPCでは在宅勤務がツラい!……ので「画面の増やし方」を考えてみた――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(15)

spacedeskやFire TV Stickを試してみたが……

どのような形でサブディスプレイを作るか? いろいろ試してみた

 先月に西村経済再生相が「職場への出勤者を7割削減」するよう企業に要請した後、通勤電車の混み具合がやや緩和された気がする。増え続ける新規感染者数を見て、外出を自粛している人も多いのだろう。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから73日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、対応が可能な日には在宅勤務を行う許可が出た。これを受けてテレワーク用に支給されたノートPCを持ち帰り、仕事を始めたのだが、さっそくドタバタすることに。

 今回はそのドタバタの顛末を紹介したいと思う。「洗練されたご紹介」というわけにはいかないと思うが、参考なれば幸いだ。

【今回のハイライト】
オフィス環境を再現するほど、ノートPCの筐体が邪魔に…
タブレットをサブディスプレイにしてみたが……
テレビをサブディスプレイにする「Fire TV Stick」

「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」記事一覧

8月3日(月): 帰省の慎重論が都道府県知事から相次いだ日中年にとっては「画面が遠い」………

 会社からの指示もあって、今日から数日間は在宅勤務。いよいよテレワーク用に支給されたノートPCを、本格的に仕事に使うことになりそうだ。

 本日の主な仕事は原稿と企画書の作成。さっそく、ワードを起動して、原稿を作成していくのだが……。うん、フルサイズキーボードとはいえ、タイプ感が変わって原稿が打ちにくい。自宅で使っているUSB接続のキーボードとマウスを、ノートPCに接続。これで操作感はオフィスと同じになった。

キーボードとマウスをノートPCに接続。気軽に自宅のデスクトップマシンと差し替えられるように、後でUSBハブも用意した

 ただ、この状態だと身体とノートPCの間にUSBキーボードを挟むことになるため、画面がいつもよりも遠くなった。その距離は約80cm。筆者の視力は眼鏡で補正して0.6程度なのだが、100%表示+10.5ポイントの文字がボヤけて見える。ほかにも……。

・Chromeの100%表示だと、サイトの文字が画面に近づかないと時々読めない
・画面右下の時計表示で「いま何時?」を確認するのがつらい
・マウスポインターを見失う

 これ、中年のオフィスワーカーだと、間違いなく作業効率が落ちるんじゃないだろうか? さらに、首を下に傾けて作業することになるため、次第に首が痛くなってきた。何とか急ぎの仕事を片付けたが、この環境で毎日作業するのは、どう考えても厳しそうだ。

8月4日(火): うがい薬について大阪の吉村知事が記者会見マルチディスプレイ環境を構築しよう!

 昨日の反省を踏まえて、今日は仕事を始める前にマルチディスプレイ環境を構築することにする。HDMIケーブルでノートPCと自宅のディスプレイを接続。これで、ディスプレイに表示された文字などのサイズ感が、ほぼオフィスと同じになった。

 ただ、自宅で使っている27インチのディスプレイと、A4サイズのノートPCを並べると横広になりすぎて、2画面の間で目線を行き来させるのに苦労する。というか、使いもしないノートPCのキーボード部分が、机の上で場所を取って邪魔くさい。

【27インチディスプレイを組み合わせてみる】
ディスプレイとノートPCの高さが違うのにも違和感が。このスタイルでいくなら、ノートPC用のスタンドは必須だろう

 ノートPCは机の片隅に置いておき、ディスプレイのみで仕事をしてもいいのだが……。オフィスではデュアルディスプレイで作業をしていたので、できれば2画面環境を作りたいところだ。とはいえ、ノートPCにあるHDMI出力端子はひとつ。これ以上、ケーブル経由でディスプレイを増やすことは難しい。

8月5日(水): 日本医師会が検査体制の整備を緊急提言した日タブレットやFire TV Stickでマルチディスプレイ!

