「他の動画サービスは意識していない」ドワンゴがニコ動事業説明


ドワンゴ広報・IR室の小玉誠一室長(左)、ニワンゴの杉本誠司代表取締役(右)

 ドワンゴは4日、記者懇親会を開催し、同社広報・IR室の小玉誠一室長、ニワンゴの杉本誠司代表取締役があらためて「ニコニコ動画」事業について説明した。

 ドワンゴでは、モバイル事業、ゲーム事業、ポータル事業を展開しており、ニコニコ動画はポータル事業に属する。ドワンゴの従業員数(子会社含む)は780人になるが、ドワンゴでニコニコ動画の事業を担当する社員は80人ほどだという。

 杉本氏は、ニコニコ動画の概要を説明した上で、「他の動画投稿・共有サービスは意識していない。目指すところはYouTubeやGyaOとは違う」と話す。「動画という共通項でコミュニケーションするサービス。動画を軸にしたコミュニティの多様化を目指している」。

 収益については、小玉氏が「すでに発表している2010年9月までの計画では、4~6月期で黒字化する考え」と説明。プレミアム(有料)会員数が大きく伸びると見ているほか、「広告商品の強化も図り、媒体価値を高めていく」とした。ただし、IT業界は長期的な先読みが難しいことから、「直近3カ月のシナリオを立てて、実行している」とのこと。「結果的に当初の計画とは異なることもある」。

 著作権については、「基本的には、プロバイダ責任制限法を守る。違法な動画があれば対処するスタンス」。ニコニコ動画では、ライツコントロールプログラムにより、フィンガープリント技術で違法動画を自動で発見する。著作権侵害の動画があった場合は、コンテンツホルダーに報告するが、「動画の公開停止よりはトラッキングやマネタイズでの利用が多い」という。なお、権利処理にかかるコスト(JASRACなどに支払う著作権使用料)は「年間数百万円」とのこと。

 このほか、2009年は「ニコニコ生放送」にも注力した。ニコニコ動画運営が行う公式生放送は、ニコニコ生放送サービス開始から累計450回になるが、そのうち2009年だけで300回行った。生放送では、同時視聴者数に制限を設け、プレミアム会員の視聴を優先している。そのため、生放送の強化はプレミアム会員の増加につながるという。また、ユーザー生放送によって、人気ユーザーにはファンが付く傾向にあり、それがコミュニティサービスとしてのニコニコ動画を強化することにもなると説明した。

ドワンゴの売上高と経常利益の推移。2005年から2006年にかけて経常利益が減少。着うたなどの広告宣伝費(40億円)が影響ニコニコ動画の10月末時点の会員数。最近の状況としては、女性ユーザーが以前よりも少し増えたという


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(野津 誠)

2009/12/4 19:52