急遽テレワーク導入!の顛末記

「NFCタグを使って朝のルーティン作業をまとめて自動化してみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(68)

朝の挨拶からTodoの確認までをワンタッチで自動実行

キーホルダー型のNFCタグ。10個1000円程度で購入できる

 先日はNFCタグを使って、時報のオンオフをワンタッチで切り替える「オートメーション」を作成した。これがなかなか便利だったので、“昼寝の時におやすみモードに切り替え、画面の明るさを下げる”、“ゲームのイベント発生時に、Discordのチャンネルを開く”など、引き続きいろいろなシーンで活用している。

 ……この記事を書いている時点で、東京都で4回目の緊急事態宣言が発令されてから60日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はNFCタグをもっと仕事に使えないか試してみた。

【今回のハイライト】
LINEに朝の挨拶を自動で投稿
さらに、今日のToDoを表示
そして朝にふさわしいBGMも
【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された2020年4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【2020年4~8月末までの顛末はこちら】

9月6日(月):PC前にいなくてOK! 朝の挨拶をアレクサアプリで自動化

 今日は気分を変えようと、自室を離れて仕事をすることに。始業時間が近づいたところで、この部屋に「Amazon Echo」がないことに気が付いた。

 テレワーク中は会社のLINEグループに「おはようございます」と朝イチでメッセージを送るのが日課なのだが、これを最近ではアレクサの定型アクションを使って時短している。ただ、定型アクションはスマホからでも操作できるので、さっそく「Amazon Alexa」のアプリを起動。音声認識の機能を呼び出し、「アレクサ、出勤」と声をかけると、LINEにメッセージが投稿された。

アプリ「Amazon Alexa」を起動し、画面上のアイコンをタップして、「アレクサ、出勤」と呼びかける

 テレワークを始めてから、ほかにもさまざまなツールを使って作業を自動化するようになった。この前に手に入れたNFCタグも、もっと便利な使い方があるかもしれない。さて、何かいいアイデアはないものだろうか……。

9月7日(火):NFCタグのタッチでLINEにメッセージを投稿させる

 NFCタグの使い道だが、これで朝のルーティンを自動化できないかと考えた。具体的には昨日アレクサの定型アクションで行った“LINEへの朝の挨拶”。これをNFCタグで自動化できれば、「Amazon Alexa」がない場所でも、ワンタッチでメッセージを投稿できるようになる。

 自動化については、時報を制御した時と同じように、iPhoneの「オートメーション」が利用できる。ただ、「オートメーション」のアクションで自動実行できるのは、“LINEアプリを起動する”ところまで。これでは、アレクサの定型アクションの劣化版になってしまうので、IFTTTと連携させて、指定のメッセージを送るところまで自動化してみた。

iPhoneでIFTTTのアプリを起動したら、「Explore」から「Webhooks」を検索して表示。「Settings」をタップし、表示されたURLにアクセスする
「Make a POST or GET web request to:」の下に表示されたURLを、3行すべてコピー。これは後ほど利用する
アプリのホーム画面に戻り、画面上のメニューから「Create」をタップ。次の画面で「If This」をタップする
検索窓に「Webhooks」と入力し、表示された「Webhooks」アイコンをタップ。次の画面で「Receive a web request」をタップする
次の画面では「Event Name」に適当なイベント名をアルファベットで入力(これも後で利用する)。「Create trigger」をタップする
「Then That」をクリックして、次の画面から「LINE」を選択。「Send message」をタップして表示される画面で、メッセージの内容と投稿するトークルームを指定する

 なお、NFCタグをトリガーにアクションを自動実行するには、「Webhooks」という仕組みを利用してIFTTTに通知を行うことになる。このため、一連の手順でコピーしたURLをiPhoneで利用する必要があるので、上の操作はPCのブラウザーからではなく、「IFTTT」のアプリで行った方が操作が楽になるだろう。

アプリ「ショートカット」を起動し、新規の「個人用オートメーション」を作成。トリガーに「NFC」を選択する
「スキャン」をタップして、NFCタグをスマホに読み込ませたら、タグの名前を入力。今回は「デスク」とした
「アクションを追加」→「書類」→「テキスト」とタップ。表示されたボックスに、「Webhooks」でコピーしたURLを貼り付け、{event}の部分を先ほどIFTTTで登録した「Event Name」(Syukin)に差し替えたら、「次へ」をタップする
「アクションを追加」→「スクリプティング」→「変数を設定」とタップ。変数名を指定する。今回は「IFTTT」と指定した
「アクションを追加」→「Web」→「URLの内容を取得」とタップ。先ほど指定した変数(IFTTT)の内容を取得しているのを確認し、画面右上の「次へ」をタップする
「実行の前に尋ねる」をオフにして、「完了」をタップ。これで、NFCタグにiPhoneをタッチすると、LINEでメッセージを投稿するオートメーションが作成できた

9月8日(水):自動化させて“朝のToDo確認”を身体に叩き込む!

初回の自動実行時には確認画面が表示されるので、「OK」をタップ

 最初に思いついたのは“Googleカレンダーでその日の予定を確認”することだが、これは「サイボウズOffice」でタイムカードを押すときにもチェックできる。となると、ここは「Todoist」で今日のタスクを確認しておくべきだろう。

NFCタグを読み取った時のアクションとして、「App」の「Todoist」の「画面を開く」を指定。デフォルトで「今日」の「インボックス」を開くよう設定されているので、問題なければ「次へ」をタップ

 Todoistを使い始めてから約1カ月が経ったが、まだまだ“あさイチでTodoを確認する”というルーティンが身体に染みついていない。これを機会に自動化させて、きちんと頭にたたき込んでおこう。

9月9日(木):心休まるBGMを聞きながらToDoを確認する朝

 朝の挨拶やタイムカードの打刻を行った後は、メールチェックや情報収集といった単純作業がしばらく続く。その気分転換になるような曲を集めたプレイリストを作成。これを、NFCタグを読み込むと同時に、自動で再生するオートメーションを作成してみた。

Bluetoothスピーカーに接続した状態で、最初のアクションに「メディア」の「再生出力先を設定」を選択。上の画面で出力先をタップして、Bluetoothスピーカーを指定する
3つ目のアクションとして「メディア」の「ミュージックを再生」を選択。上の画面で再生する曲の部分をタップして、プレイリストを指定する

 なお、“再生出力先を設定”と“ミュージックを再生”を続けて登録したところ、Bluetoothスピーカーとの接続が間に合わなかったのか、プレイリストの曲が再生されなかった。そこで、2つの間に「スクリプティ」の「何もしない」を登録してみる。その後、改めてNFCタグにタッチすると、Bluetooth接続を待ってから次のアクションが実行されるようになった。

 これで毎朝、机に向かったときにiPhoneをNFCタグにタッチすれば、LINEにメッセージを投稿し、Todoを表示して、BGMが流れるようになった。ほかにも、複数の操作を自動実行するシーンが出てくると思うので、また別のNFCタグにそれを登録してみたい。

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※編集部より
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飛田九十九