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テレワークなどで多様化するPC利用環境に対応できるインテルvProの実力、ソリューションの事例を交えて解説するセミナーが開催

 インテルは11月12日、同社のビジネスPCと「vPro」プラットフォームをテーマにしたオンラインセミナー「IT管理は課題が山積み…先端事例から学ぶ2022年に必要な働き方とは?」を開催した。

 新型コロナウィルスの感染拡大以後、ビジネスにおけるPCの重要性が高まると同時に、多様な分野でリモートワーク・働き方改革が大きくされているのは周知のとおり。こうした背景をふまえ、インテルのビジネスPCや利用できる最新テクノロジー、vProプラットフォームを活用したデバイスの管理手法やセキュリティ対策といったトピックを解説するのが今回のセミナーの狙いだ。セミナーではテーマごとに複数のセッションを用意し、同社のパートナー企業やエンドユーザーを招いての活用事例の紹介なども実施されていた。

 この記事では、日本マイクロソフトによる基調講演やパートナー企業のソリューション紹介セッションを中心に、セミナーの概要を紹介していく。

 なお、このイベントはオンデマンド配信も開催中。気になる内容があれば、公式サイトから内容を確認してみるといいだろう。

Windows 11は「ハイブリッド・ワークと学習のための OS」

日本マイクロソフト株式会社 モダンワーク & セキュリティ本部 モダンワークビジネス部 エグゼクティブ プロダクト マーケティング マネージャーの春日井良隆氏

 セミナー後半の「ハイブリッド・ワークと学習のためのOS、Windows 11」では、日本マイクロソフト株式会社 モダンワーク & セキュリティ本部 モダンワークビジネス部 エグゼクティブ プロダクト マーケティング マネージャーの春日井良隆氏が登場し、最新のWindows 11について解説した。

 春日井氏はWindows 11登場の背景について、「新型コロナウィルスの感染流行により、多くの人々がリモートによるコミュニケーションを余儀なくされている。オンライン会議の定着のように、デバイスの使い方も変わってきて、PCと向き合う時間が圧倒的に増えた」と説明。

 「ここ1年半のマイクロソフトでは、全世界18万人超の社員のうち16万人が在宅勤務を行っている。新卒採用に関しても2万5000人の新入社員をリモートで採用しているが、一方で同僚とのつながりの質への満足度は低下しているというアンケート結果が出た。日本やブラジルでは在宅勤務は業務上の責務と個人的な義務の区分けがしづらく、ウェルビーイングに悪影響を与えているという社員のアンケート結果が他国より多くなった一方で、リモートワークを望まないと答えた社員はわずか3%。63%がハイブリッドモデルの働き方を、35%がフルリモートが理想であると回答した」と、働き方の選択には社員1人1人に合う・合わないの問題があることを指摘した。

 加えて春日井氏は、「在宅勤務とオフィス勤務の選択については、仕事に集中するためにオフィスに来る人もいれば、同じ理由で在宅勤務をする人もいる。これも多様性の一種だと思うが、選択肢を持つことで社員一人一人に合った働き方を提案できる」と述べる。こうした状況を踏まえ、「ハイブリッドワークとリモートによる学習のために開発、デザインされたのがWindows 11」だという。

Windows 11では「ウィジェット」機能が復活し、大画面向けのスナップレイアウトがフィーチャーされるなど、生産性を高めるための機能が多く盛り込まれている

 春日井氏によれば、Windows 11のポイントは「生産性」「コラボレーション」「一貫性」「安全性」「選択肢」の5つ。その上で、生産性に関しては実際にデモを行い、大型ディスプレー向けの画面整理機能「スナップレイアウト」やWindows 8から復活した「ウィジェット」、Wordの音声入力などの機能を実際に解説した。コラボレーションについては「Windows 11はTeamsと一体化しており、タスクバーからチャットを呼び出す、会議中にタスクバーからコンテンツを共有するといった、リモートでのコラボレーションの促進が可能になっている」と説明した。

