レビュー

ウソ…でしょ!? 本格ネットワークカメラが1980円、「5台で死角対策」しても1万円!……でファンディング中

国産アプリ&ファームウェア、磁石で設置もカンタン、クラウド録画も…

「超」格安カメラはどう使えるのか?

クラウドファンディングで1980円、という驚きの安さで(今なら)入手できるネットワークカメラ「Atom Cam」。クラウドファンディング終了後は1台2980円になる(2月28日23時まで)
1台1980円のうちなら、1万円で5台入手できる計算だ。せっかくなので、今回は5台お借りしてみた

 外出先から気軽に映像をチェックできる「ネットワークカメラ」。

 最近は家庭向けの製品も増え、「難しい設定は不要」「設置(固定)もカンタン」「スマートフォンで操作できる」というのが一般的になってきているが、なんと今回、そうした特徴に加えて「1台 1980円(ただし期間限定)」という格安価格で入手できる「ATOM Cam」がクラウドファンディングで登場した

*1 クラウドファンディング終了(2月28日23時まで)後は1台2980円

 ネットワークカメラは「興味はあるが使ったことがない」人も多いジャンルだが、「2千円前後ならちょっと試してみみたい」と思う人もいると思う。

 安価に導入できれば、単純に監視カメラとして利用するだけでなく、「ペットを外から見守る」「一人暮らしの女性が帰宅前に自宅をチェックする」「遠くに住む高齢の家族と会話する」「自宅裏の不法投棄を見張る」といった様々な用途に気軽に使えそうだし、複数台導入して死角を減らすのも容易。

 さらに、実験的な使い方……たとえば「ヘソクリをしまっている場所を監視する」「郵便受けの中を開けずに見る」「風景の動きや植物の生育を見守る」みたいなことも試しやすい。

 価格が手頃すぎると「機能が少ないか、解像度が微妙なんでしょ?」と勘繰りたくなるが、スペックを確認すると、解像度はフルHD、記録先はmicroSD/クラウド両対応、動体検知録画にナイトビジョン対応……となかなか高機能。発売元も国内ブランドで、アプリもファームウェアも国産と「安心」もポイントの一つという。

 では、実際のところどうなのか。現時点の製品を、発売前にお借りして試してみた。

スタンドで自由に向きを変更可能
台座はマグネット内蔵
約100gと軽量、小型で、置き場所に困らない
モバイルバッテリーでも動かせる


マグネット内蔵+軽量100gで設置が手軽スタンドは高い自由度、固定は両面テープでも

 ATOM Camは、Wi-Fi接続が可能なネットワークカメラだ。安価だからといって、内蔵メモリに映像を録画するだけ、みたいなスタンドアロン型カメラではない。

 外出先からスマートフォンでアクセスし、映像のライブ再生や録画映像の再生ができる、クラウドにもしっかり対応したネットワークカメラ。しかもゲートウェイなどの専用ハードウェアなしに、カメラ単体でクラウド連携が可能となっている(別途Wi-Fiルーターなどは必要となる)。

シンプルなキューブ形状の本体

 見た目はシンプルなキューブ状。外観にチープさはなく、むしろ室内の風景に溶け込むおしゃれ感すら漂う。本体重量が約100gと軽量なのは、バッテリーを内蔵せず、USBで電源供給する仕組みのため。必然的に設置場所が電源を取りやすい位置に限られるけれど、ここは値段を考えれば仕方のないところだろう。

手のひらに乗せると、こんな感じのサイズ感。カメラ部は5cm四方の大きさとなる
マグネット内蔵&折りたたみ式の台座付き

 構造もユニークだ。グレーの台座部分は折りたたみ式スタンドになっていて、引っ張ると立ち上がるようになっている。

 カメラ本体部を上に持ち上げたり、上下左右に首振りさせたりと、角度や向きを自由度高く変えられる。さらにこの台座にはマグネットが仕込まれており、金属にそのままペタッと貼り付けられるのもポイントだ。

グレーの台座部分はスタンド。フレキシブルに向き変え、首振りができる
首振り可能な角度はかなり大きい

 マグネットはそれほど強力ではないものの、本体自体が軽量なので、垂直に取り付けても、逆さまに取り付けても問題なし。映像を180度回転させる機能が専用スマートフォンアプリに用意されているので、カメラ本体を逆さまにしたまま使うのもOKだ。

台座にはマグネットが内蔵。金属素材に簡単に取り付けられる

 カメラ本体のみでは、スタンドで立てるか、マグネットで金属面に貼り付けるかの2択。加えて付属品の金属プレートと両面テープを組み合わせることで、マグネットが効かない平滑面への設置も可能になる。壁やガラス、木製の柱など、屋内のほとんどの場所に取り付けられるだろう。

