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GitHub日本法人設立から1年、「日本市場は米国に次いで世界2位のマーケット」

 ギットハブ・ジャパン合同会社は19日、カントリー・マネージャーに就任した藤田純氏による記者会見を東京都内の同社オフィスにて開催した。

ギットハブ・ジャパン合同会社カントリー・マネージャーの藤田純氏

 藤田氏は、これまで外資系通信機器メーカーやコンサルティング会社、外資系ソフトウェアベンダー、外資系SIに携わってきたが、「旧来型の伝統的なソフトウェアを作る手法に則った世界から、モダンなソフトウェア開発の世界へ移行する支援をしたい」という思いからギットハブ・ジャパンへの入社に至ったという。「我々のミッションはソフトウェア開発者のエンパワーメントにある。GitHubを使うことで、開発者がより快適に楽しく利用できるように環境を整えていく」。

 ギットハブ・ジャパンは、2015年6月に米GitHubの日本支社として設立。世界に10カ所のオフィスを開設しており、ヘッドクォーターはサンフランシスコに置く。一般ユーザー向けの「GitHub.com」、法人向けの「GitHub Enterprise」を用意しており、現在1400万人のユーザーを抱え、リポジトリは3500万を超える。また、日本からの月間ビジター数は70万、国内では1400の顧客が存在する。

 日本法人を設立した昨年6月と比較すると、GitHub Enterpriseのユーザー数は70%、GitHub.comは50%の伸び。日本法人の従業員数は1名から10名に増員されており、日本市場は米国に次いで世界2位のマーケットという位置付けになるという。

 GitHub.comの地域ごとの訪問者数の比率は、アジア圏で26%(前年比57%増)、ヨーロッパ圏で36%(前年比30%増)、米国で34%(前年比27%増)。アジア圏での顕著な伸びや、各地域の比率が近いことが特徴的だ。

 「GitHubの出所をよく聞かれるが、“世界中から出てきた会社”だと説明している。サービスを提供する時、我々が見ているのは特定の地域、法人、団体ではなく、あくまでも世界中に存在するデベロッパー。その方々に最高のサービスを提供するスタンスでいる。」

 一方、日本の訪問者数を地域別に見ていくと、関東エリアからのアクセスが多いことが分かる。日本のユーザーが全体に占める割合は4%だが、伸び率は前年比63%の伸びを見せている。藤田氏は、日本のカスタマーのGitHubに対する期待値は大きいのではないかと分析する。

 国内では、ヤフー、日立システムズ、クックパッド、サイバーエージェント、DeNA、GREE、LINEなどの企業が主なクライアントとして挙げられるが、「昨年から今年に至るまでの傾向を見ると、当初からGitHubサービスを利用するインターネットテック系の企業以外に、トラディショナルな企業の利用が進んできている」。ソフトウェアを上手く活用する新規事業者に対抗するために、GitHubを導入する流れがあるという。

 GitHubでは、オープンソースコミュニティ、エンタープライズ、教育機関、行政機関に対して、分け隔て無くサービスを提供するという。「カスタマーの声を聞く仕組みの構築」「国・コミュニティをまたいだ情報共有のハブとしての機能」「ソフトウェアを活用した新ビジネス創出の支援」の3つの柱をビジネスオペレーションとして掲げる。

 「例えば、オープンソースコミュニティが培ってきた“研ぎ澄まされた”ソフトウェアの開発手法をエンタープライズのカスタマーに紹介することで、オープンソースコミュニティへの参加を促す流れを作るなど、全体のエコシステムを活性化させるハブのような役割として機能を果たしたい」と語った。

過去1年にリリースされた主要なアップデートのまとめ。デベロッパー間のコミュニケーションや開発がスムーズに行えるための開発を追加している
プライベートリポジトリはこれまでリポジトリ数に応じた月額料金が設定されていたが、今後は制限なく作成できるようになった。リポジトリ数の制約によって、思うようにプロジェクトを進行できない、といったユーザーの声を受けて対応した一例だ。

(磯谷 智仁)