ソニーとパナソニックが電子書籍を相互接続へ、紀伊國屋書店、楽天と合意


 ソニー株式会社、パナソニック株式会社、株式会社紀伊國屋書店、楽天株式会社の4社は13日、電子書籍の利便性向上に向けた共同の取り組みで合意したと発表した。「電子書籍端末や電子書籍ストアの垣根を越えた利用環境の実現を目指す」としている。今年後半より、各社がそれぞれ提供する電子書籍端末および電子書籍ストアサービスを相互接続する計画。

 4社では、電子書籍専用端末とそれに対応する電子書籍ストアサービスの縛りをなくすことで、ユーザーが多くの電子書籍ストアの取り扱いタイトルの中から、好きなタイトルを自由に選べる仕組みを整備。国内における電子書籍市場の拡大を狙う。

 具体的なプラットフォームやフォーマットなどの技術仕様は明らかにしていないが、複数の電子書籍ストアで購入したタイトルを、ユーザーが一元的に管理できる“本棚”のような仕組みを用意するという。DRM(デジタル著作権管理)技術やフォーマットの共通化について可能性を探るとともに、端末側のマルチフォーマット対応も推進する。また、電子書籍共通配信プラットフォームを手がける株式会社ブックリスタなどとの連携も視野に入れている。

 今回の発表では、パナソニックが名を連ねている点に注目される。同社はかつて「ΣBook(シグマブック)」という電子書籍専用端末を販売していたが、現在はこの市場から撤退している。今回、電子書籍端末メーカーとして賛同を表明したことで、具体的な製品や発売時期は未定だとしながらも、国内の電子書籍端末市場に再参入する方針を明示した。

 一方、2010年末に電子書籍端末「Reader」を国内発売したソニーも、過去には「リブリエ」という端末を国内販売したものの、やはり市場から撤退した経緯がある。当時は2社がそれぞれ独自方式で事業を展開しようとしたために、いずれも国内では市場を拡大できなかった。

 今回の取り組みが実現すれば、例えば、ソニーが運営するReader向けの電子書籍ストアである「Reader Store」で購入した電子書籍タイトルが、パナソニックの新しい電子書籍端末でも読めるようになるかもしれない。国内の電子書籍端末の老舗メーカー2社が一枚岩になれば、国内の電子書籍端末市場が発展する可能性もある。4社では今後、趣旨に賛同する他の企業とも話し合っていくとともに、出版社にも協力を呼びかけていく。

 このほか楽天では、時期は未定だが、電子書籍ストアを開設することを表明している。


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(永沢 茂)

2011/6/13 18:29