公衆無線LAN事業者による協議会設置などを提言、総務省無線LANビジネス研究会
無線LANビジネス研究会の第7回会合 |
スマートフォンの普及などに伴う公衆無線LANの利用増加を受けて、トラフィックやセキュリティなどの課題について議論を行ってきた総務省の「無線LANビジネス研究会」が10日、第7回の会合を開催した。今回の会合で報告書案が概ねまとまり、研究会は閉会。近日中に正式な報告書として公表される予定。
報告書案では、スマートフォンの通信トラフィックを無線LANなどに迂回させるオフロードの取り組みなど、公衆無線LANの利用は今後さらに増加すると予想されるが、人が多く集まる場所などでは電波干渉や輻輳などが発生している事例もあると指摘。また、公衆無線LANのセキュリティについて事業者の対応や利用者への周知は十分に進んでいないといった課題があるとして、こうした課題の解決に向けた考え方をまとめている。
移動通信トラフィックの今後の需要については、今後のスマートフォンの普及予測や、トラフィックの増加傾向、総務省が実施したスマートフォン利用者のモニター調査などから、2015年度の通信トラフィックは2010年度比で20.8倍(年平均1.84倍)から39.1倍(年平均2.08倍)に増大すると試算している。
こうしたトラフィックの増大に対応するための手段として、無線LANを活用したオフロードの取り組みは携帯電話事業者にとって有効と考えられるとして、モニター調査などからの試算では、2015年ごろまでには移動通信トラフィックの64%がオフロードされると推計。移動体通信に対する割り当て周波数の拡大や、LTEなどの普及も合わせれば、トラフィック需要の増大を収容できる可能性があるとしている。
一方で、こうしたオフロードの取り組みを積極的に推進する場合には、オフロードトラフィックの実態把握や、利用者への情報提供、利用者利便の確保、携帯電話事業者以外の事業に与える影響の検証などが必要だと指摘。また、無線LANを巡る課題について、事業者間で情報や意見の交換を行える自主的な協議会を設置し、取り組みを進めていくことが有益と考えられるとしている。
無線LANの電波干渉や輻輳の緩和に向けた対応としては、5GHz帯の利用を促進していくとともに、公衆無線LANのアクセスポイント設置についても協議会などを通じて共用アクセスポイントの設置などを進めていくことが有効だとしている。
また、公衆無線LANでは、より安全性の高い暗号化方式や適切な認証方式に対応することが望ましいとして、利用者にもどのようなセキュリティ対策を実施しているのかをわかりやすく周知する必要があると指摘。さらに、公衆無線LANを提供する事業者は通信の秘密保護についても適切に対応することが求められるとして、みだりに網羅的な情報収集や第三者提供をすべきではないことに十分配慮する必要があるとしている。
このほか報告書案では、災害時における公衆無線LANの活用に向けた取り組みや、無線LAN事業の円滑な実施のためのガイドラインの策定、公衆無線LANサービスに関する行政手続の明確化などを提言している。
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(三柳 英樹)
2012/7/10 15:41
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