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理論値最大46Gbpsの「Wi-Fi 7」に対応した新製品をTP-Linkが発表

ルーター「Archer BE900」など7モデルのほか法人向けも

 TP-Linkは、11月15日(日本時間)にWi-Fi 7製品発表会をオンラインで実施。同社初のWi-Fi 7対応製品として、ホーム向けのWi-Fiルーター「Archer」、メッシュシステム「Deco」シリーズのほか、法人向け「Omada」や「Aginet」シリーズの新製品を発表した。米国では一部製品のオーダーを12月31日から受け付け、2023年第1四半期には出荷される予定だが、日本国内での発売予定は発表されていない。

 Wi-Fi 7こと「IEEE 802.11be」は、最大320MHz幅での通信が利用可能で、変調方式「4096-QAM(4K-QAM)」に対応。MIMOは16ストリームまで対応。Wi-Fi 6/6E(IEEE 802.11ax)では通信速度が最大9.6Gbpsであるのに対し、Wi-Fi 7は同46Gbps(いずれも理論値)と、大幅に速度が向上する。

 また、2.4GHz、5GHz、6GHz帯の3つの周波数を使用し、複数の周波数ブロックを利用できるMRU(Multiple Resource Unit)や、複数のリンクを並列に使って伝送速度を向上するMLO(Multi-Link Operation)も特徴。

 発表会はTP-Link本社から配信され、バイスプレジデントのPingji Li氏が説明を行った。

Archerシリーズ上位モデル「Archer BE900」は最大通信速度24Gbps

 Archerシリーズでは「Archer BE900」「Archer BE800」「Archer BE550」、およびゲーミングルーター「Archer GE800」の4モデルが発表された。

 Archer BE900は、クアッドバンドに対応したWi-Fi 7ルーター。最大通信速度は6GHz帯が11520Mbps、5GHz帯1が5760Mbps、5GHz帯2が5760Mbps、2.4GHz帯が1376Mbpsとなり、合計で約24Gbpsとなる。

Archer BE900

 有線ポートはSFP+/10GbpsコンボWAN/LAN、10Gbps対応のWAN/LAN各1に加え、2.5Gbps対応のLANポート×4、ギガビット対応LAN×1を備える。WAN側とは光ファイバーでの直接接続が可能。

Archer BE900の有線ポート
光ファイバーでWANに接続できる

 本体外装にはLEDスクリーンとタッチスクリーンを持っており、LEDスクリーンには天気予報、時刻、絵文字を表示できる。タッチスクリーンに通信速度やルーター内部のCPU負荷、メモリ消費量を表示できるほか、設定の操作も可能。設定はスマートフォンアプリ「TP-Link Tether」にも対応する。

LEDスクリーンにはEmojis(絵文字)の表示が可能
下部にはタッチスクリーンがあり、各データの表示や設定が可能

 このほか、メッシュ標準規格「Wi-Fi EasyMesh」に対応。また、VPNクライアント/サーバー、ペアレンタルコントロール、セキュリティ機能「HomeShield」などを搭載する。米国での価格は699.99ドルからで、オーダーは2022年12月31日から。入手できるのは2023年第1四半期としている。

 中位モデルのArcher BE800は、トライバンド対応で、最大通信速度は6GHz帯が11520Mbps、5GHz帯が5760Mbps、2.4GHz帯が1376Mbpsの合計最大19Ggps。有線ポートはSFP+/10GbpsコンボWAN/LAN、10Gbps対応WAN/LAN各1に加え、2.5Gbps対応LAN×4を備える。

 下位モデルArcher BE550は、トライバンド対応で、最大通信速度は6GHz帯が5760Mbps、5GHz帯が2880Mbps、2.4GHz帯が574Mbpsの合計最大9..3Gbps。有線ポートはすべて2.5Gbps対応で、WAN×1、LAN×4を備える。

 Archer BE800およびArcher BE550の価格や発売時期は発表されていない。

Wi-Fi 7対応のArcherシリーズモデル(Archer GE800については後述)
下位モデルのArcher BE550でも全ポートが2.5Gbpsに対応
Archer BE900の価格
Archer BE900の発売時期

Wi-Fi 7対応ゲーミングルーター「Aecher GE800」

 Archer GE800は、トライバンドに対応し、合計で最大通信速度19Ggps。オンラインゲームの通信を最適な経路で接続し、低遅延と安定した通信を実現する「WTFast GPN」に対応する。また、スマートフォン用のゲームに備えて、スマートフォンアプリ「TP-Link Tether」からゲーム用の設定が行える。

 有線ポートはSFP+/10GbpsコンボWAN/LAN、10Gbps対応WAN/LAN各1に加え、2.5Gbps対応LAN×2、ギガビット対応LAN×1の各ポートを備え、本体には高性能CPUを搭載。「真の10G」をうたう製品であるとしている。価格と発売時期は未発表。

Archer GE800

メッシュシステム「Deco BE95」は16ストリームとクアッドバンド対応

 メッシュシステムのDecoシリーズでは、「Deco BE95」「Deco BE85」「Deco BE65」の3モデルが発表された。

Wi-Fi 7対応のDecoシリーズ。円筒形の本体に「7」のテクスチャが付いている

 上位モデルとなる「Deco BE95」は、クアッドバンドと16ストリームに対応。最大通信速度は6GHz帯1が11520Mbps、6GHz帯2が11520Mbps、5GHz帯が8640Mbps、2.4GHz帯が1148Mbpsで、合計最大33Gbps。Wi-Fi 6のメッシュ製品では合計最大11Gbpsだったことから、3倍速いとしている。

 有線ポートはいずれもWAN/LAN両対応で、SFP+/10Gbpsコンボ、10Gbps対応各1のほか、2.5Gbps対応のLAN×2を備える。バックホールにはWi-Fiのほか10Gbpsの有線LANが利用可能で、異なるフロアでも速度を落とさず接続が可能だという。

Deco BE95の有線ポート
バックホールを10Gで接続した場合のWi-Fiの速度のイメージ

 中位モデルのDeco BE85は、最大通信速度が6GHz帯で11520Mbps、5GHz帯で8640Mbps,2.4GHz帯で1376Mbpsの合計最大22Gbps。有線ポートはWAN/LAN両対応の10Gbps対応×2、2.5Gbps対応×2を備える。

 下位モデルのDeco BE65は、最大通信速度が6GHz帯で5760Mbps、5GHz帯で4320Mbps,2.4GHz帯で574Mbpsの合計最大11Gbps。有線ポートは2.5Gbps対応WAN/LAN×4。

Wi-Fi 7対応Decoシリーズ

 価格は、Deco BE95の2台セットが1199.99ドルから、DE85の2台セットが999.99ドルから。両モデルは2022年12月31日にオーダー開始、出荷は2023年第1四半期からとなる。Deco BE65の価格や発売時期は未発表。

法人向けシリーズでもWi-Fi 7対応製品をラインアップ

 法人向けのブランドやシリーズでもWi-Fi 7対応機が発表された。法人向けネットワーク製品のOmadaシリーズでは、Wi-Fiアクセスポイント「Omada EAP780」「Omada EAP770」の2モデルが発表されている。

 このほか、ISP向けサブブランドのAginetシリーズでは、5G Wi-Fi 7ルーター「NB610v」、XGS-PON Wi-Fi 7ルーター「XGB830v」「XGB630V」、Wi-Fi 7ルーター「EB810v」「EB610v」、Wi-Fi 7システムメッシュシステム「HB810」「HB610」の、各モデルが発表された。

OmadatシリーズのWi-Fi 7対応モデル
AginetシリーズのWi-Fi 7対応モデル