独Aviraの無料ウイルス対策ソフトが日本語化、日本法人も設立


独Aviraのチャーク・アウアー・バッハ創業者兼CEO
独Aviraのシュテファイン・シッファートCTO

 ドイツのセキュリティベンダーAvira GmbHは1日、個人向けセキュリティ対策ソフト「Avira」シリーズの日本語版を提供開始した。無償の「Avira AntiVir Personal Free Antivirus」ほか、有償の「Avira AntiVir Premium」「Avira Premium Security Suite」の3製品を用意する。対応OSは、Windows 7/Vista/XP/2000。

 有償製品の価格は、「Avira AntiVir Premium」がPC1台1年間ライセンスで3500円、PC3台1年間ライセンスで7000円。「Avira Premium Security Suite」がPC1台1年間ライセンスで5000円、PC3台1年間ライセンスで9000円。また、各製品ともに2年間・3年間ライセンスも用意する。

 「Avira AntiVir Personal Free Antivirus」では、ウイルス対策、アドウェア/スパイウェア対策、ルートキット対策などの機能を備える。「Avira Premium Security Suite」は、無料版の機能に加え、フィッシング対策機能、CDブートでのマルウェア駆除機能などを備える。「Avira Premium Security Suite」ではさらに、迷惑メール対策機能、ファイアーウォール機能、バックアップ機能、ペアレンタルコントロール機能、ゲームモードを備える。

 1日に行われた記者発表会において、独Aviraのシュテファイン・シッファートCTOは、ウイルス検出エンジンを自社開発するとこで、ユーザーの要望に柔軟に対応できることや、第三者機関によるウイルス検出テストでの受賞歴を紹介し、製品の性能をアピールした。定義ファイルの更新は1日に6~8回で、既知のマルウェアの99%を検出可能という。「ラボには毎日4万件の新種が報告される。すべてを解析し、最新のパターンを提供するほか、ヒューリステックによる検出も行う」とした。

 今回、日本語版で提供されるのは、Aviraのバージョン「9」となる。新機能としては、前バージョン「8」からスキャン速度を20%アップさせたことや、ボタン1つでウイルス除去を実行できるクイックリムーバブル機能、ロックされたファイルのチェック機能、セルフディフェンスなどを挙げた。「マルウェアはPCに入るとウイルス対策ソフトを探して機能を停止させようとする。そこで、ウイルス対策ソフトを守るためのシールドとしてセルフディフェンスを開発した。これによりマルウェアからの攻撃を守る」とのことだ。


スキャン実行画面定義ファイルアップデート画面

日本のユーザー、英語版ですでに75万人

 独Aviraの創業者であるチャーク・アウアー・バッハCEOは、同社の概要をはじめ、日本市場での展開について説明した。「Aviraは、1986年に2人で創業した。現在は7カ国に330人以上のスタッフがいる。ユーザー数は世界1億人以上」。

 Aviraのビジネス戦略としては、基本的なセキュリティ対策を無償版で提供し、さらにセキュリティを強化したいユーザーには有償版を購入してもらう。ユーザー増加率は月間250万人。ドイツでのシェアは60%以上に上る。

 なお、Avira全ユーザーのうち90%以上は無償版を使っているという。「無償版ユーザーが数多くいるため、新種のウイルスを速く発見し、製品に反映できる」ほか、無償版でブランドの認知を図ることも可能だと説明した。

 日本においては従来から英語版を利用できた。「その段階ですでに75万人のユーザー(無償版・有償版)がいる。日本語化の要望が多かったことを受けて、今回、日本語版をリリースした。これによりさらにユーザーが増えるだろう」。

 日本法人「株式会社アビラ」は11月9日に設立した。アジアでは、マレーシアや香港に次いで3番目の現地法人になる。日本市場での展開については、まず個人向けのAviraシリーズで日本語版を提供し、ユーザーサポートを拡充させる。日本での認知度が上がれば、法人向け製品も投入する考えだ。

 なお、日本語版はダウンロード販売のみ。パッケージ販売については、日本市場の動向を見て判断するとのこと。また、日本語版リリース記念として、12月7日までに有償版「Avira AntiVir Premium」「Avira Premium Security Suite」の1年間ライセンスを購入したユーザーには、追加ライセンス1年をプレゼントする。

 このほか、アジア地域での展開については、今後、中国に現地法人を開設するほか、アジアにウイルスラボも設置する。加えて、アジアにおけるR&D拠点も設置したいと話した。さらに、グローバル展開では、「今後数カ月で、主な製品を11言語に対応させる」とコメント。「世界中のすべてのPCにAviraがインストールされることを目指す」とした。


製品ラインナップ検出率の比較バージョン「9」の概要




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(野津 誠)

2009/12/1 16:05