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LINEヤフー、AIエージェントを「10倍量産」へ。新たなプロトタイプの体験会を実施

体験会で説明するLINEヤフー株式会社 葭沢光伸氏(上級執行役員 AI Agent統括SBUリード。写真左)と、LINEヤフー株式会社 慎ジュンホ氏(CPO。写真右)

 LINEヤフー株式会社は8月28日、同社のAIエージェント「Agent i」(エージェント アイ)のプロトタイプの体験会を実施した。その場で、慎ジュンホCPO(Chief Product Officer)は、9月1日より「AIエージェント10倍の量産体制を構築する」と発表した。

 Agent iは、同社が2026年4月に立ち上げたAIエージェントのブランド。LINEの「LINE AI」とYahoo! JAPANの「AIアシスタント」を統合したもので、ユーザーのさまざまなニーズに応える特化型AIエージェントを「領域エージェント」と呼んでおり、「Agent i」が多数の領域エージェントを束ねる。

 6月には、Agent iの機能拡充に向けた各領域の開発のため「AI Agent Prototyping タスクフォース」を拡大することを発表しており、今回の体験会では、新たに8つの領域エージェントのプロトタイプが公開された。

 体験会の冒頭、葭沢光伸氏(上級執行役員 AI Agent統括SBUリード)がAgent iのサービスとこれまでの実績、今後のサービスの見通しを発表した。Agent iは、1996年のYahoo! JAPAN立ち上げからの30年間で培ったデータアセットを活用し、多様な領域の、確度の高い情報を提供するとアピール。4月の立ち上げ時点では7つだった領域エージェントが、8月の時点では27領域まで拡大し、1200万DAU(Daily Active User)を獲得しているとした。

 また、10月までに累計40まで領域エージェントを拡大し、「Agent i」単独アプリもリリース、会話の中で提案された内容を記憶して継続して結果を受け取れる、AIエージェントとしての機能性をより高める「タスク」機能を本格的に拡充させるなど、今後の予定も発表した。

Agent iではLINEヤフーが30年間培ってきたデータアセットを活用
8月時点で27の領域エージェント、1200万DAU
10月には累計40の領域エージェントまで拡大し、単独アプリのリリースも予定

 続いて慎ジュンホ氏が、これまでのAI駆動型開発の取り組みを説明し、開発スピードが2倍になったとアピールした。同氏は、9月1日よりAI Agent Prototyping タスクフォースのリーダーになり、AIエージェント10倍の量産体制の構築、および開発を推進する。

AI駆動型開発により開発スピードが2倍に
チームは少数精鋭型に
プロトタイプまでの工程が大幅に短縮され、レビュー・フィードバックを高速で繰り返し、リリースに至ることができるようになった
9月1日より慎ジュンホ氏がTF(タスクフォース長)に就任する

名前の印象以上に「よく働く」AIエージェントたち

 体験会で公開されたプロトタイプは「カレンダー」「トーク/アルバム動画」「ペットライフ」「スクショ管理」「目覚まし」「情報自動追跡」「ショート動画作成」「WEB操作ガイド」の8種類。いずれも分かりやすい名前で、機能もなんとなく想像できるだろう。

公開された8つのプロトタイプ

 例えば「カレンダー」は、「スマートフォン内にある、日程が記載されたポスターや予約画面のスクリーンショットなどの画像をAIが自動解析し、未登録の予定を検出して登録の提案をします。手入力の手間を減らし、予定管理をスマートに実行します」と説明されている。

 別に今でもスケジュール管理に困っていないし……と思う人も多いだろうし、現状はAI自身が「目」を持たないため、ユーザーがまめに写真を撮らないといけないのは面倒にも思える。しかし、実際に体験してみると、印象が変わる。

 とりあえずまめに写真を撮ってさえいれば、通院などの大事な予定から、ちょっとしたイベントや近所の店のセールまで、さまざまな予定の存在を提案してくれるのは、日常への解像度が上がり、今までなら忘れてそのままにしていたイベントに関心が向くなど、ライフスタイルに変化を起こすきっかけにもなりそうだ。

「カレンダー」のプロトタイプ。撮っていた写真から予定を提案し、ユーザーが実際に予定としてカレンダーに登録するかどうか判断できる。その場で予定の詳細に関してAIと相談もできる

 現状、エージェントの名前はサービスの領域そのままのものが多く、よく言えば分かりやすくて、悪く言えば平凡だ。名前を聞いて何となく、まあこんな感じでしょう、と機能も想像できてしまう。だが、実際に触ってみると、機能としては想像通りであっても、「思ったよりいい、よく働いてくれる」感じがある。

 AIエージェントの力により、思った以上に楽ができる、もしくは、細かいケアを受けられるとは、ユーザーの生活に新たな変化をもたらすかもしれない。

 もう1つエージェントの例を挙げよう。「WEB操作ガイド」は、ウェブブラウザーの拡張機能として動作し、表示中のウェブページで「やりたいこと」を入力することで、その操作を案内する。一般的なウェブページだけではなく、SaaS型サービスの画面でも動作し、例えばスプレッドシートのサービス上で操作を補助することも、ある程度可能だという。

表示中の「WEB操作ガイド」。デモでは、LINEヤフーのコーポレートサイトから媒体資料のPDFを探し、ダウンロードするまでの操作をガイドしていた

 プロトタイプの説明をしていた開発スタッフに、慎ジュンホ氏が言っていた「開発スピード2倍」のインパクトについてたずねると、「(構想からプロトタイピングまでが高速化されるため)頭の中にあるイメージを、これまでの2倍形にできる」感触だという。

 Agent iに実際に触れてみると、AIがただツールとして行動を補助するだけでなく、AIの存在によってこれまでの生活に新しい視点がもたらされる、のではないかという感触がある。PCもスマートフォンも普及して久しく、利用スタイルが固まっている人も多いだろうが、新しい使用法を発見するきっかけにもなるかもしれない。

 全ての人が全ての領域でそのような経験ができるわけではないだろうが、Agent iは領域エージェントの数の多さを押し、今回は10倍量産による、さらなるカバー領域拡大の加速を打ち上げてきた。現在公開されているエージェントから試してみると、どこかの領域に、新しい発見があるのではないだろうか。ちなみに、正式公開される領域エージェントには、何らかのひねりが効いた、またはインパクトのある名前が付けられる可能性もあるようだ。