シマンテック、「ノートン2011」に搭載予定の新機能を説明


シマンテックの風間彩氏

 株式会社シマンテックは29日、セキュリティ対策製品「ノートン インターネットセキュリティ」「ノートン アンチウイルス」の2011年度版製品(ノートン2011)について、搭載を予定している主な機能についての説明会を開催した。

 シマンテックでは現在、ノートン2011のパブリックベータ版を公開しており、日本語版も同社のサイトから無料でダウンロードできる。

 シマンテックのコンシューマ事業部門リージョナルプロダクトマーケティングシニアマネージャを務める風間彩氏は、ノートン2011では、ノートン2010に搭載した「レピュテーション技術」をさらに強化していくと説明。レピュテーション技術は、ノートンのユーザーから送信される情報を元にファイルやウェブサイトの安全性を評価するもの。

 ノートン2011では、レピュテーション技術によるダウンロードファイルのチェック機能「ダウンロードインサイト」の範囲を拡大。ノートン2010ではInternet ExplorerとFirefoxのみに対応していたが、ノートン2011ではSafariやGoogle Chromeなど他のブラウザーや、各種メッセンジャーソフトなどダウンロード機能を有するソフトに対応する。

 また、ユーザーがアクセスするウェブサイトについても、レピュテーションを活用する「セーフウェブ」機能を強化。検索結果ページにリンク先サイトの信頼性をアイコン表示するなど、ユーザーがサイトの危険性を把握できるようになる。

 ノートン2011の管理コンソールでは、用語や見出しの統一を図ったほか、画面下部に世界地図を表示し、世界各地でどのような脅威が発生しているかを見られるようになる。また、新機能としては、CPU使用率などPCのリソースに大きな変化があった場合に警告する「プロアクティブなパフォーマンス告知機能」を搭載する。

IEやFirefox以外の各種ソフトに「ダウンロードインサイト」機能が対応管理コンソールには世界各地の脅威状況を表示する機能が追加

 マルウェアに感染してしまった場合の対応としては、CD-ROMなどから起動できるPC復旧ツール「ノートンブータブルリカバリツール」を機能強化。起動用メディアとしてUSBメモリーにも対応したほか、パフォーマンスの改善、起動時間の短縮などを図った。

 また、新たなマルウェア削除ツールとして「ノートンパワーイレイサー」を搭載。ノートンパワーイレイサーは、通常のウイルススキャンでは検出できないような、ゼロデイマルウェアや偽ウイルス対策ソフトの検出・削除に特化したツールで、このツールについてはノートンユーザー以外にも無償で提供する。

CPU使用率などPCのリソース状況変化を警告する機能を搭載「ワンクリックレスキュー」はUSBにも対応

PC以外の機器にも対応する「Norton Everywhere」構想、Android用アプリも公開

Dan Nadir氏

 プロダクトマネージメント部門ディレクターのDan Nadir氏は、ノートンのレピュテーション技術の現状を紹介。現時点で、ノートンのレピュテーション技術は5600万ユーザーからの報告があり、1日あたりのレピュテーション調査件数は50億件、サイトの調査件数は21億件に上るという。

 最近のセキュリティ動向としては、検索結果の上位ページにマルウェアのダウンロードサイトなどを表示させようとする「SEOポイズニング攻撃」が激しくなっているとして、よく使われる検索語句300件について調査を行ったところ、300件中115件の検索結果に10%以上の悪意のあるリンクが含まれていたという独自の調査結果を紹介。次々と現れるこうしたサイトへの対処には、レピュテーション技術の利用が欠かせないとした。

 また、SNSを悪用する攻撃も増えているとして、Facebook向けに開発したアプリケーション「ノートンセーフウェブ for Facebook」を紹介。Facebookで友人などから送られてきたリンクの安全性をするアプリケーションで、通常のURLだけでなく短縮URLにも対応。友人に対して危険なリンクであることを通知する機能なども備えており、今後は他のSNSに対してもこうしたアプリケーションを提供していきたいとした。

1日に50億件のファイル、21億件のサイトをレピュテーションで調査Facebook向けにアプリケーションを提供

 Nadir氏は、さらにPC以外のデバイスに対してもセキュリティ対策を提供していく「Norton Everywhere構想」について説明。Android端末向けには「Norton Smartphone Security」のベータ版を既に公開しており、現時点では英語版のみだが、日本からもAndroid Marketを通じてダウンロードできる。

 「Norton Smartphone Security」には、マルウェア対策機能が備わっているが、現時点でAndroidを対象としたマルウェアは、一部のスパイウェアを除けばコンセプト実証の段階で、現実の脅威にはなっていないという。現在のユーザーにとっての脅威は、端末を紛失したり盗まれたりした場合のデータ漏えいが中心で、そのためにNorton Smartphone Securityには、ショートメッセージを送ることで端末ロックやデータ消去を行う機能が盛り込まれており、ユーザーにもこの機能が最も支持されているとした。

 Nadir氏は、「今後は脅威が現実のものになる可能性があり、実際にマルウェアが流行してから対策アプリを配布したのでは遅すぎる」として、こうしたアプリを事前に多くのユーザーに使ってもらうことが有効だと説明。Norton Smartphone Securityに対しては、通信キャリアなどからも多くの問い合わせを受けており、日本語版についても対応を進めていきたいとした。

 また、PC以外の機器に向けたセキュリティ製品の開発・提供を行っている米Mocanaとの提携による「ノートンフォースマートデバイス」や、DNSによって危険なサイトへのアクセスをブロックする「ノートンDNS」を紹介。ノートンDNSは既にベータ版として一般にも公開されており、DNS設定を変更するだけで利用可能なため、家庭内のルーターの設定を変えるだけでゲーム機やiPadなどの端末からのウェブアクセスの保護に対応できるとした。

Android向けアプリはベータ版を公開中日本の端末(Xperia)で動作するデモも披露された

関連情報

(三柳 英樹)

2010/7/29 17:18