ATOM Camの付属品一式
左が両面テープ、右が金属プレート
カメラのマグネットで金属プレートを固定し、その金属プレートに粘着テープを貼って、壁などに接着する

 両面テープが貼り付けられない布地や凹凸のある壁だったりすると取り付けは難しいが、金属プレートに穴を開けてネジ留めするなど、ひと工夫すればその問題もクリアできそうだ。


「好きな場所に置くだけ」の簡単設置モバイルバッテリーの併用もアリ

 そんなわけで、今回お借りした5台のカメラを筆者の自宅の「玄関」「仕事部屋」「リビング(が見渡せるキッチン)」「寝室」「屋外が見える窓辺」の5箇所に1台ずつ設置してみた。

 このうち玄関の1台のみを金属プレートと両面テープの組み合わせで逆さまに取り付けている。接着面は木材だが、軽量なカメラ本体に見合う十分な接着力で、落下の不安はない。

玄関に設置したカメラのみ、金属プレートと両面テープを使用
スタンドで設置した仕事部屋のカメラ
リビングが見渡せるキッチンもスタンドで
子供たちの寝室の棚にも設置してみた

 スタンドによる設置は、「好きなところに置いて向きや角度を調整するだけ」なので実に簡単。

 ただし、カメラがとても軽いので、置き場所が滑りやすい素材だと、接続しているUSBケーブルのクセに引っ張られる形でカメラ本体が動いてしまうこともある。カメラ本体やケーブルをテープで押さえるなどした方が確実だ。

 また、カメラ本体を前のめりにしすぎると倒れやすくなるので、重心を考えてカメラの姿勢や角度を調整しよう。高いところから下方向を見下ろすようなときは、スタンドで立てる場合でも金属プレートと両面テープを併用し、足元をしっかり固定しておくことをおすすめしたい。

 もう1つ、マグネットや両⾯テープで設置するパターンも含め、電源供給⽤のUSBケーブルをどう取り回すかについても設置前によく考えておくべきだろう。

 カメラ背面のUSB端子部は少し奥まったところにあって、コネクタとケーブルの飛び出しを抑えた構造になっているものの、設置後に角度などを微調整することも考えると、カメラ周辺には多少の余裕をもたせたい。

USB端子は奥まったところにあり、コネクタが飛び出し過ぎない
モバイルバッテリーでも動作、5000mAh品で11時間の常時録画

 ところで、屋外が見える窓辺に置いたカメラは、小型のモバイルバッテリー(5000mAh、実売価格1500円)と組み合わせてみた。

 今回のように電源コンセントが近くにないときもそうだが、たとえば日によって見守りたい場所、見たいアングルが大きく変わるようなときは、そのたびにUSBケーブルを引き回すのが難しかったり、面倒だったりするもの。

 なので、カメラをフレキシブルに移設しながら使いたいシチュエーションでは、このようにモバイルバッテリーを組み合わせるのもアリだろう。今回の場合、5000mAh容量で11時間余り動作し続けたので、意外と実用性もあるといえる。

 5台あるのなら、1台くらいイレギュラーな用途に振り分ける、ちょっと贅沢な使い方をしてみるのも面白いはずだ。

窓辺に置いたカメラは5000mAh容量の小型モバイルバッテリーで駆動。常時録画の設定で約11時間動作した
外から見ると、しっかり見張ってくれているのがわかる


十分な高画質&機能音声のやりとりも可能!

 さて、とりあえず自宅の5箇所に簡単に設置してみたわけだけれど、ネットワークカメラとしての機能はどれほどのものだろう。

 すでに説明したように、ATOM Camは外出先からも映像を確認できる、単体動作可能なクラウド対応カメラだ。映像の再生などの各種機能を利用するには、専用のスマートフォン(Android、iOS)アプリから行う形になる。

 専用アプリでできるのは、カメラの登録などの初期設定と、ライブ映像と録画映像の確認、手動録画や写真撮影、動作検知に関わる設定など。

初期設定は「専用QRコードをスマホで表示し、カメラで読み取り」

 初期設定では、カメラ本体底面にあるSETUPボタンを押し、アプリに表示されるQRコードをATOM Camにかざして読み取らせるだけなので、1、2分もあれば終えられる。

ATOM Camの専用アプリ(Android版)。最初にアカウントを作成してログインする
「New Device」でカメラ登録へ
底面にあるSETUPボタンを音が聞こえるまで押し続ける
セットアップ手順が表示される
普段使っている宅内のWi-Fiアクセスポイントを指定
アプリで表示されるQRコードをカメラの前にかざして読み取らせる
少し待てばセットアップが完了
最後にカメラに名前を付ける
複数カメラを一括管理、「1階」「2階」のようなグループ化も

