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警察庁が2025年上半期のサイバー脅威情勢まとめ発表、検挙件数は6625件
「極めて深刻な情勢が継続」と総括
2025年9月22日 06:30
警察庁サイバー警察局は9月18日、2025年上半期のサイバー犯罪・サイバー脅威情勢などに関してまとめた「令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を発表した。
同資料は、サイバー空間の脅威情勢および警察の取り組みについてまとめたもので、コラムなどを含め全105ページ。脅威情勢に関しては、不審なアクセスの増加、高水準で推移するランサムウェア被害やフィッシング被害、SNS上に氾濫する犯罪実行者募集といった事態を挙げ、「極めて深刻な情勢が継続している」と総括している。
2025年上半期のランサムウェア被害の報告件数は116件で、2022下半期と並んで最多となった。フィッシング報告件数は119万6314件。過去のデータは年ごとに集計されているが、毎年大幅な増加を続けており、2024年は171万8036件。このままでは2025年が過去最多となるとみられる。
このほかの脅威情勢では、犯罪グループが企業に電話をかけ、ネットバンキングの更新手続きなどをかたってメールアドレスを聞き出し、フィッシングメールを送付する「ボイスフィッシング」による法人口座の不正送金被害が、2024年秋以降急増している。また、2025年3月~5月には、証券会社をかたるフィッシングメールや証券口座への不正アクセスや不正取引が急増したという。
警察の取り組みとして、令和7年上半期におけるサイバー犯罪の検挙件数は6625件。うち177件は不正アクセス禁止法違反(他人のアカウントへの不正ログインなど)、585件はコンピュータ・電磁的記録対象犯罪(インターネットバンキングでの不正送金、ウェブサイトの改ざん、ウイルス作成など)。
残り5863件は「その他」に分類され、この内訳は詐欺(1442件)、犯罪収益移転防止法違反(1312件)、児童買春・児童ポルノ法違反(633件)など。
このほか、ランサムウェア攻撃グループ「Phobos」「8Base」により暗号化されたデータの復号ツールの開発や、中国を背景とするサイバー攻撃グループ「SaltTyphoon」に関する国際アドバイザリへの共同署名といった活動も紹介している。