 「一貫性」については、Windows 10上とのアプリの互換性を確保されている点、互換性を支援するApp Assureプログラムが用意されている点、デバイスやサーバーの管理・監視が可能なMicrosoft エンドポイントマネージャーなどを挙げ、移行や管理面でのメリットを解説。「安全性」については「職場にとらわれない働き方をする上で非常に重要になる」と指摘し、ハードウェアと連携する生体認証のように「安全かつ利便性を上げる」機能や、Microsoft Intuneのように組織向けに最適化された管理アプリケーションにも注力していることをアピールした。

 最後に「Windows 11はあくまでOS・ソフトウェアであり、その力を引き出すものがハードウェア。インテルのvProのようなプラットフォームをベースに、Widowns 11を搭載したデバイスを提供したいと思っている」と講演をまとめた。

vProと各社ソリューションの組み合わせで相乗効果が生まれる

 特別セッション「パートナー企業のソリューションとインテル vPro プラットフォーム搭載 PC のイノベーション」では、実際にvProプラットフォームがどのように展開されているか、パートナー企業3社の事例を交えながらの説明が行われた。

 このセッションではセミナー前半に続き、インテル株式会社 インダストリー事業本部 ビジネス・クライアントテクノロジー・エバンジェリストの坂本氏に加え、インテル株式会社 ビジネスクライアントテクニカルセールススペシャリスト セールス&マーケティンググループの佐近清志氏がファシリテーターとして参加している。

「ヘルプデスクサービスに対して付加価値がとても大きい」 - コムチュアネットワーク

コムチュアネットワーク株式会社 ITマネジメントサービス事業部 ハイブリッドITサービス本部 マネージド・サービス第一部長の水嶋考志氏

 コムチュアネットワーク株式会社の事例紹介には、同社ITマネジメントサービス事業部 ハイブリッドITサービス本部 マネージド・サービス第一部長の水嶋考志氏が登場。

コロナ流行以後の状況下において、vProプラットフォームはヘルプデスクサービスと親和性が高い、と水嶋氏

 情報システム部門の運用業務のアウトソーシングサービスを多数手がける同社だが、vProを活用したサービスとしては「ヘルプデスク」サービスがあると説明。vProのソリューションを提供し始めた背景としては、「vProプラットフォームとEMA(エンドポイント・マネジメント・アシスタント)サーバーがあれば、リモートによるPC診断やOS復旧、BIOS設定、BitLockerのパスコード入力代行、PCキッティングといった管理・運用が可能になり、PCが目の前になくても対応できることが増える。ヘルプデスクサービスに対して付加価値がとても大きい」と述べた。

vProの導入支援に加え、親和性の高い同社製のソリューションを提供
ユーザーヘルプのリモート化、セキュリティレベルの向上など、多くのメリットがあるとしている
コストを削減しつつ、ロケーションを選ばないサポート体制を構築可能に

 その上で、同社はvProプラットフォームの導入および導入後の運用を促進するソリューションに加え、同社が展開するvProとマッチング性の高いソリューションをどちらも提供。「従来はヘルプデスクサービスと言えば常駐型を検討するユーザー様も多かったと思うが、vProのソリューションを活用することでフルリモート型を実現できる。PCのリカバリひとつ取っても、PCがネットワークにさえ繋がっていればわれわれがリモートで処理をかけられるほか、オフショア化により繁忙時以外のコストが抑えられるなど、従来型では対応できないニーズに対応できる。また、常駐型では出社できなければサポート体制に著しい制約が発生するが、オフショア化してしまえばサービスは原則止まらない。ユーザーもヘルプデスク側も、ロケーションを問わずにサービスが提供できる」と、vPro活用によるヘルプデスクサービスのメリットを解説した。

「オフライン端末の電源を一時的にオンにしてPatchを適用、再び電源をオフに」 - 株式会社エイチシーエル・ジャパン

株式会社エイチシーエル・ジャパン Sales Directorの大野洋一氏

 株式会社エイチシーエル・ジャパンのソリューション紹介では、同社Sales Directorの大野洋一氏が登場。同社が展開する「BigFix」は、自動でデバイスのPatch適用やWindows Feature Updateの適用が実施可能なエンドポイント管理ソリューションとして知られている。

