急遽テレワーク導入!の顛末記

「紙の書類のせいで出社」は1日だけ、うちの経理、実は先進的だった!――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(13)

「Excelで管理」は3年前に卒業!……当時は文句言ってました、すいません……

会社ではバックオフィスの業務に「board」を利用している

 打合せや通勤のための移動。会議室や機材の予約調整。会食のための経費――。緊急事態宣言以降、仕事に関する様々なことがスリム化している。そのうちの一つが、“紙の書類”を使ったやり取りだ。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから58日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では、「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」を利用して、テレワーク用の機材を購入。在宅勤務に向けての準備を進めてきた。その中で、今回は日ごろ何気なく使っていたツールが、実は在宅勤務で役立っていた、という話をしていこうと思う。

【今回のハイライト】
自宅にいながら請求書を発行
経理がSlackを導入したんだって!
経理のクラウド化の一部始終を関係者に聞いてみた

7月16日(木): Go To トラベルの東京除外が決定した日急ぎの請求書発行依頼が在宅中に!

 今日はある事情で午後から在宅勤務。事務所での仕事を終えた後、テレワーク用に準備したノートPCを持ち帰る。以前の緊急事態宣言下のような長期での使用を想定し、なるべく性能の良いマシンを購入したが、A4ノートはちょっと重かったかもしれない。まぁ、メインで仕事用に使うとなると、画面が小さいのはそれで困りものだが。

 自宅で仕事をしていると、クライアントから1本のメールが入った。どうやら急ぎ、請求書を作成してほしいとのことだったので、「board」に登録してあった案件を検索。請求書の発行ボタンを押して、PDFをメールで送る。

受注の際に案件情報を登録しておくと、簡単に見積書や請求書が作成できる

 「board」はクラウドベースの業務・経営管理システムで、うちの会社では導入してから、もう3年が経つ。

 思えば、緊急事態宣言によって自宅作業をしているときは、このシステムに随分助けられていたのだろう。請求書を送るタイミングを登録しておくと、経理に自動でメールが届くので、内容を2人でダブルチェック。請求書を発送するという作業が、顔を合わせていなくてもできた。

 緊急事態宣言の発令からこっち、「請求書をPDFで送ってほしい」とリクエストしてくるクライアントが増えた。これにより紙の請求書を印刷して、経理に渡す……というフローがなくなったので、請求書の発行における現場サイドの作業は、ほぼテレワークに対応できた言えるだろう。

7月17日(金):YouTuberとの接触で感染者が2人出た日うちの経理は先進的だった!紙で届いた請求書は…

 請求書の発行について、現場サイドの作業はテレワークに対応できた。「じゃあ、経理サイドはどうなんだろう?」と気になったので、話を聞いてみることにする。

【飛田】 世の中にはハンコをもらいに出社した、みたいな話があったけど……。

【経理】 あー、うちは大丈夫。boardで請求書を作ると、そこに電子印鑑が押されているでしょ。社長からの許可を受けて、請求書には自動で会社の社判が押されるようになっているから。だから自宅でも、ほとんどの仕事ができたかな。

boardで経理が作成した請求書には、カラーの社判が押されている

 なるほど。確かに、緊急事態宣言の期間中は、経理も在宅勤務をしていた。ちなみに、紙で届いた請求書については、時々会社に顔を出していた社長や社員が開封して、緊急性の高いものは経理に連絡していたようだ。なので、「締め日の前にだけ出社すれば、あとは在宅勤務で大丈夫だった」(経理)という。

【飛田】 ちなみに経費はどうだった? 僕の方は請求するものが何もない状況だったけど……。

【経理】 うん、みんなそんな感じだったから、在宅勤務が終わった後にまとめて処理するということで、みんな了解してたかな。

チャットを中心としたコラボレーションツール「slack」

 なお、経理では現在引き継ぎ作業を行っており、その連絡にSlackを利用しているという。経理は非常勤なので、出社していないときでも確認事項の問い合わせなどができるよう、導入することになったそうだ。

【飛田】 ウチだと社内の連絡にLINEを使うことが多いけど、なんでSlackにしたの?

