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安い動画用デバイスや“通信帯域を共有して収益”サービスなどで機器を乗っ取る「レジデンシャルプロキシ」問題を、警察庁・総務省が警告

対策組織「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」も設立

 警察庁、総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の3者は7月21日、家庭用のIoT機器を踏み台として悪用することで発信元を一般家庭に偽装させ、所在や身元を隠しながら行われるサイバー攻撃が発生しているとして、「レジデンシャルプロキシ」に関する情報を公開するとともに、3者らによる対策のための組織「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」を設立すると発表した。

 レジデンシャルプロキシ(Residential Proxy)とは、直訳すれば「住宅用代理サーバー」。悪用の文脈でいえば、一般住宅のIoT機器を乗っ取るなどして本来その機器が想定している用途でない動きをさせ、「サイバー攻撃が一般家庭から行われているように見せかける」ものを指す。一例を挙げると、海外からのアクセスを受け付けないように設定している日本企業のサーバーにも、日本の家庭にあるレジデンシャルプロキシを介すことでアクセスでき、サイバー攻撃を容易に行えるようになってしまう可能性がある。

 3者は今回の発表と同時に、「家庭用IoT機器を悪用するレジデンシャルプロキシの現状」というレポートを公開した。同レポートでは、「レジデンシャルプロキシに係るIoT機器は『テレビに接続して無料で国内外の動画を視聴できます』などとうたって販売されている動画ストリーミングデバイス等の形で存在」と、安価で便利であることをうたい、日常的な用途向けの製品として売られている製品であり、特に分かりやすい例としては、動画ストリーミングデバイス(セットトップボックスなど)であるとしている。

被害額にして約30億円近い不正送金詐欺に悪用

 レジデンシャルプロキシを悪用した通信を行うことで、サイバー攻撃の実行者の追跡が困難になる。警察庁では、不正アクセスや詐欺などのサイバー事案において攻撃者の追跡や攻撃の検知を困難にする手口として悪用されている実態を把握しているといい、2024年度に発生したインターネットバンキングの不正送金においては、犯行時にレジデンシャルプロキシが用いられた事例が少なくとも1918件、被害額約28.9億円に及び、被害件数全体の約44%、被害額では約33%を占めると分析しているという。

「家庭用IoT機器を悪用するレジデンシャルプロキシの現状」より、インターネットバンキングの不正送金の被害件数と被害額における、レジデンシャルプロキシが用いられた割合

ストリーミングデバイスのほか、収益アプリや無料VPNアプリなどにも注意

 レジデンシャルプロキシ化のリスクの対策例として、同レポートでは、次の3点を挙げている。

無料VPNアプリや「使わない帯域で収益」などのサービスを使わない

 提供元不明のアプリを安易にダウンロードしたり、使用したりしないこと。これは、スマートフォンがレジデンシャルプロキシ化されてしまうことを意味している。例として挙げられているものには、無料VPNアプリのほか、「『使用していない通信帯域(データ通信量)を共有することで収益を得られる』などとうたうサービス」が挙げられている。

 アプリなどは信頼できる提供元から入手するようにして、インストールの際には開発元や利用規約などを確認することを、日頃から行うようにしたい。

「有料のはずの動画が無料」など、怪しいストリーミングデバイスに注意

 動画ストリーミングデバイスに関しては先にも述べたが、本来有料であるはずのサービスを無料で利用できるとうたう製品や、価格が相場と比較して安価であるなど不審な製品の購入、使用はしないように、としている。

OSやファームウェアを最新の状態に保つ

 PCやスマートフォンのOS、IoT機器のファームウェアを最新に保ち、脆弱性を対策する。また、サポートが終了したIoT機器は買い替えるなどする。

 法人においても、組織で承認していない機器や端末の業務ネットワークへの接続を防止する、 業務用ネットワークとIoT機器などが使うネットワークを適切に分離する、 ファイアウォールやアクセス制御の設定を適切に運用するなどして、レジデンシャルプロキシとして悪用されないための対策を講じることが重要だとしている。

「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」も設立

 あわせて、レジデンシャルプロキシに関する周知広報方策や、関係者が連携した対処の方針、必要な環境整備について協議することを目的とした「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」の設立も発表された。警察庁サイバー警察局サイバー企画課および、総務省サイバーセキュリティ統括官付参事官室が事務局を務める。