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キングジム「ポメラ」新モデルはUSB Type-Cに対応、連続使用24時間を実現~「DM250」7月29日発売

キーボード周りの設計を一新、独自「US配列」レイアウトも追加

デジタル「ポメラ」の新モデル「DM250」

 株式会社キングジムは、デジタルメモ「ポメラ」の新モデル「DM250」を7月29日に発売する。価格は5万4800円(税別)。通常モデルの本体カラーはダークグレーだが、限定250台でホワイトモデルをキングジム公式オンラインストアで販売することも発表した。

キングジム公式オンラインストアで販売される「DM250」ホワイトモデル

 ポメラは、テキスト入力に特化した専用電子文具。電源を入れるとすぐに起動し、スムーズに文章入力を行うことができるのが特徴だ。2008年11月に初代の「DM10」を発売して以来、「DM20」(2009年)、「DM5」(2010年)、「DM100」(2011年)、「DM200」(2016年)、「DM30」(2018年)など、継続的に新モデルを投入してきた。

「ポメラ」のこれまでのモデル

 今回のDM250も、そのコンセプトを踏襲。キングジム執行役員開発本部副本部長の立石幸士氏は、「文章をしっかり書きたいというニーズに対応し、進化してきたのがポメラである。コロナ禍でリモートワークが広がっているが、そのなかでもしっかりと向き合って文章を作りたいというニーズがある。その声を聞いて、ポメラを進化させた。文章を書くための機能だけを、ひたすら極めた自信作である」と述べた。

キーピッチは横17mm・縦15.5mm。独自「US配列」にカスタマイズ可能、「親指シフト」の新レイアウトも

 最新モデルのDM250は、ストレート型モデルであるDM200をベースに、使いやすさを追求。本体サイズは約263×120×18mm(幅×奥行×高さ)、重量は約620gと、デジタルツールとしてのコンパクト性と、携帯性を実現している。

 WSVGA(1024×600ドット)の7.0型TFT液晶ディスプレイを搭載。キーピッチは横17mm・縦15.5mmとし、モバイル環境でも入力しやすい環境を実現するとともに、タイプ時の静音化も図っている。

入力しやすいキーピッチを実現している

 また、「US配列」に近づけたレイアウトにカスタマイズできるようにしたほか、従来のポメラでも採用していた「親指シフト」には、改良したレイアウトを1種類追加し、より入力しやすくしたという。

 「少し明るいダークグレーの本体カラーと、キーボードの黒にコントラストをつけることで正確なタイピングをサポートしたり、キートップのデザインも一新し、アルファベットを中央に配置して視認性を高めたりしている」(キングジム開発本部デジタルプロダクツ課の清水翔平氏)という。

キートップのデザインを一新した

縦書き脚本・台本に最適化した「シナリオモード」追加。保存文字数は、1ファイルあたり20万字に拡張

 ポメラ向けに最適化した日本語入力システム「ATOK for pomera[Professional]」を強化し、校正支援機能を追加。誤字・脱字や慣用表現の誤りを指摘し、入力ミスを減らすことができる。また、テキストフォーマットには、新たにシナリオモードを追加し、縦書きの脚本や台本の作成にも最適化した。1ファイルあたりの保存文字数は、DM200の10万字の2倍となる20万字とし、長文の保存にも適している。

慣用表現の誤りも指摘する
「シナリオモード」を追加した

専用アプリで、スマホとのファイル送受信が可能に。ゴミ箱/バックアップ領域の追加も

 さらに、Wi-Fi接続によって、ポメラ本体とスマートフォンの間で直接、テキストファイルのやり取りが可能になった。Android/iOSに対応した専用アプリ「pomera Link」を使用すると、ポメラ本体内のデータを選択するだけでアプリ内に保存できる。また、専用アプリからポメラ内のファイル一覧を閲覧でき、アプリ内のファイルをポメラに送信できる。

スマホとの連携も簡単になった
ポメラとスマートフォンとの連携方法

 そのほか、ゴミ箱やバックアップ領域を追加したことで、間違って削除したり、上書きをしてしまったファイルの復旧を可能にしたり、作成中のテキストの文字数やバッテリー残量を画面上に常時表示できるようになった。

文字数カウント/バッテリー残量表示

「長時間の文章作成が可能に」~連続使用時間は約24時間

 連続使用時間は約24時間となり、DM200の約18時間よりも長時間化。充電状況の確認ができるLEDも装備している。「持ち運び先でも安心して長時間の文章作成が可能になる」(清水氏)という。

 また、USB Type-Cポートを新たに搭載し、PCとのリンクや充電ポートとして使用できる。充電時間は、従来モデルの5時間から4時間に短縮している。

USB Type-Cポートを搭載している

 「外観はDM200と差がないが、内部設計は全く違うものになっており、ほぼ作り直している。キーボード周りの設計、電源、基板などを一新している。部品の調達や製造に苦労した」(キングジム開発本部ラベルライター課課長の八木正樹氏)と述べた。

 初年度の販売目標は8000台。当初は5月の発表を予定していたが、中国のロックダウンの影響で商品が入荷しないという事態により、2カ月遅れの発表となった。現在、入荷状況は改善しているという。

「文章を書くための機能だけを極めていった」基本コンセプトからブレずに、純粋な進化

 ストレート型の前モデルであるDM200の発売から、今回の新モデルであるDM250の発売までに6年が経過した理由については、「人気製品であるDM200を継続的に販売することに力を注いできたが、新たな時代に合わせたインターフェースの仕様の変更などによって使いやすい製品を目指した」(清水氏)とし、「DM250は、これまでのポメラの概念を壊すことなく、安心して使いやすいように進化を遂げた。ポメラを利用しているユーザーに加えて、今後、ポメラの購入を検討している人にも適している。歴代のポメラを超える製品を目指したい」と述べた。

 また、初代モデルであるDM10の企画開発担当でもあった立石氏は、「DM10は、出張先に持ち運んで打ち合わせのメモや議事録を入力できるツールを想定して開発した。社内の企画会議では、文字入力しかできないことや、テキスト入力専用端末としては価格が高いことなどの指摘があったが、社外取締役の大学教授が移動中の新幹線や飛行機での執筆活動のために欲しいという強い要望を背景に、熱烈なファンを想定して商品化を決定した。発売後には記者やライターから高い支持を得て、ボツになりかけた商品が注目されたことに感動した思い出がある」とし、「文章を書くことを仕事にする人たちに評価され、想定外の使い方へと広がっていった。もっと便利に使ってもらいたいという思いから、ユーザーの意見を最大限に反映して、文章を書くための機能だけを極めていった。基本コンセプトからブレずに、純粋な進化を続けたことが、14年間続くロングセラー製品になった理由である」と語った。

 キングジムでは、「独創的な商品を開発し、新たな文化の創造をもって社会に貢献する」という経営理念を掲げ、開発型企業としてのスタンスにこだわっている。「キングファイル」や「テプラ」はオフィスに欠かせない存在になっているが、「ポメラも新たな文化を創造した商品の1つになったのではないかと思っている」などとした。

キングジムの経営理念
株式会社キングジム執行役員開発本部副本部長の立石幸士氏
株式会社キングジム開発本部デジタルプロダクツ課の清水翔平氏