Google AdWordsが10周年、世界最初の広告はロブスター通販業者
Googleが提供する検索連動型広告「Google AdWords」が、2000年10月に米国でサービスを開始してから10周年を迎えた。これを受けて日本法人のグーグル株式会社が7日、記者発表会を開催。米Google製品管理部門ディレクターのニック・フォックス氏、グーグル執行役員オンラインビジネスソリューション本部長の王子田克樹氏が、AdWordsの理念や歴史などを語った。
米Google製品管理部門ディレクターのニック・フォックス氏 | グーグル執行役員オンラインビジネスソリューション本部長の王子田克樹氏 |
フォックス氏は、AdWordsの理念として、1)広告は邪魔になるものでななく、有益なもの、2)あらゆる規模のビジネスに対応、3)価格はオークションによって決定、4)ユーザーの意見を広告に反映、5)実験、試験、調整、6)広告はウェブと共に進化――という6項目を紹介。
2)については、大企業だけでなく中小企業も同じ環境で対等に競争できる広告プラットフォームであることを説明し、米国でのサービス開始時、世界で初めてAdWords広告を出稿したのが、米国東海岸のロブスター通販業者だったことを紹介した。AdWordsの広告主は2009年に100万社を突破したが、当時は果たしてこのような仕組みの広告が利用されるのかどうか模索しながらのスタートだったという。しかし、Googleが広告募集のリンクを掲載してからわずか数分後に、このロブスター通販業者が出稿してきたという。
AdWordsの歩み | AdWordsの理念1 |
AdWordsの理念2 | AdWordsの理念3 |
また、4)については、例えばユーザーが「デジカメ」で検索したら、きちんとデジカメに関連する広告を表示するよう、「広告ランク」を導入しているという。単にキーワードに設定した「上限クリック単価」が最も高い広告主の広告が優先されるのではなく、実際にユーザーが広告をクリックした回数に応じた「品質スコア」という仕組みを導入しており、上限クリック単価と品質スコアを組み合わせて広告ランクを決定しているとした。「品質スコアは、Googleが決めているわけではなく、ある意味、ユーザーが決めている」。
AdWordsの理念4 | 「広告ランク」の仕組み |
さらに5)の理念に掲げるように、常に実験や試験、調整を行っているとしており、AdWordsは10年前とかなり異なったものになったと語る。例えば、リンクの色は50回の実験を重ねた結果、現在のブルーに落ち着いた。また、検索結果ページの一番下にAdWords広告を表示するスタイルは、米国で実験した結果は芳しくなかったが、日本で実験したところ、ユーザーが好んでいることがわかったため、現在、日本でのみ導入していることを明らかにした。「検索は常に進化している。我々は、グローバルでも日本でも、より最適な広告を表示できるように革新を続けていく」。
AdWordsの理念5 | AdWordsの理念6 |
フォックス氏はまた、行動ターゲティングなどの方式と比較して、検索連動型に大きな強みがあると自信を示す。「検索キーワード以上に、ユーザーが何に興味を持っているのか示すものはないだろう。ユーザーのページ履歴やプロフィールは、ユーザーの興味を知る上で我々には必要ない。AdWordsが強力なのは、ユーザー自身が何の広告を見たいのか(検索キーワードによって)伝えてもらえるシステムである点だ」。
●日本最初のAdWords広告は、はんこ屋さん
日本法人のグーグルは2001年に設立、日本におけるAdWordsは2002年にサービスを開始したが、王子田氏は、日本の最初のAdWords広告がはんこ屋さんによるものだったことをあらためて紹介。当時、グーグルではどういう企業がAdWordsを使ってくれるのか、果たしてこれでビジネスになるのか疑問だったというが、はんこ屋さんが1社使い始めると、同業者が次々とAdWordsを使い出していった状況だったとを振り返った。
なお、日本におけるAdWordsの広告主の数は、2009年上期から2010年上期にかけて40%増加している。「大企業のお客様もいれば、そうでないところもいる」として、王子田氏は「そうでないところ」でのうまい活用事例を紹介した。
例えば、京都の老舗せんべい店では、「京都 せんべい 老舗」といったありがちなキーワードだけでなく、「お彼岸」「お供え」「年始挨拶」「新年 土産」など、せんべいが使われるシーズンや機会を想定したキーワードに対して出稿。しかも、表示する広告テキストや、ランディングページもそれぞれに対応したものを設定しているという。すべて同じ広告テキストを表示したり、一般的な販売ページに誘導するのでは、せっかく広告が表示されても「ビジネスが成立する可能性が低くなる」と指摘し、このせんべい店では「キーワードから始まるユーザー体験に断絶を生まない工夫がされている」と説明した。
王子田氏は、はんこ屋さん業界による活用によって産声を上げてからの8年間で、日本のAdWordsは力強く伸びているとし、「これらからも新しい環境の中で新しい機能を提供していき、より多くの企業のビジネスに貢献したい」と語った。
日本のAdWords広告第1号 | 京都の老舗せんべい店のAdWords活用事例 |
関連情報
(永沢 茂)
2010/10/7 15:18
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