【経理】 LINEはプライベートでも使うから、オンオフの切り替えに苦労するのよ。Slackならやり取りするのは仕事の話だけ。それも、会社の業務時間内にしか連絡がこないから、使うときに意識を自然と切り替えられるんだよね。

 役員からは将来的には全社的にSlackを導入したいので、そのテストケースになって欲しいと言われているという。この反応の良さを見ると、その日もそう遠いことではなさそうだ。

7月20日(月):国内のコロナ死者数が1000人を超えた日「Excelで管理」をクラウドサービスにした理由

 今日はある案件で、役員と一緒にZoomでクライアント打合せ。今月に入ってから社長も含め、ノートPCに話しかけている姿をよく見かけるようになった。以前とある会議に“声だけ飛び入り参加してしまう”ミスをしてからは、電話の取次ぎなどで声をかけるときには、“ヘッドセットをつけていないか”を必ず確認するようにしている。

 ビデオ会議が終わった後で、役員に「うちは何でboardを導入したのか?」と聞いてみた。どうやら一番の目的は、「情報を入力・検索する手間を減らすこと」だったらしい。

boardでは登録した案件情報を、顧客やタグでフィルタリングできる。

【役員】 顧客やタグ情報で案件をソートできるというのが、やっぱりExcelから大きく変わったことじゃないかな。以前は案件が終了して、弥生会計に情報を入力するところまでいかないと、売り上げが分からなかったし。そうなると、経営判断も遅れちゃうよね。

 boardの導入によって、経理や経営判断に関わる作業量は大幅に減った、と。そう役員は自信ありげに話していた。

7月21日(火):普天間飛行場で5人の感染が判明した日そういや3年前は文句言ってました……すいません

【飛田】 って、役員さんが言っていたけど。

【経理】 いやいや、確かに負荷は減ったけど、そんな簡単じゃなかったよー。飛田さんとだって、board入れる時に口論したし。

 うん、確かに。案件情報の登録先を以前のExcelシートからboardに切り替えてからは、こちらで登録する情報が増えた。ただ、最近は操作に慣れてきたこと。さらに、過去に登録した案件の情報をコピーできることから、“目くじらを立てるほど”の作業量増にはなっていない。

【経理】 何か言いたそうな顔してるなぁ。「外出先でも見積書が作れるようになった」とか、便利になったって飛田さんも言っていたじゃん。

【飛田】 まぁ、おかげで在宅勤務中も、必要な見積書がすぐに作れてたよね。

【経理】 そうそう。だから、boardってうちの会社にも受け入れられたんだと思う。

案件情報、新規案件であればさらに顧客情報を入力しなければ、見積書が作成できない

 経理によると最初は登録する情報が増えたことから、現場サイドはあまり導入に好意的ではなかったという。……私も含めて。ただ、仕事をしていると、どうしても見積書や請求書が、急ぎで必要なことがある。するとどうなるか? 現場サイドが「書類を急ぎ欲しい」から、自分で情報を登録するようになるわけだ。

 とはいえ、最初の頃は情報に抜け漏れなどがあって、経理がダメ出しすることも多かったという。そこは「慣れるまで何度も言うしかなった」と、経理は苦笑いしながら教えてくれた。

【経理】 ただ、Excelで情報を管理していた頃は、営業がファイルを提出した後で、自分の手元にあるファイルだけ情報を更新していたり。それを教えてくれなかったりと、本当にイロイロあったのよ。今はboardがマスター情報になっているから、常に最新の情報が共有されているのが、すっごい楽かな。会社名の表記が「(株)」や「株式会社」という感じでブレてないから、ソートしたり、弥生会計にエクスポートするのも簡単だしね。

入力された案件情報は条件を指定してソートし、csv形式でエクスポートできる

 現在は経理の引継ぎを行っているが、ある意味で“自分ルール”だったExcel時代と比べると、業務内容も伝えやすくなったという。もし、またコロナ禍で在宅勤務が始まっても、経理関係で苦労することはあまりなさそうだ。

※編集部より
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飛田九十九