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ドローン映像の撮影・ネット公開、住宅地は原則NG……総務省がガイドライン案

 総務省は29日、「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン(案)」を公表した。

 プライバシーや肖像権の観点からまとめたもので、ガイドライン案では、ドローンによる撮影行為によってプライバシーや肖像権を侵害する可能性があると説明。撮影者が注意すべき事項として、ドローンで映像などを撮影してインターネットで公開する人は、撮影の際に被撮影者の同意を得ることを前提としつつ、それが困難な場合には「住宅地にはカメラを向けないようにするなど撮影様態に配慮すること」「プライバシー侵害の可能性のある撮影映像等にぼかしを入れるなどの配慮をすること」としている。

 具体的には、住宅近辺における撮影飛行は原則として行わないようにすること、住宅近辺で撮影を行う場合は住宅にはカメラの角度を向けないこと、住宅に向けてズームしないこと、高層マンションではカメラの角度を水平に向けないようにすることなど、住居内の人が写り込まないような措置をとることや、ライブストリーミングによるリアルタイム配信ではぼかし処理などが困難であるため、住宅地周辺を飛行する時はライブストリーミング配信をしないことが示されている。

 また、撮影映像をインターネット上で公開するサービスを提供している電気通信事業者においては、「削除依頼への対応を適切に行うこと」を挙げている。

 ただし、プライバシー侵害に当たるかどうかは事例ごとの判断になるため、これらはあくまでもプライバシー侵害にならないための取り組みの目安を示すためのものであり、一定のリスクは残ると説明。例えば、「趣味で飛行・撮影を行うケースや興味本位で映像等を収集するケースなど、ドローンの飛行自体に公益的な目的が認められない場合は、そのリスクが大きくなるものと考えられる」としている。

 似たような事例として総務省では過去に、公道から撮影した道路周辺の画像を公開するサービス(ストリートビュー)がサービス開始当初、プライバシー・肖像権の侵害との指摘があったことを受け、研究会を設置して論点を整理。サービス提供者に求められる取り組みとして、「撮影様態の配慮」「ぼかし処理」などを提言し、関係事業者に要請した経緯がある。

 今回のガイドライン案では、ドローン撮影映像とプライバシーとの関係について、「たとえドローンの飛行が自らの私有地や飛行が認められている公共の場におけるものであっても、住居の塀よりも高い上空を飛行するのが一般的で、通常は塀によって人の視界に入らない映像等を撮影可能であることからからすると、撮影・インターネット上での公開は、プライバシー侵害の危険性は高いと考えられる」と説明。ストリートビューのような公道から撮影・公開するサービスと比較して、「プライバシー侵害の危険性は一段大きいものと言わざるを得ない」としている。

 総務省では、ガイドライン案に対するパブリックコメントを、6月30日から7月29日17時まで募集。寄せられた意見をふまえ、ガイドラインを取りまとめる予定。

(永沢 茂)