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2020年度の電子書籍市場は4821億円、28.6%の大幅増加。コミックが4002億円を占める
2021年8月13日 17:36
株式会社インプレスは、「電子書籍ビジネス調査報告書2021」を発行した。これによると、2020年度における電子書籍の市場規模は4821億円で、2019年度の3750億円から1071億円(28.6%)の大幅増加となった。
出版社、電子書籍ストア、取次事業者、通信事業者、コンテンツプロバイダー、インターネット広告事業者など、電子書籍に関わる事業者からのヒアリングなどをもとに推計したもの。電子書籍の市場規模はここ数年、年間500億円程度のペースで増加していたが、2020年度はその2倍の伸びとなった。インプレスではこの急増について、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛による巣ごもり消費や、社会現象ともなった大ヒット作品の影響が大きい」としている。
今後、2020年度における急増の反動はなく、年間400億円程度のペースで増加し、2025年には6700億円を超えると予測している。
この電子書籍市場で83.0%を占めるジャンルが、コミックだ。2020年度の市場規模は4002億円で、2019年度の2989億円から1013億円の増加。電子書籍市場全体で年間1071億円の増加のため、2020年度における電子書籍市場の成長はほとんどがコミックということになる。
電子書籍市場で大きなシェアを占めるコミックは、無料で読めるサービスやアプリも数多くリリースされている。マンガアプリの広告市場規模は260億円で、前年の210億円から50億円増加した。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により広告単価が下落。また、2020年秋には海賊版サイトの問題があり、一部のマンガアプリでは大きな影響を受けているという。2021年度には280億円に達すると予測されている。
また、スマートフォンとタブレットのユーザーを対象に電子書籍の利用状況を調査したところ、有料の電子書籍の利用率は20.5%で、前年から0.5ポイントの伸び。無料の電子書籍サービスは24.8%で、前年と同じだった。
無料の電子書籍サービスだけ利用しているのは、10代の女性で37.6%、10代の男性で30.9%、20代の女性で29.7%など。男女ともに10代の利用率が高く、年齢が上がるほど低下する。
有料の電子書籍サービスの利用率が高いのは、20代男性の29.5%、30代男性の28.5%などで、男女ともに20代と30代の利用率が高い。
有料・無料問わず利用している電子書籍サービスは、「LINEマンガ」が27.8%、「Kindleストア」が26.2%、「ピッコマ」が23.8%、「少年ジャンプ+」が15.9%と続いている。利用している電子書籍サービスにおいても、コミックが多いことが分かる。
また、海賊版サイトについて「具体的なURLなどを聞いたことがある/知っている」と答えたのは9.1%、「海賊版サイトが問題になっていることは聞いたことがある(具体的には知らない)」が37.9%、「聞いたことがない」が53.1%となっている。
オーディオブックは、「よく利用する」が2.2%、「たまに利用する」が4.7%、「利用したことはないが、利用したいと思う」が17.9%、「利用したいとは思わない」が46.1%、「わからない」が29.1%。
なお、電子書籍の利用状況の調査は、株式会社フォリウムが保有する「スマートアンサー」のモニターを対象に、スマートフォン/タブレットのアプリを用いて6月に実施。サンプルはスマートフォンの利用人口構成比に可能な限り近づけており、有効回答数は8559。