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今後2週間、大型の太陽フレアに注意、人工衛星・GPS・短波通信障害の恐れも

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は16日、今週に入って大型の「太陽フレア」の発生を48時間以内で計4回確認したことを発表した。極大期のピークが到来したとして、今後2週間の太陽活動に注意するよう呼び掛けている。同規模の太陽フレアが2週間以内に再び発生した場合、衛星通信やGPSなどへの影響が発生する可能性があるという。

 太陽フレアは、太陽の黒点群の領域で生じる爆発現象。これに伴い、強い紫外線やX線、電波などが放射されるほか、高温のガスが放出されることもある。規模によって「A」「B」「C」「M」「X」の5クラスに分けられ、今回確認されたものはいずれもXクラスのもの。最大X線強度は通常の100倍以上だという。

太陽フレアを引き起こした黒点群(NASAの人工衛星SDOで観測。左が可視光、右が紫外線)

 今回と同規模のXクラスの太陽フレアは、2012年の1年間で計7回発生しているが、これに対して今回は日本時間の5月13日10時53分(発生規模X1.7)、14日0時48分(同X2.8)、14日9時58分(同X3.2)、15日10時25分(同X1.2)と、短期間に4回も発生したかたちだ。

 また、今回のフレア現象とほぼ同時刻に、稚内、東京、沖縄の上空の電離圏で「デリンジャー現象」が観測されたという。これは、太陽フレアによって放出される強い紫外線やX線の影響で電離圏の下部領域が異常電離し、短波を吸収する現象。漁業無線や航空無線などの短波通信の障害になるという。

 NICTによると、大型太陽フレアを引き起こした非常に活発な黒点群は太陽面東端にあり、今後1週間ほどで正面方向を向いて地球に対面。それからほぼ1週間で太陽面西端に移動すると予想されている。「この間に、今回と同規模のXクラスの太陽フレアが発生した場合、地球周辺の宇宙環境や電離圏、地磁気が乱れる可能性があり、通信衛星・放送衛星などの人工衛星の障害やGPSを用いた高精度測位の誤差の増大、短波通信障害や急激な地磁気変動に伴う送電線への影響などが生じる恐れがあり、注意が必要」としている。

 NICTでは太陽活動や宇宙環境変動の観測を行い、「宇宙天気予報ポータルサイト」や「電波伝搬障害研究プロジェクト」のサイトで情報提供を行っている。

(永沢 茂)