「SugarSync」が日本版サービスを12月14日開始、日本円決済に対応


SugarSyncのファイルマネージャー

 米SugarSyncとBBソフトサービス株式会社(BBSS)は2日、共同で「SugarSync」の日本における正式サービスを12月14日に開始すると発表した。日本サイト「www.sugarsync.jp」を開設し、有料サービスの日本円での支払いに対応するとともに、日本語サポートを提供する。

 SugarSyncは、PCやスマートフォンなど複数の端末から利用できるオンラインストレージサービス。5GBまでは無料で利用でき、さらに容量が必要なユーザーは有料版サービスが利用できる。

 ウェブブラウザーからオンラインストレージ上のファイルが利用できるほか、PCにソフトをインストールすると、指定した任意のフォルダーをクラウド上のストレージと同期させることができ、複数の端末ごとにどのフォルダーを同期させるかといった管理も可能。また、他のSugarSyncユーザーとの間での同期機能も備える。

日本版SugarSyncの概要。日本円決済に対応キャンペーン期間は有料版が20%割引に

 SugarSyncでは、5月に日本語によるサービスを開始したが、BBSSとの提携により12月14日からは日本版正式サービスとして展開する。日本版サービスも、5GBまでは無料で利用でき、有料版は30GBが月額525円、60GBが月額1050円、100GBが月額1575円、250GBが2625円、500GBが月額4200円。年額払いの場合は月額料金の10倍となる。各プランとも申し込み月は無料。

 また、12月14日から2011年3月31日まではキャンペーン期間として、有料プランを全プラン20%割引で提供する。月額プランの場合は、申し込み翌月から12カ月間、20%割引の料金となる。

 BBSSは、SugarSyncの日本版サイトや課金、日本語によるサポートなどを担当するほか、日本のユーザーの窓口としてユーザーの声を集め、SugarSyncと連携してサービスやソフトの改善を図る。また、iPhone/iPad向けには日本語版アプリを公開しているが、12月14日にはAndroid向けアプリについても日本語版を公開の予定だとした。

SugarSyncのLaura Yecies CEO
BBSSの瀧進太郎取締役

 SugarSyncのCEOを務めるLaura Yecies氏は、SugarSyncのユーザーのうち15%が日本のユーザーで、日本のユーザーが世界平均に比べて2倍のペースで増加しているという現状を説明。「日本市場はパーソナルクラウドへの関心が高く、Twitterで『SugarSync』を検索すると、ほとんどが日本語のツイートということもある。このタイミングで日本でのサービスを開始できることを嬉しく思う」とコメントした。

 BBSSの瀧進太郎取締役は、世界のパーソナルクラウドサービスの中からSugarSyncと提携した理由としては、柔軟な同期ソリューションを備えている点が特に大きかった」と説明。日本のSugarSyncユーザーに行ったアンケートでは満足度が71%だったが、不満の29%としては「日本語が不自然」「日本円での決済」「日本語サポート」などの声が寄せられており、こうした要望を受けて日本版サービスを開始するとした。

 また、SugarSyncではAPIを利用して周辺サービスを開発できる点も提携に至った理由だとして、今後はBBSSやパートナー企業により、SugarSyncの周辺アプリ・サービスを拡充させていくとした。

 BBSSでは今後、既にSugarSyncの有料版を利用している日本のユーザーに対しても、日本版サービスへの移行を案内していく。ユーザーは、サービスの有効期限はそのままで日本版サービスに移行できるが、そのまま米国版のサービスを利用し続けることもできる。

全ユーザーの15%を日本のユーザーが占めるインターフェイスの改善なども進める
必要なフォルダーだけ同期できるなどの柔軟性が提携の決め手に日本語対応や日本円決済などがこれまでのユーザーの不満に