エンドポイント管理ソリューション「BigFix」は、PatchやFeature Updateの適用をあらゆるデバイスで自動化できる

 まず大野氏は、同社サービスを利用するグローバルのユーザーの声として、「どのお客様にも共通しているのは、モバイル機器やデスクトップ、ラップトップ、サーバーやクラウドといったものを共通のソリューションで管理したいという要望がある。それができればコストも抑えられるし、担当者のスキルも1つで済む」と説明。「BigFixであればこうしたデバイスはもちろん、在宅PCに対してのFeature Update適用といった事例など、すべてを一気通貫で管理できる。すべての管理が1台の管理サーバーから可能なため、シングルプラットフォームでの運用が可能である」と自信を見せる。

 さらにBigFixの特徴について「HCL自身がPatchを取得しテストし、早ければ即日中、遅くとも2~3営業日以内に管理サーバーへと送信できるため、お客様がPatchを取得する必要がない。オフラインになっているPCは、オンラインになったタイミングでPatchを取りに行くため、担当者は進捗状況を確認するだけでいい。また、ネットワーク帯域のコントロールができるため、細い回線でも確実にアップデートを完遂できる」としている。

遠隔地のサーバーの電源オン/オフ、緊急のパッチ適用など、電源管理の面ではvProプラットフォームの機能が役立つ、と大野氏

 加えて「Tenable」のような脆弱性診断など他社ソフトの連携についても言及し、「診断ソフト単体では、ネットワークスキャンをかけても脆弱性に対しどう対応するかはユーザー任せ。BigFixは情報を受け取り、対応するFixletを自動でサーバーやデバイスに適用できる。従来であれば数週間から数カ月かかるような対応も、数時間から数日で完了できる」と述べた。

 vProの活用については「たとえば遠隔地、無人のサーバールームのサーバーの電源のオン/オフといった電源管理が挙げられる。そのほか緊急性の高いPatch適用のようなシーンでは、オフライン端末の電源を一時的にオンにしてPatchを適用、再び電源をオフにするといった運用が可能になる」と解説した。

 これについて佐近氏は「BigFixは非常に優秀なエンドポイント管理ツールだが、個々のデバイスの電源の管理は難しいという現実がある。そこでvPro対応の端末を活用していただているということで、非常に良い事例だと思う」とコメント。坂本氏は、「BigFixはいち早くvProに対応してくれたサービス。現在のvPro普及の立役者になってくれている」と解説を加えた。

「ヘルプデスクサービスとの組み合わせで包括的な運用が」 - Lakeside Software Japan

Lakeside Software Japan株式会社 セールスエンジニア&テクニカルサービスマネージャーの長島広隆氏

 事例紹介の最後に登場したのは、Lakeside Software Japan株式会社 セールスエンジニア&テクニカルサービスマネージャーの長島広隆氏。リモートワークで管理が困難になったPCを、EMAサーバーと同社のデジタルエクスペリエンスモニタリングソリューション「SysTrack」の組み合わせで効率的に管理する運用方法を紹介した。

「インフラ上はわずかな差でも、デジタルエクスペリエンスとしてはユーザーへの影響が大きいことがある」と長島氏。ユーザーへの影響の大きさを把握することで、ハイブリッド化したデスクトップ環境下でも大きな課題を把握しやすくなるとのこと

 長島氏は昨今のデジタルワークスペースの変化について「標準端末やアプリ、ネットワークなど、もともとは非常に統一された環境が整っていたが、コロナウィルスの流行によってリモートワークが流行し、デスクトップ環境がハイブリッド化してきた。セキュリティを含め、管理するデバイスも増えたことで、難しさが増している」と指摘。

 「これまでのように、すべてのIT基盤が健全に動いているというだけでは十分な管理ができない。大きな問題を把握する力が求められている。個別のユーザーのデジタルエクスペリエンスを可視化することで、ユーザーに対する影響の大きさを把握し、どの問題を解決するのがもっともエンドユーザーに効果があるかを判断できるようになっていく」と、デジタルエクスペリエンスのモニタリングの有効性について言及した。

SysTrackはメトリック収集量の多さ、分析の柔軟性の高さがアナリストから評価されているとした

 長島氏はSysTrackについて、「端末に軽量なエージェントを配布し、収集された粒度の高いメトリックを集約し、柔軟な分析を行うもの」と説明。他ベンダーと比べても10倍以上のメトリック収集量がある、ダッシュボードやスクリプトに高い柔軟性がある、Intel EMA(エンドポイント・マネジメント・アシスタント)やOffice 365との連携機能があるといった特徴から、アナリストからも高い評価を得ていると述べた。

