ネットは敵ではない、テレビ局がYouTube独占動画を配信する狙い
グーグル株式会社は27日、動画共有サイト「YouTube」において、テレビ局や芸能プロダクションなどのパートナー企業が制作したオリジナル動画を配信するチャンネルを公開した。視聴は無料。
パートナー企業は、グーグルが将来の広告収入を見込んで付与する原資をもとにオリジナル動画を制作。定期的にYouTube独占配信の動画を公開していく。グーグルによれば、各社に支払う原資は「過去の実績や知見に基づいて」個別に契約を結んでいるという。
オリジナル動画の配信スケジュール | チャンネルの開設スケジュール |
テレビ局ではTBSテレビ、フジテレビ、テレビ朝日、芸能プロダクションではアップフロントワークスやサンミュージックプロダクション、ホリプロが参加。このほか、ニフティやクリプトン・フューチャー・メディア、電通など計13社が17チャンネルを順次開設する。
TBSが配信する「女子アナの罰」特別番組 | フジテレビが配信する「ヌメロン」特別番組 |
今後は初音ミク関連の番組も予定している | 電通は「日本のメジャーコンテンツの一つ」をテーマにしたチャンネルを開設する予定 |
●ネットの相乗効果でテレビ番組の視聴率が向上
深夜番組「女子アナの罰」の未公開動画を配信するTBSテレビは、チャンネル開設4週間で200万回再生を突破。同社テレビメディアビジネス局の杉田謙二氏は、ネット進出でテレビ視聴が減ることも懸念したというが、「相乗効果が出ている」と手応えを感じている。
バラエティ番組「ロンドンハーツ」の動画が1億回再生を記録したテレビ朝日。オリジナルチャンネルの内容は未定だが、同社コンテンツビジネス局の武井康仁氏は「地上波品質」の動画を配信することで、「ネット中心で生活している人」にも魅力を訴求したいという。
「ネットムービーが1億回再生を記録したロンドンハーツは視聴率も上昇しており、『ネットはテレビの敵』などと言う時代遅れなことをいう人はいなくなった。今回もネットとテレビのシナジー効果が期待できる、人気バラエティーとの連動企画を考えている。」
スマートフォンでのネット利用が増えるにつれ、YouTubeを毎日訪問する人が増えていると指摘するのはグーグル執行役員の水野有平氏。オリジナルチャンネルを通じて、PCやモバイルを問わず、「毎日、どこでもYouTube」という世界を目指したいと意気込んでいる。
前列は左からYouTubeアジアパシフィック統括のアダム・スミス氏、フジテレビの宮澤智アナ、タレントのダイヤモンド・ユカイ氏、TBSの加藤シルビアアナ、グーグル執行役員の水野有平氏 |
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(増田 覚)
2012/11/27 18:09
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