ニフティ、ソーシャルアプリの協業ベンダー募集、開発費の8割提供


 ニフティ株式会社は13日、パートナーベンダーと共同でソーシャルアプリを開発・運用する制度「ソーシャルアプリ・アライアンスプログラム(SAAP)」を開始すると発表した。10月15日まで1回目のパートナー募集を行い、2010年度に10社以上との協業を目指す。

 SAAPでは、ニフティがインフラやサポート体制などを提供し、パートナーベンダーがソーシャルアプリの開発や運営に集中できる環境を構築する。対象となるソーシャルアプリはゲームに限定せず、また、デバイスも携帯電話、PC、スマートフォンを問わない。モバゲータウン、mixi、GREEなどのオープンプラットフォームのほか、ニフティの自社メディアでもアプリ提供が可能だ。


SAAPの考え方SAAPの概要

 ニフティの棟近直広氏(サービスビジネス事業本部モバイルビジネス部部長)によると、SAAPの特徴は4点あるという。

 まず1点目は、開発コストと利益のシェア構造。初期開発コストはニフティが8割を負担。運用開始後は、プラットフォーム手数料および課金手数料を差し引いた売り上げについて、ニフティが8割、ベンダーが2割の比率で分配する。ただし、開発したアプリの売り上げが増加し、ニフティが負担した初期開発コストを回収できた後は、ニフティの取り分を5割に引き下げるかたちになる。

 2点目はインフラ面で、ニフティクラウドのベースになっているサーバーやネットワークなどが、24時間365日の監視体制付きで提供される。また、アプリ公開当初に予想されるトラフィック集中なども想定し、ニフティが動作チェックや負荷テストを行う。

 3点目は、ベンダーにかかる運用負担を軽減できること。ユーザーサポートの受付・返信窓口はニフティが担当し、問題があればベンダー側に連絡するかたちとなる。各プラットフォームとの契約・手続きもニフティで担当する。

 4点目は、集客やプロモーション展開による利益最大化施策だ。複数のアプリ同士の相互送客を行うほか、収益性が高いアプリについては、ニフティの全額負担によりプラットフォームにバナー広告などを出稿する。


SAAPの特徴1SAAPの特徴2
SAAPの特徴3SAAPの特徴4

 9月13日から10月15日まで実施する第1回募集では、まずはソーシャルアプリの実績がある法人に限定。9月21日には、ニフティ本社(東京都品川区)において、ベンダー向けの説明会を開催する。審査を通過した5社以上を正式プロジェクト化し、12月中にはSAAPによる第1弾アプリを公開したい考えだ。

 ソーシャルアプリの開発費は、1タイトルあたり数百万円から1000万円程度、開発期間は2カ月から長くても3カ月程度という。SAAPによるニフティの売り上げは、2011年度に10億円規模を想定。次回以降のパートナー募集は、第1回の応募状況を見ながら検討する。


ニフティの棟近直広氏(サービスビジネス事業本部モバイルビジネス部部長)ニフティの津田正利氏(サービス事業本部本部長)

 ニフティの津田正利氏(サービス事業本部本部長)は、ニフティがソーシャルアプリの開発・運営を共同で行うということから、インフラ部分が強みと思われがちだが、同社はパソコン通信時代から長年にわたってユーザーサポート業務やコンテンツ運用業務を手がけてきたことを説明。ソーシャルアプリでも、毎日継続される運用面でリソースやノウハウを提供できることが最大の強みだと強調した。

 なお、ニフティのソーシャルアプリの取り組みは、2009年度に自社メディア上で恐竜ハンティングゲーム「ディノゲット」を開始したのは始まり。その後、モバゲータウンでも提供を開始し、オープンプラットフォームへも進出した。

 また、2010年度からはベンダーとの提携により、カードバトル「ヴァンパイア戦記」、妖怪RPG「モノノケ侍」、セレブ育成ゲーム「ラクして☆セレブ」も展開している。

 これら3タイトルの実績やノウハウをもとに、今後伸びていくことが予想されるソーシャルアプリ市場への参入スピードを加速するために開始した制度が、SAAPだとしている。


各セグメントでのモバイル事業の展開状況ソーシャルアプリにおける提携事例




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(永沢 茂)

2010/9/13 17:05