EMAとSysTrackを連携することで、より包括的な運用が可能になる

 SysTrackとEMAの連携については「SysTrackはエージェントベースのソリューションであるため、電源が入っていないデバイスに対しては手を打つことができない。EMAはリモートから電源のオン/オフができたり、SysTrackではアクセスできないハードウェアイベントを見たりといったことが可能なため、たとえば『Resolve』のようなヘルプデスクサービスと組み合わせることで包括的な運用が可能になる。豊富なメトリックの中、電源などハードウェアレベルの管理や回復スクリプトの実行もできるようになり、会社にいようと在宅であろうと、柔軟なサービスを提供できる」と強みをアピールした。

IT部門の業務負荷を軽減、vProプラットフォームを選ぶべき10の理由

ファシリテーターとしても登場していた佐近氏がvProプラットフォームを選ぶべき理由を解説

 最後に行われたセッションには、前セッションでファシリテーターを務めた佐近氏が登場。「インテル vProプラットフォームを選ぶべき10の理由」というテーマで講演を行った。

Thunderbolt4はケーブル管理が容易になるほか、ドックと組み合わせることで利便性が向上する

 佐近氏は「私が独断と偏見で選んだ理由」として、vProプラットフォームが備える10の要素を列挙。まずは日々の業務にあると便利な機能として「Thunderbolt 4」を挙げ、「ケーブルを刺すだけで充電や映像出力が可能。管理する立場からしても、様々な配線の苦労やケーブル管理を考えると導入を進めて欲しい」と述べた。また流行するビデオ会議に役立つ機能として、「Iris XeグラフィックスとWi-Fi 6Eによるオンライン会議の品質向上」をピックアップ。「ビデオ会議に特化したAV1コーデック、AIによる背景ぼかしや除去、超解像度といった機能で、今後のわれわれの生活から切り離せないビデオ会議を助けてくれる」とアピールした。

 さらに佐近氏は、いざというときに備えたい機能として、複数のセキュリティ機能について解説。「インテル コントロールフロー・エンフォースメント・テクノロジー(CET)は、マルウェアの50%以上と言われる制御フローハイジャックマルウェアをCPUレベルでブロックできる。インテル スレット・ディレクション・テクノロジー(TDT)はAIによるマルウェアの検出に加え、処理の一部を統合型グラフィックスに肩代わりさせることでCPUの性能低下を防ぐといった機能がある。インテル ハードウェア・シールドは、BIOS内のメモリーへのアクセスを制限することで攻撃をシャットダウンできる。いずれもvProの機能として提供されており、PCを箱から出した状態で機能はオンになっているので、安心してご利用いただける」と述べた。

リモートによる電源ON機能のデモでは、直接BIOSを立ち上げるといった柔軟な操作がアピールされた

 そのほかIT管理者にとって重宝する機能として、リモートによる電源ON、BitLockerの入力、OSの初期化、SSDデータ消去など、vProのリモート関連の機能がデモ映像とともに紹介された。最後に佐近氏は、「vProは2-in-1から薄型PC、モバイルワークステーションまで、幅広いラインアップを展開しており、これらはすべて一元管理が可能。様々なフォームファクタやOEMを問わず利用していただける。IT部門のユーザーの方には、vProプラットフォームを導入していただくことで業務内容が軽減された中で、今後の目的に対して業務を行っていただければと思う」とコメントし、講演を締めくくった。

インテル株式会社 執行役員 インダストリー事業本部 本部長の張 磊(チョウ ライ)氏

 また、セミナーの閉会時にはインテル株式会社 執行役員 インダストリー事業本部 本部長の張 磊(チョウ ライ)氏が登壇。自身もかつては情報システム部門に配属されていたという張氏は「情報システム部門はどんどんコストを削減され、人員が減っていく。その時に、簡単かつリモートでサポートができる環境があればすごく助かる、ということでvProプラットフォームが誕生している。皆様も、もしかするとvPro対応のPCを知らないうちに購入しているかもしれないが、しっかりと活用していくことでより効率的にITを推進できると思う」と述べ、vProプラットフォームの活用を積極的にアピールしていた。