ミクシィ決算、モバイル広告やタイアップ広告が好調


ミクシィの笠原健治代表取締役社長

 ミクシィは31日、2009年度第1四半期(2009年4月~6月)の連結決算を発表した。同社の笠原健治代表取締役社長が業績や今後の展開などについて説明を行った。

 第1四半期の実績は、売上高が30億5900万円、営業利益が8億6700万円、経常利益が8億7300万円、四半期純利益が4億6000万円だった。なお、2008年第3四半期より四半期連結財務諸表を作成しているため、2008年度第1四半期の数値は、今回の決算短信には記載されていない。

 事業別では、SNS「mixi」の売上高が29億2800万円で、このうち広告売上が26億9400万円、課金売上が2億3300万円だった。広告売上では、モバイル広告やタイアップ広告が好調に推移。課金売上では、ミクシィ年賀状の影響により2008年度第4四半期に比べ減少したが、モバイルコンテンツ課金ユーザーは増加した。また、インターネット求人事業「Find Job!」の売上高は1億3000万円で、引き続き減少傾向としながらも、月次では下げ止まりの兆しが見られ始めているという。

mixiアプリでコミュニケーションの多様化を図る

 笠原社長は、第1四半期のハイライトとして、mixiファンド第1弾で、ソーシャルアプリを開発する株式会社コミュニティファクトリーへ出資したことや、西日本の広告営業拠点として大阪営業所を設立したこと、ミクシィ年賀状が海外の広告賞を受賞したことを挙げた。

 SNS「mixi」の動向については、6月30日現在のユーザー数が約1741万人、月間PV数はPC向けが約40億7000万PV、携帯電話向けが約109億9000万PVだった。月間滞在時間は約2時間40分(PCのみ)。ユーザー属性は、年代別では20代前半が70%を占めるほか、地域別では首都圏が42.9%。「地方や30代以上には普及の余地がある」とした。

 mixiのサービス方針については、「コミュニケーションの多様化」「ソーシャルグラフ活性化」を「mixiアプリ」で実現すると説明した。「mixiアプリでは、マイミク関係での公開・共有・共感などを生かしたソーシャルアプリが中心になる。マイミクを巻き込んでヒットする要素を持つ」。また、「ソーシャルアプリの登場により、これまで日記中心だったコミュニケーションがより多様化していく」と述べた。

mixiユーザー数、PV数の推移地域、性別、年齢別のユーザー属性

登録制導入はソーシャルグラフを活性化してから

 広告については、「PCのみに出稿していた広告主がモバイルに出稿し始めたり、PC・モバイルの両媒体へ出稿するケースが増加している」とし、モバイル広告の売上が全広告売上の約60%を占めるようになったと説明した。

 また、「mixiをマーケティングツールとして活用し、口コミの自然発生を誘発するようなタイアップ広告が成長している」としたほか、ユーザー属性やサービスの利用にマッチした新しいターゲティング広告の開発も実施。参加コミュニティに応じたターゲティング広告やリターゲティング広告を紹介した。

 8月18日から実施する、携帯電話事業者のフィルタリングサービスを利用したユーザー確認についても説明した。自己申告ではなく、システム的に年齢確認を行うことで、「会員登録時に年齢を偽っていても、より高い精度で18歳未満の判別が可能になる」とのこと。18歳未満のユーザーについては、コミュニティ利用やユーザー検索など、一部機能を制限する。

 このほか、mixiの「登録制」導入については、予定通り2009年下半期に実施する。具体的な時期について明言は避けたが、「mixiアプリが一段落し、ソーシャルグラフを活性化してからになる。マイミク0人で入会しても、知人・友人とスムーズにつながれる仕組みが必要になる。それらが出揃ってから、登録制を導入する」と述べた。さらに、登録制導入の後、mixi自体のPRのため、3億円の広告費を投じることも明らかにした。地方ユーザーの獲得や“mixi離れ”をしたユーザーの引き戻しを狙うという。

mixiアプリによってソーシャルグラフを活性化コミュニケーションの多様化とソーシャルグラフの活性化で次のステージへ

 


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(野津 誠)

2009/7/31 19:28