 あれから一晩家探しをして、マルチディスプレイ環境に使えそうなものを発掘してみた。今回用意したのは、この2つ。

・Androidタブレット
・Fire TV Stick

 さて、早速試していこう。

タブレットをサブディスプレイにしてみる

 タブレットをパソコンのサブディスプレイにするアプリは、世の中に結構出回っている。今回は「spacedesk」を利用することにした。

アプリをインストールすると、同じネットワーク内にあるクライアントが起動中のパソコン名が表示される

 タブレットにアプリにインストールして起動。この状態で同じネットワーク内にあるパソコンにインストールしたクライアントを起動させると、それがタブレットで認識された。ここまで来たら、あとはタップ一つで、パソコンのデスクトップ画面を表示させることができる。

【タブレットをサブディスプレイにしてみた】
タブレットスタンドなら、千円台で十分な性能のものが買える

 ただ、タブレット上での操作に、かなりの遅延が発生した。あらゆる操作がワンテンポ遅れるので、たびたび誤操作を起こしてしまう。正直、資料になるページを表示させておくなど、静止画を表示させるぐらいしか使い道が思いつかない……。

「spacedesk」を利用中のリソースモニター。ネットワークに定期的な負荷がかかっている

 さらに、タブレットを含めて3画面を展開しようとすると、ウィンドウを閉じるのに時間がかかったり、マウスポインターが見えなくなることがあった。パソコンのリソースモニター上では大きな負荷は見られなかったので、動作が重くなったタブレットに、パソコンの表示が引きずられているような印象だ。

 「duet」など有線接続で映像を表示できるアプリでは遅延が改善されるようだが、タブレットとの相性問題も報告されている。有料ということもあり、正直ちょっと二の足を踏んでしまうところだ。

テレビをサブディスプレイにできる「Fire TV Stick」
テレビなどのHDMI端子に接続して利用する、amazonの「Fire TV Stick」

 では、部屋のテレビにつなげている、「Fire TV Stick」はどうだろうか? こちらは標準で「ディスプレイミラーリングを有効にする」機能が用意されているので、さっそく有効にして、ノートPCから接続してみる。

「Fire TV Stick」で「設定」→「ディスプレイとサウンド」→「ディスプレイミラーリングを有効にする」と操作
パソコンのタスクバー右端にある通知アイコンをクリック。通知一覧の下にある「展開」で全アイコンを表示させ、「表示」アイコンまたは「接続」アイコンをクリックすると、接続先のデバイス一覧が表示される

 ちなみに、FireTV StickとノートPCだが、「同じネットワークに接続しないと接続が切れる」ということがあるようだ。最初は2.4GHz帯と5GHz帯で接続しようとして失敗、なんてことがあった。いずれにせよ、Fire TV StickとノートPCを同じ5GHz帯で接続すると、無事にパソコンのデスクトップ画面がテレビに表示された。

【普通のテレビをサブディスプレイにしてみた】
テレビをノートPCのサブディスプレイとして利用できるようになった

 さて、その操作感だが、「spacedesk」よりも遅延が少ない。いや遅延はあるのだが、マウスポインターがズルズルと少し引きずるように動くレベルで、これなら我慢できる範囲といえるだろう。

 ただ、表示するのがテレビなので、今度は仕事場のレイアウトを一考する必要が出てきた。リビングのテーブルをテレビに近づけて、作業をするというのもアリだが、それは家族に迷惑というものだろう。さて、どうしたものか……。

8月6日(木): 愛知県で独自の緊急事態宣言が発令された日あれから一晩考えてみた

 「spacedesk」と「Fire TV Stick」を、パソコンのサブディスプレイとして利用してみたが、課題が目について使い続けるには至らなかった。そこで、ふとあることに気が付く。

「あれ?パソコンの画面を無理に拡張する必要なくない?」

 オフィスで2画面での作業をしていたとき、サブディスプレイの用途といえば、メーラーを常に表示させておくか、資料となるページを表示させておくことがほとんどだった。

Chromeに同じアカウントでサインインすれば、「マイ アクティビティ」からPCで開いたサイトの履歴にアクセスできる

 メールは現在Gmailで受信しているので、タブレットのアプリで確認できる。パソコンで表示しているサイトは、Chromeでアカウントを同期させれば、タブレットで開くのも簡単だ。そして、何よりも遅延がないのが素晴らしい。

 タブレットにモバイルキーボードを接続すると、操作面のストレスもほぼなくなった。どうやら、これが我が家のマルチディスプレイでは、現時点での正解といえそうだ。

【27インチディスプレイ+タブレットで仕事をしてみる】
ひとまずは、このスタイルで在宅勤務を続けてみよう

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※編集部より
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飛田九十九