任意のフォルダーが同期できる、SugarSyncをぜひ試してほしい

SugarSyncのLaura Yecies CEO

 今回の発表に合わせて来日した、米SugarSyncのLaura Yecies CEOに話を伺った。

――なぜ日本でサービスを本格的に展開しようと思ったのでしょうか。

Yecies氏:昨年の夏から、友達を紹介するとストレージ容量が増えるキャンペーンを実施しました。その結果、非常に日本のユーザーが多いことがわかりましたので、日本向けの製品を展開していこうと判断しました。

――日本のユーザーは全体の15%ということですが、データ量やトラフィックについても同じような割合なのでしょうか。

Yecies氏:データをきちんと調べないとわかりませんが、おそらく同じくらいではないかと思います。ともあれ、インターネット全体の割合から見れば、15%が日本のユーザーというのは非常に多いのではないでしょうか。

――SugarSyncのサービスを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

Yecies氏:創立したメンバーにとっては、今のようにタブレット端末などが普及する前でしたが、ブロードバンドやネット環境、様々な端末が整っていく中で、今後ますますパーソナルクラウドサービスに対する需要が伸びるだろうと考えました。

――ところで、なぜ「SugarSync」という名前なのですか。

Yecies氏:「Sync」はもちろん同期、シンクロナイズで、これが我々のコアテクノロジーです。ではなぜ「Sugar」かと言うと、甘いとか、プレゼントとか、喜びであるとか、そういったいいイメージでのSugarとSyncを組み合わせました。また、ロゴにはハミングバード(ハチドリ)をあしらっていますが、これはハチドリが甘いものが好きだという点と、とても動きが速いことからロゴに使っています。

――11月には無料ユーザーの容量を2GBから5GBに拡大しましたが、2GBでは足りないと感じるユーザーが多かったのでしょうか。

Yecies氏:SugarSyncの大きな特徴は、任意のフォルダーを同期の対象にできるという点なので、いろいろなフォルダーを同期させようとするとすぐに容量が大きくなります。そういう意味で、SugarSyncの良さをユーザーにより理解してもらうためには、基本容量を拡大することが必要だと考えました。

――複数のフォルダーが登録でき、端末ごとに同期するフォルダーを選べるなど、SugarSyncはとても高機能ですが、逆にシンプルなサービスの方が簡単でいいというユーザーもいるのでは?

Yecies氏:我々も使いやすさについては考えていますが、一方でたとえばDropboxのような1つのフォルダーを同期するサービスでは、複数のフォルダーを同期したいというユーザーからのリクエストが多いと聞いています。いずれにしても、クライアントやサービスの使いやすさについては、我々も常に改善していきたいと思っています。

――ユーザーからのリクエストが多い機能にはどのようなものがありますか。

Yecies氏:USBメモリーなどのリムーバブルドライブ、ネットワークドライブ、PSTファイル(Outlookのデータファイル、現在は自動同期の対象外)への対応がトップ3でしょうか。これらについては高い優先度で対応を進めています。

――PC以外にも、iOSやAndroidなど様々なプラットフォームに対応していますが、さらに多くのプラットフォームに対応するのでしょうか。

Yecies氏:今後のコンセプトとしては、デジタルカメラであるとか、テレビのセットトップボックスであるとか、様々なプラットフォーム、デバイスでSugarSyncを使えるようにしていきたいと考えています。既にAPIは公開しているので、たとえばiPhoneのアプリからSugarSyncのファイルと連携できますし、他のソフトやデバイスからもSugarSyncをプラットフォームとして使ってもらえます。

瀧進太郎氏(BBソフトサービス):既に、製品と連携できないかという打診をメーカーからもいただいていて、非常に可能性を感じています。

――最後に日本の方へのメッセージを。

Yecies氏:やはり、まずはSugarSyncの無料プランに申し込んで使ってください、ぜひ友達にも紹介してください、というアピールになりますが。任意のフォルダーが同期でき、モバイルアプリも使いやすいといった、SugarSyncの良さを体験していただければと思います。

――ありがとうございました。


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(三柳 英樹)

2010/12/2 14:10