NTTグループ再々編ではアクセス領域の完全分離を、KDDIが説明会


KDDI渉外・広報本部渉外部長の古賀靖広氏

 KDDIは15日、1999年7月のNTTグループ再編から10年が経過し、2010年にはNTTグループの再々編に向けた議論が行われることを控えて、KDDIがこの問題をどのように考えているのかについての説明会を開催した。

 KDDI渉外・広報本部渉外部長の古賀靖広氏は、1999年のNTT再編においては、NTTは加入者へのアクセスラインを持つNTT東西と、中継事業を行うNTTコミュニケーションズの3社に分割され、KDDIなどの事業者は中継事業の領域で競争することを前提としていたと説明。これは電話時代のビジネスを前提とした分割だったが、その後のIP化の進展により中継領域の存在意義が失われ、競争の舞台はFTTHなどのアクセス領域に移っていったとした。

 アクセス領域については、NTTも2000年には電話線(ドライカッパ)を競争事業者に開放し、各社がADSLサービスを展開した。この時点ではNTTグループのシェアはそれほど高くなかったが、その後のFTTHサービスでは状況が一変し、NTTグループのシェアは年々高まっている状況にあると説明した。

 古賀氏は、通信大手3社の売上高ベースでの割合を示し、移動通信の分野ではNTTドコモが50.4%、KDDIが31.0%、ソフトバンクが18.6%で、NTTグループが半分を占めてはいるがきちんと競争が行われていると説明。一方、固定通信の分野ではNTTグループが77.8%を占め、契約数ベースではNTTのシェアは85.1%に上るなど、競争が十分に進んでいるとは言えないとした。

 FTTHでNTTグループのシェアが高まっている理由について古賀氏は、競争事業者がアクセスラインの光ファイバを8分岐単位でしか借りられないため事業が展開しにくい点や、電話線と異なって屋内配線を再利用できない点、NTTは既存の電話回線からひかり電話への移行という形でサービスのアップグレードを促せる点などを指摘。既存電話回線の顧客基盤をメリットに、むしろNTTグループへの独占回帰が進んでしまっているとした。

 古賀氏は、1999年の再編に先立って1996年に出された電気通信審議会の答申では、NTTグループは資本分離を前提とした再編成を前提としていたが、実際には持株会社を中心とするグループ一体経営になってしまったと説明。さらに、地域会社(NTT東西)はNGNにより事業領域を拡大しようとしており、このままではNTTグループによる独占がさらに進み、競争が行われなくなることから、中長期的にはユーザーの利便を損なう恐れがあると指摘した。

 KDDIとしては、公正競争を確保するために、アクセス領域とその上で展開されるサービス領域を分離することが必要と考えていると説明。現在のNTTグループでも会計上では分離されているが、経営としては一体で行われており、より踏み込んだ形での機能分離や会社分離などの措置が必要だとした。また、2010年のNTTグループ再々編の議論に向けては、NTTからも考え方を示し、その考えについて国民に意見を求めるべきだと訴えた。

通信3社のシェアアクセス事業の分離が必要と説明

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(三柳 英樹)

2009/6/15 17:48