 もちろんアプリには複数のカメラを登録して一括管理できる。

 個別に映像確認することもできるし、「グループ化」して複数カメラのライブ映像を1画面内で同時にチェックすることもできる。「1階」や「2階」のように設置フロアごとにグループ化するような使い方が考えられるだろう。

 こうして複数映像をチェックできるようにしておけば、広い範囲を俯瞰して観察できるほか、同じフロア内を移動する監視対象(遊び回るニャンコとか)を片時も視界から逃すことがなくなるわけだ。

5台のカメラを登録。名前も設置場所に合わせてわかりやすいものにした
個別のカメラの映像を確認。遅延は1秒ほど
フルスクリーン表示もできる
複数台をグループ化して整理
グループ化したカメラの映像はまとめてライブ再生できる
スマートフォンを横置きにすると4分割で表示できる

解像度はフルHDで精細&鮮やか、音声を聞いたり、送ったりも……

フルHDで表示したリビング。撮影した実データはこちら(1.92MB)
720pでの表示
360pでの表示

 肝心の映像の写りはというと、解像度は最大フルHD(1920×1080ドット)で、精細さや色の鮮やかさは文句なし。映像のデータ転送や記録時の容量を節約したいときは720pや360pの低解像度を選ぶこともできる。

 フレームレートは1桁fps~10fps程度。粗めではあるが、見守り・監視用としては申し分ない。映像遅延は宅内Wi-Fi経由でも、モバイルネットワーク経由でも、だいたい1秒前後。気になるほどの大きな遅れはなかった。

音声のやりとりは双方向、スマホ側とカメラ側で「会話」も可能
ライブ映像再生時は常に現地の音を聞くことができ、画面左下のマイクアイコンを押しながらしゃべるとこちらの声をカメラから出力する

 さらに、音声のやりとりもできる。個別のカメラのライブ映像を再生しているときは、カメラ本体内蔵のマイクとスピーカーで、遠隔から現地の音を聞いたり、スマートフォンに吹き込んだ音声を現地に届けることができる。

 つまり、遠隔にいてもカメラを通じて現地の人と会話できる、ということだ(1~2秒の遅延は考慮しなければならないが)。「カメラで見つけた不審者を声で威嚇する」といったことにも使えるかもしれない。

赤外線撮影できる「ナイトビジョン」も
夜、仕事部屋に現れた怪しい人物の存在や動きも手に取るようにわかる(※一部英語表示になっているのはアプリが開発中バージョンのため)

 そしてATOM Camは赤外線を撮影できる「ナイトビジョン」モードも搭載。真夜中の暗い部屋でもくっきりとした(モノクロ)映像を残すことができる。

 暗闇のなか、室内を物色する不審者の様子を見張れるし、夜な夜な室内で大運動会を開催する(ニャンコなどの)動物の姿も捉えることができそうだ。

ナイトビジョンで撮影したもの。撮影した実データはこちら


「音や動作を検知」で録画も保存先はクラウドで範囲や閾値も設定OK

 さて、監視用途のネットワークカメラで一番重要なのは、録画機能だろう。ATOM Camでは、「手動撮影」「常時録画」「イベント録画」の3つのパターンで映像を録画できる。順に紹介していこう。

 まず、1つめの手動撮影だが、これは、ライブ映像を見ながら好きなタイミングで録画の開始・停止を行うもの。静止画像の撮影も可能だ。手動撮影時は、映像はクラウドに保存される。

画面左下の「Record」で手動録画の開始・停止、「写真を撮る」で静止画を記録できる
手動撮影した映像は「Album」で参照できる

 次の「常時録画」は、その名の通り、常時録画が行われる方式だ。この場合の保存先はカメラ本体に装着したmicroSDカードで、使えるmicroSDカードは最大32GB(仕様上)。容量が足りなくなると、古い映像から上書きされる。

カメラ底面にmicroSDカードスロットを装備。仕様上は32GB(FAT32フォーマット)までのものが使える

 使用される容量は、フルHD画質でも24時間で最大10GB程度。今や数百円から手に入る32GBのmicroSDカードでも3日分は録画できる、というわけだ。

 なお、この常時録画で撮影したデータからタイムラプス動画を生成する機能もある。ちょっとした観察動画を作るには便利な機能と言えそうだ。

アプリ上で常時録画するように設定
常時録画していると、microSDカードに保存されている過去の映像をいつでも振り返れる
常時録画した動画をもとにしたタイムラプス動画の生成機能もある。草花を定点観測するような用途だと面白そう

 3つ目の「イベント録画」は、映像内で何らかの動きが検知されるか、あるいはカメラ内蔵マイクが周囲の音を拾ったときに、そこから最大12秒間、自動で映像が録画される、というものだ。

