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QRコード悪用のフィッシング「クイッシング」検出増加、攻撃者は“使い慣れた技術への信頼”を悪用
ESET脅威レポート 2026年上半期版
2026年8月31日 07:00
ESETは8月27日、2025年12月~2026年5月のサイバー脅威動向をまとめた「ESET脅威レポート 2026年上半期版」を公開した。同社のページでPDF版が公開されている。
同レポートは、ESETテレメトリデータおよびESET脅威検出・研究チームの専門家の分析に基づき、世界および日本における最新のサイバー脅威の傾向をまとめたもの。今回のレポートのポイントとなる4点を、順に紹介する。
悪意あるAIエージェントのスキルを3000超確認
タスクを自律的に実行するAIエージェントが普及している中で、タスクを実行する手順やスクリプトなどをまとめた「AIスキル」に関して、不審または悪意のあるものが配布される事例が確認されている。同社が主要リポジトリのAIスキル約90万を分析したところ、約2万5000が不審、3000超が悪意あるものと判明したという。
こうした悪意あるAIスキルでは、データ流出やマルウェア実行のほか、挙動を変化させる可能性のある自己改変型スキルや決済権限を悪用する事例も確認されているという。
被害を防ぐためには、AIモデルや追加スキルの開発元やデータ処理手順を把握し、技術とルールの両面で適切なAIガバナンス体制を整備するとともに、AIに提供する情報やアウトプットの評価を行うことが重要だとしている。
QRコードを悪用したフィッシングが過去最高の検出数を記録
QRコードに悪意あるURLを埋め込むフィッシング攻撃「クイッシング」が世界的に増加している。同社の調査によると、2026年上半期に検出されたフィッシングメールの約11%がクイッシングで、2026年4月をピークに月平均10万件を検出しているという。
メールの内容は給与明細や福利厚生案内など、社内通知を装う手口が目立つという。同社は、クリック前に表示先のURLを確認するとともに、万が一不正サイトなどに遷移した場合に検出するセキュリティ対策ソリューションの導入を推奨している。
「ClickFix」の検出数が大幅増、日本が主なターゲットに
偽のエラー画面や画面トラブル、CAPTCHA画面を装い、利用者に自ら悪意あるコマンドを実行させる「ClickFix」の検出数が前期比で108%増加した。国別検出数では日本が全体の14%を占めて世界最多だという。
悪意あるコマンドを実行することで、パスワードや多要素認証をすり抜けてアカウントを乗っ取られる危険性がある。偽の警告や指示に従って不用意にコマンドをコピー&ペーストしないよう、社内への周知徹底と継続的なセキュリティ教育を実施することが重要だとしている。
また、人気AIサービスの正規ドメインを悪用した「AI-fix」や、認証トークンを盗み出す「ConsentFix」などの手口も確認されているという。
実行時に生成AIを利用する初のAndroidマルウェア「PromptSpy」
同社は、マルウェアの実行フローにおいて生成AIを能動的に呼び出し、端末環境に応じて動的に動作を変化させるAndroid向けマルウェア「PromptSpy」を発見した。PromptSpyでは、実行時にGoogleの生成AI「Gemini」へ画面の構成情報を送信し、返答された指示に基づいて画面操作を実行しているという。
こうした動作が動的に変化するマルウェアは、従来型のセキュリティ対策ソリューションの検出ルールを突破しやすいという。公式ストア以外からのアプリインストールを避け、アプリ起動時の権限設定を厳格に管理するとともに、モバイル端末向けのセキュリティ対策ソリューションを導入することを推奨している。
全体の動向を通じて、日本企業が生成AIの活用やデジタル化(DX)を急速に進める中で、サイバー攻撃者がAIエージェントのような技術への「信頼」や、QRコードによるアクセスやCAPTCHA画面といった日常的な操作への「慣れ」を悪用している実態が明らかになったと、同社では分析している。
このほか、同レポートでは、ランサムウェアの身代金支払い率が低下する一方での攻撃増加、防御ソフトを無効化する「EDRキラー」の悪用継続、犯罪グループ間の対立激化などの動向についても詳しく解説している。


