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Instagramが15周年。積極的な機能追加の歴史、今後はAIの本格実装も
女子高校生文化における「プリクラ」との関係性も紹介
2025年10月14日 07:30
Metaは10月7日、Instagramのサービス開始から15周年を迎えたとして、メディアラウンドテーブルを開催した。Meta日本法人・Facebook Japan代表取締役の味澤将宏氏が登壇し、Instagram15年の振り返りと、今後の戦略を語った。
Instagramは2010年10月6日に写真共有アプリとして米国で提供開始。当時はスマートフォンに備えられたカメラの性能も低かったが、Instagramではフィルターを用意しており、解像度が高くなくても見栄えのする写真を作成できることなどから、爆発的な人気を博した。
現在、世界のインターネット人口は55億人と言われている中、今年9月末に発表した最新の月間アクティブアカウント数は世界全体で30億人だという。
積極的に新機能を実装し、フィードバックを受ける文化
Instagramではこれまで新機能を積極的に実装しており、2016年には24時間で投稿が削除されるストーリーズが搭載されたほか、2018年からは企業がビジネス・マーケティング分野へ活用できるようショッピング機能も追加。さらに、コロナ禍以降、インフルエンサーの収益化を支援するとして、サブスクリプションサービスや一斉配信チャンネルなどの機能も追加した。
味澤氏は「Instagramでは、新しい機能をテスト段階から実装し、積極的にフィードバックを受け付けていることをカルチャーにしている」とコメントした。
また、未成年を守る機能も備えている。成人とのDMのやり取りを制限する機能や、2023年は子どものアカウントと保護者のアカウントを連携して、保護者が子どもの利用時間やフォローしているアカウントをチェックできる「ペアレンタルコントロールツール」、そして、2025年1月には、国内で13~18歳未満がアカウントを作成する際、自動的に「ティーンアカウント」として登録し、さまざまな保護機能を適用する。
リール・メッセージ機能が牽引している
写真共有アプリから始まったInstagramだが、現在、ユーザーの利用時間のうち50%がリール動画視聴を占めている。また、動画を視聴する時間の伸び率も前年比で約20%増加している。また、ユーザー同士がテキストなどでやり取りできるDM機能も積極的に使われている。
こうした利用状況を踏まえ、2025年9月にリリースされたiPad専用アプリでは、アプリを開くとトップにリール動画が表示されるなど、リール動画に重きを置いたユーザーインターフェースを採用した。また、アプリ内のタブも数週間のうちに変更予定とすることを明らかにした。現在、「ホーム、検索、新規投稿、リール、プロフィール」の順に並んでいるが、今後は「ホーム、リール、DM、検索、プロフィール」の順に変更する。
AIをレコメンド、広告、クリエイティブの3分野で活用
AIによってユーザー体験を向上させるとして、主に3つの分野でAIを活用するとの見通しが語られた。
1つ目は、AIによるレコメンド機能だ。これは、AIがユーザーの興味や関心に合わせたコンテンツをおすすめするもので、すでに導入されている。導入後、利用時間が6%増加したという。また、今後はAIからおすすめされたコンテンツに対してユーザーが興味の有無をフィードバックできる、アルゴリズム管理の機能も実装予定としており、まずはリール動画でテストしていく。そして、InstagramでMeta AIを実装し、例えば、検索結果をAIが要約してくれたりするほか、エージェントとしても利用できる。現在は英語圏の一部で運用されている。
2つ目は、広告効果の改善だ。現在、Metaは「Advantage+」などの広告支援ツールを提供している。ツールは、InstagramやFacebookで配信する広告を、AIが各ユーザーに合わせて画像や動画を最適化するもの。すでに日本でも広く使われている。
3つ目は、クリエイティブツールへのAI活用だ。例えば、同社が手掛けた動画作成アプリ「Edits」において、画像生成AIを使って動画作成できる。また、英語圏やスペイン語圏の一部の地域で「Meta AI Voice Translations」を導入。これは、投稿された動画を自動的に翻訳するだけでなく、声、話し方、唇の動きもAIが調整するため、まるで動画に映る人物が翻訳した言語で話しているかのように見える。味澤氏は、この機能について「トーン&マナーを変えず自動翻訳できるのが強みだ」と説明した。なお、これらの日本への導入時期は未定となっている。
最後に味澤氏は、「AIを含めた最新のテクノロジーを活用し、Instagramのユーザーに価値のある体験を提供していきたいと思っている」と締めた。
「10代のインスタ利用がプリクラを進化させた」
続いて、フリュー株式会社の榎本雅仁氏(代表取締役社長)が登壇し、「プリとInstagramに見るティーントレンドの変遷」と題したトークセッションを実施した。
フリューは、「プリクラ」として広く知られるプリントシール機を開発する、業界トップシェアのメーカーである。1995年にセガの「プリント倶楽部」が登場し、業界は今年で30周年を迎える。フリューが開発したプリントシール機はオムロンの顔認識技術を利用しており、髪の色や目の大きさ、口の形などを自由に変えることができ、ユーザーの理想の顔に近づける(盛る)ことができることなどから、現在も女子高校生を中心に人気を博している。
フリューでは、ターゲットである女子高校生に定期的にヒアリングを行い、プリクラ機の機能に反映させてきた。2016年ごろには、女子高校生がInstagramで、プリクラで撮影した画像やプリントシールを投稿するようになり、フリューも「インスタ映え」を意識したプリクラ機の開発を行ってきている。
例えば、撮影している最中の様子や落書きしている様子をコマ撮りした動画をアップしていることから、撮影ブースをInstagram投稿用フォトスポットを作ったり、スマートフォンを設置するスペースを設けている。また、Instagramのストーリーズに合わせ、撮影した写真をコラージュしたものを、専用サイトからダウンロードできるような機能を実装した。
榎本氏は「プリの開発や楽しみ方が、Instagramから影響を受けている。InstagramをはじめとしたSNSとの親和性が高く、ユーザーにとっても使いやすい機能の開発を進めていきたい」とコメントした。
なお、Instagramは15周年を記念して、フリューの最新プリクラ機「EVERFILM」とコラボレーション。2026年1月5日まで、若年層に人気のイラストレーター・REDFISH氏がデザインしたスタンプが使える。