「Office 2010」のPC版とWeb版は「互いを補完するもの」、MS横井氏


マイクロソフトの横井伸好氏

 マイクロソフトは30日、次期オフィススイート「Office 2010」に関する記者説明会を開催した。「Office 2010」は、11月19日に日本語ベータ版が一般公開され、2010年前半の正式版出荷に向けて開発が進められている。

 マイクロソフトの横井伸好氏(インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長)は、「Office 2010は、PC、携帯電話、ブラウザの3スクリーンから利用でき、最高の操作性と生産性をもたらす」と説明。世界5億人のOfficeユーザーから寄せられるフィードバックや操作履歴データの分析に基づいて、操作性やパフォーマンスを向上させたとした。

 操作性の向上の例としては、「コピー&ペースト」はユーザーが行う操作の2割以上を占めているが、「その後にユーザーが何をしているかというと、アンドゥを行う確率が非常に高い。これはつまり、ユーザーが思った通りのペーストができていないということ」だとして、ユーザーが目的通りのペーストを迷わず実行できるためにはどのようなメニュー構成にすればいいかといったことを研究したと語った。

5億人のOfficeユーザーからのフィードバックにより操作性やパフォーマンスを向上ペースト(貼り付け)のメニュー。どのような書式で貼り付けるかを選択できる

 また、Office 2010では、Webブラウザから利用できる「Office Web Apps」も提供され、Windows Live IDにより無償で利用できる。また、Windows Mobile端末向けの「Office Mobile 2010」も提供される。同じファイルをPC上のクライアント、Webアプリ、携帯端末から操作できるようになることで、さらに生産性が向上するとした。

 Web版が無償で利用できるのであれば、PC用のクライアントは必要無いのではという疑問に対して、横井氏は「Web版があればリッチクライアントはいらなくなるというものではなく、互いに補完しあうもの」と説明する。各クライアントは、オフィス、出先、自宅といった利用シーンやニーズによって使い分けられるようにするもので、どのクライアントも他のクライアントを代替するものではなく、また、Web版はクライアント版の機能制限版という位置付けではなく、用途に適した機能を搭載する予定だとした。

 Office 2010の製品ラインナップは、パッケージ版が「Professional」「Home & Business」「Personal」の3製品、ボリュームライセンス版が「Professional Plus」「Standard」の2製品。Office 2007では、パッケージ版が4製品、ボリュームライセンス版が3製品に分かれていたが、Office 2010ではパッケージ版は個人から中小企業まで、ボリュームライセンス版は企業および団体を対象と位置付けることで、製品構成を単純化した。

 パッケージ版は、最小構成の「Personal」にはWord、Excel、Outlookが含まれる。「Home & Business」にはさらにPowerPointとOneNoteが含まれ、「Professional」にはさらにPublisherとAccessが含まれる。価格などは現時点では未定。

Web版のWordOffice 2010の製品構成

 Office 2010は、11月19日から日本語ベータ版の提供を開始している。横井氏は、「ベータ版の完成度は高く、従来であればRTM(リリース版)の直前ぐらいの完成度のものをベータとして提供している」と語る。

 ベータ版では、32bit版クライアントに加えて64bit版クライアントも提供。また、仮想化技術を利用したソフトウェアダウンロードおよびインストールの新しい仕組みとして「Click to Run」技術を採用。インターネットからPCにデータをストリーミングおよびキャッシュしながら、ダウンロード完了を待たずにOfficeを使い始めることが可能で、横井氏が自宅で試した際には「3分でOfficeが使えるようになった」と説明。Windows Live IDにより誰でも無償でダウンロードができるため、多くの人にOffice 2010を評価してもらいたいとした。

日本語ベータ版の提供が11月19日から開始されているベータ版の配布には、すぐにソフトが利用できる「Click to Run」技術を採用している

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(三柳 英樹)

2009/11/30 17:04