 イベント録画された映像はクラウドにアップロードされ、アプリ上でいつでも再生できる。microSDカードを装着していなくても映像はクラウド上に14日間残るので、常時録画が不要ならmicroSDカードなしでも運用できる。

 このイベント録画は、ATOM Camでぜひとも使いこなしたい機能の1つと言える。

 動きや音を検知する際、それがどれくらいの大きさ(程度)であれば録画を開始するか、という閾値の設定ができるし、動き検知についてはその範囲を画面全体だけでなく画面の一部のみに限定することもできるのだ。

動き検知の設定画面
画面内で動きを検知すると自動で録画を開始

 たとえば今回筆者が設置した、窓の外を見えるようにしたカメラを例に取ると、手前の自宅敷地内のみに動きを検知する範囲を設定しておくことで、敷地内に侵入者があったときのみ録画してくれる。敷地外の道路を行き来する人やクルマには反応しないので、セキュリティ的に気になるケースだけ映像を残せるわけだ。

手前の敷地内のみに検知範囲を限定することも可能
このように敷地内でうごめく怪しい人影があると、すかさず録画してくれる
自動で録画されたものを日別に一覧
動作検知と音検知は別個にオン・オフを設定できる

 検知する範囲だけでなく時間帯も限定できる。自分や家族が室内にいる日中は検知しないようにしておき、寝静まる真夜中だけ動きや音があれば録画する、といった活用方法が考えられるだろう。

 これとは別に、火災報知器等のアラームの音を認識して録画する機能もあり、万一の自宅のアクシデントを幅広くカバーできるポテンシャルを備えている。

デフォルトは常時検知する設定。特定の時間帯のみ有効にする設定も可能だ
自宅に設置されている火災報知器等のアラームの音を聞き分けて、録画開始する機能も

 また、こうしたイベント録画の際には、同時にスマートフォンにプッシュ通知を送信できるようにもなっている。

 試した限りではイベント録画(12秒)の完了後に通知される仕組みらしく、「動きを検知した瞬間に通知を受け取って映像を即チェックする」といった対処はできないものの、直近で何が起こったのかスムーズに把握するのに役立つはずだ。

録画イベントがあったときにスマートフォンにプッシュ通知。録画完了後の通知となるため、実際には数十秒後になることがある


国産アプリ・サービスの安心感、将来的な拡張も

決定版的なネットワークカメラになりうるポテンシャルを秘めているかもしれないATOM Cam
背面にあるUSB Type-Aポート。いつかこれを活用できるかも!?

 ちなみに、「安価なネットワークカメラ」というと、「何かよくないものを仕込まれているのでは……」という不安がないこともないし、セキュリティ面でちょっと心配、みたいな声もあるかと思う。

 その点については、ATOM Camが国産のアプリ・サービスで、ファームウェアも日本製であること、そして国内ブランドとして責任を持つ形で発売されていることが1つのポイントになるだろう。アプリ・サーバー間のデータのやり取りはすべて暗号化され、クラウドサーバーとして利用しているAWS(Amazon Web Services)も国内設置のサーバーを指定しているという。

 今後は、Amazon Echo・Google Homeのようなスマートスピーカーや、スマート機器連携ツールである「IFTTT」との連動も予定されているそうなので、「オーケー、グーグル。1階のカメラで録画して」というように音声で録画を開始したり、「帰宅したら(敷地内に人が入るのを検知したら)自宅の照明をオン」するような使い方もできるかもしれない。

 ちなみに、カメラ背面に見える謎のUSB Type-Aポートは、現時点では使い道はないものの、開発者によると将来的に周辺機器的な何かを接続できるようになるとか、ならないとか……。

 従来のネットワークカメラと比べて驚くほど安価なプロダクトではあるけれど、継続的なアップデートやサポート、さらには将来の拡張性にも期待がかかる一品となっているのだ。

クラウドファンディングは「All-or-Nothing」、期限は2月28日(金)の23時

 さて、このATOM Camだが、先述したように、現在、クラウドファンディングサイト「Readyfor」で支援を受け付け中。支援の方式は「All-or-Nothing」で、目標金額に達成しない場合は自動でキャンセルになる。支援の申し込み期限は2月28日(金)の23時まで。

 All-or-Nothing方式なので、クラウドファンディングが成立しない可能性がゼロではなく、その場合は製品が受け取れない(お金もかからない)が、クラウドファンディング期間中に申し込むことで、「この性能のネットワークカメラを1980円で購入できる(終了後の価格は2980円)」というのは大きなメリット。

 「安価に自宅のセキュリティを高めたい」「あるいは安価なネットワークカメラで遊んでみたい」という人は、この機会に、クラウドファンディングで支援してみると良さそうだ。

(協力:アトムテックジャパン)