急遽テレワーク導入!の顛末記

「Zoomでプロジェクターを使ったプレゼンは可能か?」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(22)

Zoomの資料共有でのイライラを解決したい!

プロジェクターで投影した様子を、Zoomで配信してみた

 最近ではすっかりZoomの利用が定着して、バーチャル背景などの機能を使いこなす人も普通に見かけるようになった。先日にはZoomがアップデートされたが、その話も社内でちょっとした話題になっている。

 ……この記事を書いている時点で、全国で緊急事態宣言が解除されてから129日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では、Zoomの「プロ」プランに契約。社内外での打ち合わせなどにZoomを活用している。その中でも、今回は「画面の共有」機能を使いこなす上での、試行錯誤の様子を紹介していきたい。

【今回のハイライト】
「拡大」「拡大」…まだ読めませんか?
ポインターが消えた……!?
プロジェクターの映像をWebカメラで撮影

【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境が整えていく……

【4~8月末までの顛末はこちら】

9月24日(木):「画面の共有」した資料の文字が小さい!

 今日はとあるクライアントとZoomで打ち合わせ。会話の中で「画面の共有」機能を使ってパワーポイントの資料を共有したのだが、「文字が小さくて資料が読めない」と言われてしまった。パワーポイントの表示を「閲覧表示」にしてもダメ。スライドを右クリックし、「画面表示拡大」を行うことで、ようやく文字が読めるようになったようだ。

パワーポイントの表示タブから、「閲覧表示」を選択して全画面化
さらに「画面表示拡大」で、表示倍率を2倍にアップ

 ただ、この状態でもマウスポインターが見えづらいようで、スライドの“どの部分について説明しているか”を、時々見失ってしまうことがあった。プロジェクターでスライドを表示している時なら、ポインター(物理)で指すだけで良かったのだが……。こういう時に、テレワークの不自由さを感じてしまう。

9月28日(月):パワポにバストショット出演できるZoomの新機能を試してみる

 週末にふとZoomで“パワーポイントのスライドをバーチャル背景に使用”できるようになったことを思い出した。「もしかしたらポインターが使えるようになるかも」とさっそく試してみる。

 まずは、Zoomのクライアントを起動して、アップデート操作を行う。Zoomはバージョンが更新されると、アップデート通知が出る時、出ない時があるのだが、今回は後者だったようだ。

アカウント名をクリックして表示されるメニューから「アップデートを確認」を選択

 さて、後は実際にプレゼンをするだけだが、ぶっつけ本番はちょっと怖い。ここは、いつものように同僚のAさんに協力してもらおう。

【Aさん】飛田さん、またですか……。
【飛田】ごめん、あまり時間取らせないから。どういう風に見えるかだけ教えて!

 この連載にも、かれこれ何回目の登場になるか分からないAさんだが、今日はちょっと忙しかったようで、ややご立腹気味。これは急いで操作をしなければ。

 ということで、ZoomをAさんに繋いだら、ビデオ会議の画面で「画面の共有」を選択。ここで表示される画面で、上のタブから「詳細」をクリックして、新機能の「バーチャル背景としてのPowerPoint」を試してみる。

「詳細」タブから「バーチャル背景としてのPowerPoint」をクリック。表示するファイルを選択する

【飛田】どこをポインターで指しているか、分かるかな。
【Aさん】いやいや、飛田さん、ポインターが消えてますよ。

スライド上に合成された際に、ポインターが削除されてしまった

 それは……そうか、ポインターは身体の一部として認識されないか。その後に指差しでも試してみたが、画面右下に小さくオーバーレイ表示されているだけなので、大まかに指している方向ぐらいしか伝わらなかった。

方向があべこべなので、指で方向を指すのも難しい

 さらに、「画面の共有」中はビデオのミラーリング表示が解除されるので、方向感覚があべこべになり、思い通りの場所を指さすことも難しい。つまり、この機能はあくまでスライドに自分をミニ表示させる機能ということになる。

 なお、後日この機能を使ってビデオ会議を行ったところ、Zoomをアップデートしていない人のスライドには、バストショットが合成されなかった。画面上に「BETA」と表示されていたが、まだまだ正式版ではないということなのだろう。

9月30日(水):プロジェクターでプレゼンしている様子をLIVE配信してみた

 スライドを背景に合成したのでは、ポインターなどで“指差し”するのは難しい。では、カンファレンスの生中継のように、プロジェクターを使ってプレゼンしている様子を、そのままLIVE配信するのはどうだろう? 実際に試してみた。

HDMI接続したプロジェクターで拡張したウィンドウを投影し、その様子をWebカメラで撮影

 今回用意したプロジェクターはAnkerの「Nebula Capsule Pro」。解像度は854 x 480で、その映像を横幅80cmのサイズでホワイトボードに投影してみた。これを720p対応のWebカメラ「Microsoft LifeCam Cinema HD」で撮影する。

 その結果だが、プロジェクターで投影した時点では、小さい文字も肉眼で十分見える解像感があった。しかし、これをWebカメラで撮影し、Zoomで配信すると、とたんに画面全体がボヤけてしまう。大きな文字や写真は見えるが、小さい文字を読むのはまず無理だろう。

WebカメラとZoomを通した段階で、映像がかなりボケてしまった。

 これならポインターを使いながら、ライブ感のあるプレゼンができそうなのだが……。ここから、どうやって解像度を上げていくかが課題となりそうだ。

10月1日(木):iPhoneのカメラで投影したスライドを撮影してみた

 これまでの経験では、手持ちの機材で一番キレイな映像をZoomに送れたのはiPhoneだった。カメラを代えることで、プロジェクターの映像も画質UPして配信できるか、さっそく試してみた様子がこちらだ。

iPhoneのメインカメラで撮影した映像を、Zoom経由で共有した様子

 Webカメラを使ったときよりも、明らかに映像がくっきりしている。スライド上に11ポイントで入力した文字も、何とか読むことができた。もう少しポイント数を上げれば、ストレスなく資料を共有できるだろう。

 さらに、今回のようにホワイトボードにスライドを投影すれば、その上からマーカーなどで文字が書きこめる。パワーポイントにも手書き入力の機能はあるが、やはりペンの方が文字などは書きやすい。これなら、プレゼンの自由度もあがりそうだ。

ホワイトボードにスライドを投影すれば、その上から文字が書ける

 最近ではウェビナーなどで、スライドのみを表示して、プレゼンターが表に出ることなく話している姿を見かけるようになった。ただ、時にはスライドと一緒に自分が立つことで、よりインパクトのあるプレゼンができるかもしれない。

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※編集部より
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飛田九十九