果物の表皮模様で個体を識別、産地偽装を防止~NECが写真照合技術を開発
日本電気株式会社(NEC)は7日、農作物の外観写真による個体識別技術を開発したと発表した。生産者が出荷時に撮影しておいた果物の表皮の画像と、実際の果物を照合することで、個体の判別ができる。食品トレーサビリティ技術への応用を検討しており、2~3年後の実用化を目指す。
新技術は、NECの指紋認証・顔認証技術を応用した農産物向け技術であることから「アグリバイオメトリクス」と呼称されている。果物の表皮の模様は、同一品種であっても個体ごとに違い、さらに栽培過程によって自然に生成されるため、偽装が困難。人間の指紋と同様の特性を持つため、個体判別の基準として利用できるという。
NECが行った実証実験では、約1800個のメロンを携帯電話内蔵カメラで撮影。偽物を本物と間違える確率は100万分の1、本物を偽物と間違える確率0.4%を達成したとしている。
食品・農産物の産地偽装を防ぐため、近年はバーコードや電子タグを用いて果物の個体情報を管理しているが、新技術を利用すればラベル貼付は不要。意図的なラベル付け替えのリスクを排除できるほか、DNA鑑定や元素分析よりも手軽に実施できるとみられる。
なおNECでは、新技術の概要を3月8~11日に東京ビッグサイトで開催される流通業者向け専門イベント「リテールテックJAPAN」で展示する。
関連情報
(森田 秀一)
2011/3/7 12:55
-ページの先頭へ-