ニュース

「Web接客」のLivePersonが日本法人設立、「おもてなし」の国にかける意気込み

ISID、電通レイザーフィッシュとの提携も

LivePerson 日本/アジア太平洋地域統括部長のダスティン・ディーン氏
「ライブエンゲージ」概要

 Web接客ソリューションを手がける米LivePersonは4日、日本法人・ライブパーソンジャパン株式会社を設立。株式会社電通国際情報サービス(ISID)と株式会社電通レイザーフィッシュとの戦略的パートナーシップ締結も発表し、本格的に日本市場でのプレゼンス向上を図る。

 同社が提供するのは、デジタル・エンゲージメント・プラットフォーム「ライブエンゲージ」というSaaS型サービス。企業のWebサイトを訪れたユーザーへの接客を実現する。

 Webサイトに専用のタグを埋め込むと、クラウド上のシステムから訪問ユーザーの行動をモニタリングし、「ページ間を何度も往来する」「同じページにずっと留まっている」といった傾向をキャッチ。企業側からのチャット・音声・ビデオ通話・コンテンツ提供を通じて、実店舗でいうところの「何かお困りですか?」を実現する。

 これら接客の最適なタイミングを独自アルゴリズムエンジンで「今でしょ!」と提案してくれるのも特徴で、「最適なタイミング、最適なチャネルで、最適なお客さまに対応できる」(LivePerson 日本/アジア太平洋地域統括部長のダスティン・ディーン氏)のがメリットとなる。

 こうした技術が必要となる背景として、「Webサイトでのコンバージョン率はわずか2%という調査結果がある。多くのお客さまが探している情報が見つからない、エラーが発生して先に進めない、電話をせずに問題を解決したい、簡単な質問にすぐに答えて欲しいといった不満を抱えており、1度ネガティブな体験をしたお客さまの82%はサイト自体から離脱する」とディーン氏は語る。

 この問題には従来、「FAQ」や「コールセンター」をはじめとした対策がとられてきた。しかし、ディーン氏は「FAQはすぐに確認できる一方、問題が必ず解決したと答える割合は2割に満たない。コールセンターも問題解決率は高いものの、ユーザーの時間・場所などの都合で即時の解決は難しい」といった問題点を指摘。「両対策にはギャップが存在している。このギャップを埋めて“すぐに解決すること”と“必ず解決すること”ができるカスタマーサービスが必要なのではないか」として、ライブエンゲージの意義を説明した。

 実際、グローバルでは大・中堅企業600社、中小企業約9000社に導入され、その結果、コンバージョン率が平均20%、平均購入額が35%、顧客満足度も35%増化した実績があるという。日本でもすでにIBM、シスコ、アドビ、マイクロソフト、ミズノなどが導入しているが、この実績をさらに拡大するため、新たに日本法人を設立した。

導入ユーザー例
コンバージョン率が平均20%、平均購入額が35%増加

「おもてなし」の国・日本にこそ「ライブエンゲージ」は根付く

日本法人の代表取締役 深沢明生氏
LivePerson 創立者兼CEOのロバート・ロカシオ氏

 LivePersonの日本市場参入は、コールセンター大手・もしもしホットラインの子会社であるヴィクシアと提携した2013年5月。この活動基盤をより強固なものにするため、日本法人は設立される。また、新パートナーとしてISID、電通レイザーフィッシュと契約締結。日本法人の代表取締役には、ISIDの幹部も務めた深沢明生氏が就任する。

 主なターゲットは金融、通信、旅行、リテール、IT。特にISIDは金融案件に強みを持つため、金融機関開拓の大きな戦力となるようだ。

 ところで日本市場で気になるのは、チャットなどで話しかけられるサービスを果たして日本人が積極的に受け入れるかだが、ディーン氏は「確かにほかのアジア諸国と比べ、日本のお客さまがチャットを行う確率はわずかながら低い。しかし、LINEをはじめ、チャットユーザーは日本でも確実に増えており、何よりチャットのサポートを受けた場合、日本でのコンバージョン率は他国より非常に高い」と説明。

 LivePerson 創立者兼CEOのロバート・ロカシオ氏も「日本の顧客サービスは世界最高水準であり、デジタル市場でも同水準のサービスが求められていると認識している。LINE、Twitter、eコマースの利用率も高く、さらに当社は各国にオフィスを持つが『おもてなし』というコンセプトを持つ国は日本を置いてほかにない。それゆえ『ライブエンゲージ』のようなサービスは日本にこそ根付くはずと確信している」と自信をのぞかせた。

(川島 弘之)